家族のじかん
カテエネ

さあ、あたたかなニッポンにかえろう。 さあ、あたたかなニッポンにかえろう。

江戸時代は教えてくれる。資源が限られる今こそ、新しい智恵が生まれ、循環型社会が発展する時だということを。 江戸時代は教えてくれる。資源が限られる今こそ、新しい智恵が生まれ、循環型社会が発展する時だということを。

資源・エネルギー源

殿様から庶民まで、
年中行事に欠かせない和菓子。

資源・エネルギー源

殿様から庶民まで、
年中行事に欠かせない和菓子。

江戸時代に砂糖が安定して市中に出まわるようになると菓子舗が続々と開業。高価とはいえ庶民にも和菓子に手が届く時代がやってきました。それまでは宮中や武家の専売特許だった行事と行事菓子も、庶民が楽しめるように。水辺で禊を行い厄を祓っていた上巳は女の子の健やかな成長と幸せを祈る雛祭りとなって、江戸では菱餅を飾り、京では柄杓形に伸ばした餅に丸めた餡を乗せる引千切が登場します。一方、端午の節句は古くから邪気祓いに使われた菖蒲が「勝負」や「尚武」に通じることから武家で重んじられるようになり、男の子の成長を祝い出世を祈る日となりました。これも東西で風習が異なり、江戸では初節句から柏餅を用意し、上方では初節句だけちまきで2年目以降は柏餅を用意したとか。今では柏餅とちまきの両方が店先に並ぶ地方も多いのですが、自分の住んでいる地域でどちらが主流か観察するのも楽しいものです。こうした年中行事に四季折々の行楽が加われば、和菓子舗は休む暇がありません。正月の花びら餅に花見の桜餅や草餅、中秋の名月のお月見団子、炉開きの亥の子餅などなど。近年はハロウィンやクリスマスをモチーフにした生菓子も登場して実に賑やか。行事と行事菓子がアップデートされ続けているのも、日本らしくておもしろいものですね。

資源・エネルギー源

うまれたときから彼岸まで、
思う気持ちを和菓子に込めて。

医療が進化した現代にあっても、出産は大変なライフイベント。かつては命を落とした女性も少なくなく、また子どもが無事に生まれたとしても大人になるまでの間に亡くなることも多くありました。だからこそ、家族や親族は生後3日目、7日目、100日目、満1歳など節目が来るたびに無事を祝い、健やかな成長を祈ったわけです。生後3日目は袖付きの産着を初めて着せる日「三日衣装」としておはぎを作りました。生後7日目はお七夜。名前を披露するとともに鶴の子餅や赤飯を配りました。おはぎやお餅は、お母さんのお乳がよく出るように用意されたといわれます。子供だけでなく母となって間もない女性への労いの気持ちも感じられますね。100日目はお食い初めです。この先ずっと食べることに困らぬようにの祈りを込めて膳を用意し歯固めを口元に運びます。そして満1歳になると一升分の大きな餅を背負わせます。七五三の千歳飴も祝い菓子のひとつ。やがて老いて彼岸に渡ってからも和菓子との付き合いは途切れません。通夜、葬儀、法事としのぶ饅頭、上用まんじゅうなどが、現代になってもお返しや引き菓子として配られています。和菓子は節目に登場し、私たちの一生を見守り続けているのです。

資源・エネルギー源

贈って贈られて喜びを分け合う。

資源・エネルギー源

贈って贈られて喜びを分け合う。

宮中や武家の間で古くから冠婚葬祭の贈答品とされてきた歴史が関係しているのかもしれませんが、和菓子は洋菓子に比べてソーシャルな要素が強いように思われます。というのも洋菓子はあくまでパーソナルなもの。キャラクターの明確なスターパティシエの中から「私のお気に入り」を探し当てるという印象でしょうか。それに対して和菓子は、菓子舗に代々受け継がれてきたレシピや技に、家族ぐるみで惚れる感じ。両親や祖父母の代から決まった菓子舗と長いおつきあいのある方も多いのではないでしょうか。そんな背景のもとで、和菓子が活躍するのが手みやげや贈りものの場面。冠婚葬祭はいうに及ばず、ちょっとしたお礼やおもたせ、仕事上の取引先へのご挨拶など、今の暮らしの中でも活躍の場面は多いものです。気を遣う相手へ贈るからこそ、信頼できる作り手の確かな味を。そう思う人も多いのではないでしょうか。米や小豆などを吟味して餅をつき餡を練る。和菓子はシンプルなだけに、原材料のちょっとした差や腕の良し悪しが如実に味に現れます。「これなら誰に贈っても恥ずかしくない」。そんな菓子舗をひとつはもってこそ、素敵な大人といえるのかもしれません。

江戸時代のこころは、今につながるエネルギー。 江戸時代のこころは、今につながるエネルギー。

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