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敷金の意味とは?相場はどれくらい?
賃貸物件を借りる際の初期費用の一部である「敷金」は、民法でも規定されているお金であり「賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定義されています。
わかりやすく説明すると、契約から退去までの間、大家さんに「担保」として無利息で預けておくお金のこと。あくまでも「担保」であるため、原則として返金されます。
それでは、敷金の相場について見ていきましょう。国土交通省 住宅局の令和3年度「住宅市場動向調査」によると、以下のデータになっています。
敷金/保証金があったという世帯は60.0%
敷金/保証金の月数は「1ヶ月ちょうど」が65.9%、「2ヶ月ちょうど」が 19.0%
敷金/保証金は「1ヶ月ちょうど」が最も多く、次に多いのが「2ヶ月ちょうど」ですが、年々「1ヶ月ちょうど」が増加「2ヶ月ちょうど」が減少しており、全体を見ると敷金の月数は減少傾向にあります。
返金が原則の敷金ですが、実際には原状回復のための修繕費を差し引いた金額が返金されるのが一般的です。家賃の滞納がなくても全額返金されるわけではありません。退去時にトラブルにならないためには、「"償却"表記の有無」・「畳、襖についての特記事項」・「ペットOK物件の特記事項」など、契約書の内容をしっかりと確認しておくことが大切です。
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礼金の意味とは?相場はどれくらい?
「礼金」とは、特に法律で定義が定められているものではなく、大家さんに「お礼」として支払うお金です。感謝の気持ちをお金で渡したのが始まりとも言われていますが、違和感を感じる・不要な慣習だと考える人も一定数いるでしょう。
しかし大家側からすると収入源の一つであり、不動産会社への仲介手数料や住宅情報ウェブサイトへの掲載料などに充てるなど、必要経費として利用されている場合が多いようです。敷金と同様に、国土交通省 住宅局の令和3年度「住宅市場動向調査」を参照して、金額の相場を見ていきましょう。
礼金があったという世帯は45.9%。敷金に比べ少ない傾向
礼金の月数は「1ヶ月ちょうど」が72.1%で最も多い
礼金の月数は「1ヶ月ちょうど」が多く、敷金と比べてもあまり大きな変動はないようです。相場はほぼ1ヶ月分ですが、こちらも敷金同様に2ヶ月・3ヶ月超えの物件もあります。敷金と異なる点は、礼金は一切返金されないということ。敷金以上にしっかりとチェックしておくと良いかもしれません。
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「敷金・礼金なし物件」の気をつけるポイント
世の中に出回る賃貸物件の中には、「敷金・礼金なし」をアピールしているケースも。令和3年度「住宅市場動向調査報告書」によると、賃貸物件で「敷金/保証金なし」は32.3%、「礼金なし」は46.4%という数字に。初期費用を大きく抑えることができるのが何よりも魅力ですが、注意をしておくべきポイントがあります。「敷金・礼金なし物件」を選ぶ際に確認しておきたい点についてまとめました。
■「敷金・礼金なし物件」の気をつけるポイント
・退去時に「修繕費」「ルームクリーニング費」を請求される場合がある
通常、原状回復費用は敷金でまかなわれることが原則。そうすると「敷金なし」の場合は、退去時に実費請求されることも考えられます。
・相場よりも家賃が高い場合がある
相場よりも高い家賃を設定し、「敷金・礼金なし」とする物件も存在します。同エリアの賃貸物件と比べて不自然に家賃が高くないか確認しておきましょう。
・建物が老朽したままや、部屋が修繕されていない場合がある
経年による建物の老朽化や、何らかの事情で部屋の修繕が行き届かない物件も。その場合に「敷金・礼金なし」として、初期費用を下げて募集するケースも。
・周辺環境(日当たり・騒音・治安・住民トラブルなど)にマイナス面がある
建物は新しいけれども、「敷金・礼金なし」となっている場合は要注意。日当たり・騒音・治安・住民トラブルなど、周辺環境にマイナス要素を抱えている可能性があります。
・保証会社への加入が必要な場合がある
敷金・連帯保証人の代わりとして、保証会社への加入が必要なケースも。この場合、結果的に初期費用を抑えられていないことも考えられます。
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敷金・礼金の金銭負担は意外と大きい
令和3年度「住宅市場動向調査報告書」によると、賃貸住宅契約時の困った経験として「礼金・敷金などの金銭負担」が44.5%と最も多くなっているように、敷金・礼金にかかる金額は決して小さくありません。
あらためて物件探しの際には、敷金・礼金など賃貸契約に関するお金を整理して考える必要があります。当然、賃貸契約の初期費用には敷金・礼金以外にも、「仲介手数料」「火災保険料」「賃貸保証料」「鍵交換代」などが発生する可能性も考えられるでしょう。
「敷金・敷金なし物件」を見つけて「安い!」と飛びつくことなく、メリット&デメリットをきちんと理解したうえで判断できるようにしておくことが大切です。