家電の最新機能【エアコン編】
センサー機能搭載エアコンで賢く快適に省エネ!
メーカー間の激しい省エネ競争によって、いち早く省エネ化を実現してきたのがエアコンです。そのためここ数年は、「年間電気代」という表示では、目に見えた進歩が見えにくくなってきました。
しかし実は、まだまだ表示には表れていない省エネ機能がふんだんに盛り込まれているのです。人のいる場所や日射しの強さ、部屋の間取り、人の“温感”などまで感知して賢く快適に省エネする「センサー機能」を紹介しましょう。
人の動きや人数、間取り、日射しの強さなどをセンサーで感知
最近のエアコンでは、人の動きを検知するセンサーや部屋の温度分布を検知するセンサーなど、さまざまなセンサーを搭載しています。スイングして部屋全体の床温度を検知する三菱電機の「ムーブアイ」が始まりではないかと思います。
当初はシンプルなものでしたが、年を追うごとに機能が進化しています。各社とも工夫をこらし、「人のいる場所や動き、人数」「人の手足の温度」「部屋の間取りや家具の位置」「日射の強さ」「床の温度」など、さまざまなポイントをセンサーで読み取ることができます。
各種センサー機能の魅力は何かというと、「省エネ」と「快適性」、さらには「安心性能」の向上です。
ムダをなくすので、より省エネに!
まずは、省エネ性の向上から紹介しましょう。例えばリビングに1人しかいないのに、部屋全体を冷やしたり温めたりすると非効率です。人感センサーによって人のいる場所を把握してピンポイントに風を送ることで、より効率的に温度調節が可能になります。
人が部屋からいなくなると運転を抑え、しばらく戻ってこないとオフにすることができる機種もあります。
「温冷感センサー」搭載機種は、人の「寒い」「暑い」を見極めて吹き分けることも可能
2つめは、快適性の向上です。例えば冬の場合、同じ気温でもずっと部屋にいる人なら体表面の温度が上がっていますが、外から帰ってきたばかりの人は冷えています。そういった温度を見分けることで、冬なら温度の低い人だけ重点的に温め、夏なら温度が高い人だけ冷やすことが可能な機種が登場しています。
さらに、最近登場した「温冷感センサー」搭載モデルの場合、部屋にいる人が暑いと感じているのか、寒いと感じているのかを、からだからの放熱量を感知して見極めることができます。表面温度は同じでも、実は寒いと思っている人、暑いと思っている人がいるというのを見分けてくれるというのだからすごいですね。こうした機能によって、省エネだけでなく部屋にいる人の快適性もアップするというわけです。
熱中症を予防する機能を搭載する機種もあり、安心性能も向上
最後に注目したい機能が、安心性能の向上です。これは何かというと、高齢者や子供、ペットなどの「見まもり」です。
2011年の東日本大震災後に省エネ気運が高まりましたが、これによって「暑くてもエアコンを付けない」という気運も生まれてしまいました。エアコンは確かに、扇風機に比べると消費電力が高いのですが、それで熱中症などになってしまったら大変です。そこで生まれたのが「高温・低温見まもり」機能です。
これは具体的に言うと、見まもり機能を設定中であれば、夏は高温(約28℃)・高湿度状態が続く場合、冬は低温(約10℃)状態が続く場合 に、自動的にエアコンがオンになるというもの。高齢になると温度変化に気づきにくくなると言われており、熱中症や低体温症などのリスクも高まります。そこで、センサーで室温を検知し、必要に応じて自動的にエアコンを作動させるこの機能が役に立ちます。高齢者のいる家庭だけでなく、ペットと暮らしている家庭にもお薦めです。
センサー機能で、表示以上の省エネ性を実現!
実は、家電店等で示されている「年間消費電力量」や「年間電気代」と呼ばれる目安の数値は、特定の条件下で運転した結果を数値化したもので、センサー機能によって省エネ化された部分についてはカウントされていません。そのため、センサーを活用すれば、表示以上に省エネを実現できる可能性が高くなります。
センサー機能を賢く使いこなし、快適かつ省エネな生活をぜひ過ごしてください。
ライター:安蔵 靖志(あんぞう・やすし)
IT・家電ジャーナリスト 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)。AllAbout 家電ガイド。日経BP社「日経ネットナビ」「日経ネットブレーン」「デジタルARENA」「日経トレンディネット」などを経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ〜ンの家電ソムリエ」に出演するほか、ラジオ番組の家電製品紹介コーナーの構成などにも携わっている。