家電の買い換え効果【エアコン編】

15年以上使い続けている人ならエアコンの買い換え効果は抜群!
エアコンの省エネ性能は他の家電に比べてかなり進んでいることもあり、最近は大幅な向上がみられなくなりました。それでも、10年前に比べて平均で約9%の省エネ化を実現しています。さらに注目したいのが「快適性の向上」です。人がいる場所に重点的に風を送るなどといったセンサー機能が充実したことで、数字には表れない性能がアップしているんです。
20年間で約44%もの省エネに!
冒頭で紹介したように、エアコンの省エネ性能は他の家電製品に比べてかなり進んでいます。冷蔵庫などはまだまだ性能向上の余地があるようですが、エアコンは2000年代に入って落ち着いてきた感があります。
まずはエアコンの期間消費電力量(冷房、暖房を含めた1年間の消費電力の目安)の推移グラフをご覧ください。
冷房、暖房を含めた1年間の消費電力の目安

経済産業省 資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ」各年度の単純平均値より
内閣府の消費動向調査によると、エアコンの買い換え平均年数は約12.3年だそうです。
グラフをご覧になると分かるように、2015年から20年さかのぼった1995年には、年間の電気代目安は4万円を超えています(1kWhあたり27円換算)。それから5年後の2000年には約2万7,500円にまで抑えられていますから、この5年間で約32%もの省エネ化を実現したことになります。
2000年から2015年までは約18%、2005年から2015年までは約9%ですから、それだけエアコンの省エネ性の進化は早かったということですね。

もちろん、基本性能が向上して暖まりやすさや冷えやすさもアップしていますし、機能性も向上しています。年間で約1万8,000円も電気代の差(2015年と1995年の年間電気代目安の差)が出るとすると、10年間では18万円にも上ります。15年以上前の古いエアコンをずっと使い続けている人は、本体価格だけでなく維持コストも含めて買い換えを検討しても良い時期かと思います。
「吹き分け」機能などで目に見えない省エネ効果も
エアコンを買い換えると基本性能の向上による省エネ性アップが期待できますが、実はそれ以外にも目に見えない省エネ効果があります。それは、人感センサーなどのセンサー機能向上による「吹き分け」機能です。
最新のエアコンには、人の動きや人数、部屋の間取り、日射しの強さなどを感知するさまざまなセンサーが内蔵されています。さらには部屋にいる人が「寒い」と感じているのか、「暑い」と感じているのかを見極める「温冷感センサー」を搭載している機種もあります。

こうしたセンサーのメリットは、人のいる場所を中心に暖めたり冷やしたりすることで「無駄なエネルギーを使わない」という点にあります。室内に直射日光によって熱くなっている場所があっても、そこに人がいなければ冷やす必要はありません。逆にある場所が十分に冷えていた場合でも、そこにいる人が暑いと感じているならさらに冷やす……そんなこともセンサーで状況を感知することにより、可能となります。
ただし、エアコンの消費電力の目安である「期間消費電力量」には、こうしたセンサー機能による省エネ性の向上は数値として表れてきません。センサーを利用した吹き分け機能が充実している機種ほど、さらなる省エネ性の向上が期待できると思っておいていいでしょう。
ライター:安蔵 靖志(あんぞう・やすし)
IT・家電ジャーナリスト 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)。AllAbout 家電ガイド。日経BP社「日経ネットナビ」「日経ネットブレーン」「デジタルARENA」「日経トレンディネット」などを経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ〜ンの家電ソムリエ」に出演するほか、ラジオ番組の家電製品紹介コーナーの構成などにも携わっている。