家電の買い換え効果【照明編】
LED電球は白熱電球の約8割、電球型蛍光灯の約2割省エネ!
照明関連のここ数年の大きな変化として、「LEDの大幅な低価格化」が挙げられます。LED電球(電球形LED照明)は当初1個数千円と高価でしたが、最近では1個1,000円を切るものも少なくありません。白熱電球は世界的に廃止の方向に向かっており、白熱電球の代わりになる照明としてLED電球が注目を集めています。
また、蛍光灯も省エネ化が進んでいますが、LED電球はさらに省エネなだけでなく、「スイッチひとつですぐに明るくなる」というのも大きなポイントです。
LED電球は、白熱電球の約8割も「省エネ」
白熱電球に対する電球形蛍光灯やLED電球の大きなメリットは、先ほども軽く触れた通り「省エネ性」にあります。60W形電球の消費電力は白熱電球が54W程度なのに対し、電球形蛍光灯は12W程度、LED電球は8.4W程度。つまりLED電球は白熱電球に比べて約8割、電球形蛍光灯に比べても約2割ほど省エネなのが分かります。
LED電球は数万時間も!寿命が大幅に長いのも特徴
LED電球は寿命が長いのも大きなポイントです。(図参照)
LED電球の寿命は、およそ4万時間と言われています。1日10時間つけたとして4,000日、つまり10年以上も交換不要というわけです。もちろん電子機器なのでそれ以前に故障してしまう場合もありますが、これだけ長いと安心です。
また、パナソニック エコソリューションズ社は2016年12月に、LED電球の対象製品を購入した日から5年間、不点灯などの故障があった場合に無料で代替品と交換する長期保証制度をスタートしました。こうした流れに他社が追随する可能性は大いにあるので、さらにLED電球の安心感が高まります。
電球形蛍光灯の寿命は6,000~1万2,000時間程度と言われており、これも1日10時間点灯したとして約600~1,200日、つまり約1年8カ月~約3年3カ月の長期間使うことができます。
白熱電球を1個100円、電球形蛍光灯を1個500円、LED電球を1個2,000円とした場合の維持コストは以下のようになります。白熱電球のコストの高さだけ突出しているのがよく分かります。
電球の種類による維持コストの比較
※実際の効果は、使用する照明機器や使用条件等によって異なる場合があります。
LED電球はすぐに明るくなるのが魅力
維持コストに関してはLED電球も電球形蛍光灯もほぼ同等ですが、LED電球の大きなメリットが「すぐに明るくなること」です。
LED電球も電球形蛍光灯も、同じ「60W」相当ならほぼ同じ明るさになるのですが、電球形に限らず、蛍光灯は点灯してから最大の明るさになるまでに5分から10分ほどかかると言われています。
例えば外から帰宅してリビングの蛍光灯シーリングライトを点灯したときに、「なんか暗いなぁ」と感じることがあるかと思いますが、実はこれは全く勘違いではありません。
そのため、電球形蛍光灯はお風呂場や洗面所、トイレ、廊下など、すぐに明るくなってほしい場所で使うのはお薦めできません。LED電球はすぐに明るくなるため、どの場所でも使えるのが魅力です。
照明をLED電球に交換する際の留意点
照明をLED電球に交換する場合に、いくつか留意点があります。
白熱電球から交換する場合
白熱電球からLED電球に交換する場合、つまり電球ソケットにLED電球を取り付ける場合には、以下のようなポイントに注意しましょう。
調光器付き照明の場合は対応製品を選ぶ
壁などのスイッチで照明の明るさをコントロールできる「調光器」付きの照明の場合、調光器対応のLED電球を選ぶ必要があります。
照明をカバーが覆う「密閉型器具」も対応製品を選ぶ
風呂場のライトなど、照明をカバーが覆う「密閉型器具」の場合は熱がこもることがあります。LED電球は白熱電球に比べて発熱しにくいのですが、密閉型器具対応製品を選んだ方が無難でしょう。
ダウンライトには「断熱材施工器具」対応製品を選ぶ
廊下の天井などに用いられることの多い「ダウンライト」の場合、風呂場のライトなどよりもさらに密閉されて断熱材に覆われているため、断熱材施工器具対応製品を選ぶ必要があります。
光の広がり方にも注意
LED電球と白熱電球の大きな違いのひとつが、光の広がり方です。白熱電球は点光源で360度すべての方向に光が広がりますが、LEDの光は直進性が高く、白熱電球のように広がりません。最近の電球ではかなり幅広い場所を照らせるようになりましたが、当初は前方しか照らせないものも数多くありました。光の広がり方が広いものほど価格が高い(狭いものほど安い)傾向にありますので、お財布と相談して決めるといいでしょう。
シーリングライトを交換する場合
一般的な蛍光灯のシーリングライトをLEDに交換したい場合、シーリングライト自体を交換する必要があります。LEDシーリングライトは丸形蛍光灯のような交換用ランプがないため、寿命が来たらライト自体を交換することになります。取り付け器具自体は基本的に蛍光灯シーリングライトと同じなので手軽に取り付け可能です。
ライター:安蔵 靖志(あんぞう・やすし)
IT・家電ジャーナリスト 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)。AllAbout 家電ガイド。日経BP社「日経ネットナビ」「日経ネットブレーン」「デジタルARENA」「日経トレンディネット」などを経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ〜ンの家電ソムリエ」に出演するほか、ラジオ番組の家電製品紹介コーナーの構成などにも携わっている。