楽しく実験!カテエネ研究所

ラクラク時短で「味しみおでん」を作るのだ!

あったかい料理が恋しくなる冬。人気メニューは何と言っても「おでん」です。
今回は、だしがしっかりしみ込んだ〝銘店レベルの味〟に挑みます!
仕事から帰った後に、おいしくおでんを煮込むのはやはり難しいのでしょうか?
さまざまな条件のもとで実験を積み重ね、短い調理時間でおいしいおでんづくりにチャレンジします!

ポイント1 おでんの具の中で通常は味しみに時間がかかる
大根を使って、まずは「ベストな下処理」のリサーチを開始!

使用した材料と実験概要

食材
厚さ1cmの輪切りにした愛知県産の青首大根
調理器具
鍋(直径16cm)
IH調理器(加熱ダイヤル1~9)
基本の調味液
水 500mL
かつおぶし 7.5g
塩 小さじ1
醤油 大さじ1
みりん 大さじ1
(調理開始後10分時点で、醤油とみりんを入れるため、醤油とみりんの量は通常の3倍の量になっています。)

実験A

大根の裏側に3つ刃フォークで5回、10回、15回と数を変えて穴を開け、3つの鍋に各3個ずつ入れて基本の調味液で加熱調理を行いました。
IH調理器による加熱は、沸騰するまで強火(ダイヤル9)・その後はダイヤル4で30分としました。

図:フォークを刺す回数(隠しフォーク)の回数別比較

穴の数については、しっかり深めに10回刺した「計30個」のものが最も味のしみ込み具合が良いことがわかりました。
10回より多く刺すと味がしみ込みすぎて塩からく、見た目もよくない姿に…。
ちなみに、フォークの差し込みを浅くした場合は、15回(計45個)が良いという結果でしたが、刺す手間を考えると「深めに10回」が効率的と考えます。
しっかり刺せれば、フォークの代わりに爪楊枝や竹串を使っても大丈夫!

実験B

30個の穴の開いた厚さ1cmの輪切り大根を電子レンジ(600W)で、ラップをせずに30秒から135秒まで、変化をつけて加熱しました。
そして、加熱調理後に味の浸み具合やおいしさなどに関する官能検査を行い、適した加熱時間について比較検討したところ、次のような結果に!

電子レンジの加熱時間別比較 図

ラップなしの電子レンジ加熱により、大根の細胞をこわすことで本調理時の加熱時間が短くなり、おでんつゆが大根に速くしみ込むのではないかという想定で行ったこの実験。結果は、しみ込み度合いも全体の色づき度合いも75秒のものが最もよいことがわかりました。
75秒未満では細胞壁の損傷が少なかったため硬くて味が薄く、75秒より多いと細胞壁の損傷が多すぎて塩辛い上に煮溶けてしまうような状態に。

ポイント2 おでん大根の「調味液の量」と「煮込み時間」の理想を
徹底リサーチ!

実験C

おいしいおでん大根に仕上げるための調味液の量を知るために、2パターンの量の調味液をそれぞれの鍋に入れ、実験Aから導いたベストな下処理(30個の穴と電子レンジ75秒)をした大根とともに加熱しました。
IH調理器による加熱は、沸騰するまで強火・その後は ダイヤル4で30分です。すると…?

調味液の量別比較 図

大根の容積に対して3倍のものが、加熱30分後には大根がちょうど浸るくらいの調味液量になっていることがわかり、最適だとわかりました。

実験D

次はベストな煮込み時間を調べました。下処理をしたおでん大根と実験Cでわかった調味液量(大根の容積に対して3倍)を鍋に入れて、20分、30分、40分と加熱した大根の味を比較してみると…?

煮込み時間別の色差とおいしさの比較 図

加熱時間は30分のものが、最もおいしいと判明!
それ以上長い場合は大根が煮崩れてしまい、食感も味も30分のものを下回っていました。
逆に加熱時間が30分よりも短いものは、食感が硬く味のしみ具合も少ない結果に。

そして、さらなる工夫として加熱時間を短くするための試みをプラス。
アルミ箔の落としぶたをして加熱すると、より速く味がしみることを確認!
その結果、20分の加熱時間でOKということがわかりました。

実験E

美味しいおでんの味と最短の煮込み時間、調味液を入れるタイミングの関係を調べてみました。

図

こうして、加熱時間20分のうち調理が半分進んだ10分の時点で醤油とみりんを入れることにより、醤油の香りがよく味も染み込んだ、とてもおいしいおでんができあがりました。

結論:おいしくて美しい「時短!味しみおでん大根」はこう作る!

下処理のフォーク穴が多すぎると、味がしみ込みすぎて塩辛くなってしまうのはちょっと意外でしたね。
また、電子レンジでの加熱やアルミホイルの落としぶたをプラスすればさらなる時短が叶い、味や見た目も良くなるのでぜひお試しを!
30分足らずで味しみおでんが作れるなら、仕事から帰った後にも作れそうですね。

実験の企画実施
至学館大学 健康科学部 栄養科学科 伊藤正江准教授(医学博士)

あなたの契約
まってるニャ

新規ご加入のお客さま

引越し
開始手続き

他社からの
切替え