家電の最新機能【冷蔵庫編】
冷蔵庫の最新機能に注目!
食品を長持ちさせる機能はさらに進化
冷蔵庫は、省エネ性能が年々上昇している機器です。特に最近の注目機能は、おまかせで冷やし過ぎなどの無駄を省いてくれる省エネ機能。メーカーそれぞれに工夫はありますが、上位モデルでは設定をオンにするだけで自動的に使い方を学習し、冷蔵・冷凍など部屋ごとに最適な状態で運転してくれる機能を備えています。
注目すべきは、それだけではありません。冷蔵室や冷凍室、野菜室などで、食品をさらに長持ちさせる機能が充実しているんです。
注目したいのが、さまざまな鮮度保持機能!
チルドルームや冷蔵室、野菜室などへ搭載され充実しています。
冷蔵庫は右表下表のように、各部屋ごとの温度がだいたい決まっていて、同じ肉や魚でも冷凍室、パーシャルルーム、チルドルーム、冷蔵室という順に鮮度が長持ちしやすくなっています。
同じ温度帯なら、どのメーカーのどのモデルでも鮮度を保持できる期間は同じなのですが、各社が工夫をこらして鮮度保持期間を少しでも延ばそうとしています。いくつか紹介しましょう。
冷蔵室 | 約3℃ |
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チルドルーム | 約0℃ |
パーシャルルーム | 約-3℃ |
冷凍室・製氷室 | 約-18℃ |
野菜室 | 約3℃~6℃ |
真空状態で鮮度を保持!
チルドルームの鮮度保持機能で有名なものの1つが、日立の「真空チルド」です。これはチルドルームを真空状態(約0.8気圧)にすることでルーム内の空気(酸素)を減らし、酸化しにくくする(=劣化させにくくする)というものです。酸素がすべてなくなるわけではありませんが、少しでも真空パック状態に近付けて鮮度を保持しやすくしているというわけです。
氷点下で、凍らせずに鮮度を保持!
もう1つが、三菱電機の「氷点下ストッカー」です。こちらもまたユニークです。ものをじっくりと冷やしていくと、氷点下(0℃以下)になっても凍らない「過冷却」という現象があります。氷点下ストッカーはこの現象を生かし、氷点下なのに肉や魚などの食品が凍らない状況を生み出します。-3℃から0℃の間で冷やすため、約0℃のチルドルームよりも鮮度が保持でき、凍らないためお刺身なども安心して冷やせるのが魅力です。
凍ったままで、包丁で切れる!
続いては冷凍室やパーシャルルームなどでの鮮度保持機能を紹介しましょう。
パナソニックの「パーシャルルーム」は、約-3℃に冷やすことで食品を「微凍結」状態にするのが特徴です。微凍結状態なので凍ったまま包丁で切ることも簡単です。
三菱電機の「切れちゃう瞬冷凍」の場合、先ほど紹介した「過冷却現象」を活用します。こちらの場合は、約-7℃で瞬間的に凍らせるというのが大きな特徴となっています。こちらの特徴も「凍っているのに切れる」というところです。さらに約-7℃と温度が低いため、より鮮度が長持ちしやすくなっています。
湿度・ガス・光で野菜の鮮度を保つ!
最近各社がこぞって最新技術を駆使しているのが、野菜室の鮮度保持機能です。野菜の鮮度保持には乾燥を防ぐことが重要なため、各社とも密閉性を高めて湿度をキープできるようにしています。
さらに注目したいのが「劣化防止」です。例えば東芝の「新鮮摘みたて野菜室」の場合、光触媒を搭載することで野菜から出るエチレンガスを分解します。エチレンガスは野菜から出て野菜自身を劣化させてしまうため、これを分解することで野菜の変色やしおれを防いでくれます。
日立の「新鮮スリープ保存」の場合、野菜から出るガスやニオイ成分を分解して炭酸ガスに変える機能を搭載。炭酸ガスは野菜を眠らせるような効果があるため、栄養素の減少を抑えてくれます。
三菱電機の「朝どれ野菜室」もユニークです。こちらはLEDの光によって野菜の光合成を促し、野菜のビタミンCや糖量をアップしてくれるというものです。キャベツやレタスなどは、しばらく保存しておいても色が落ちるどころか緑色が濃くなる場合もあるので注目です。
各社ともそれぞれに鮮度保持機能に特徴があるようです。
買い換え時には、省エネ機能だけでなく、最新機能をしっかりと比較して検討いただくといいでしょう。
ライター:安蔵 靖志(あんぞう・やすし)
IT・家電ジャーナリスト 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)。AllAbout 家電ガイド。日経BP社「日経ネットナビ」「日経ネットブレーン」「デジタルARENA」「日経トレンディネット」などを経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ〜ンの家電ソムリエ」に出演するほか、ラジオ番組の家電製品紹介コーナーの構成などにも携わっている。