家電の買い換え効果【テレビ編】

9年間で約3分の1に!?
「LEDテレビ」でさらに省エネに

多くの方が、アナログ放送が終了した2011年7月までにテレビを買い換えたことと思いますが、その当時から大幅に変わったことの一つが「液晶テレビの省エネ性能の進化」です。

「LED搭載」大幅な省エネを実現し、画質も向上

最近の液晶テレビは以前に比べて大幅に薄型化したのですが、その理由は「LED(発光ダイオード)の搭載」にあります。「LEDテレビ」という表現をご覧になったことはありませんか? 液晶のバックライト(液晶を後ろから照らす光源のこと)を従来の蛍光管(ほとんど蛍光灯と同じようなものです)からLEDに切り替えたことで、薄型化と同時に大幅な省エネ化を実現しました。電球形照明が蛍光灯からLEDになることで消費電力が約2分の1になるのと同じことですね。

例えば32インチテレビを9年前と比べると、約65%もの省エネ……つまり省エネ性能が約3倍にもアップしているんです。多くの方々がテレビを買い換えた2010年あたりから比べても、32インチテレビで約36%、40インチテレビで約45%も省エネ性能が向上しています。

テレビの年間消費電力の推移
グラフ:液晶テレビ32V型 年間消費電力量(kWh/年)

同じ液晶テレビでも、2014年には2006年モデルの3分の1近くにまで消費電力が下がっています(「省エネ型製品情報サイト」より)
出所:各年度の省エネ性能カタログの単純平均値

LEDテレビの登場は2009年ごろですが、当初は高価格帯モデルが中心でした。年を追うごとにLEDテレビが中心になり、現在ではほぼすべての液晶テレビがLEDテレビになっています。

LED搭載の効果は「薄型化」と「省エネ性向上」だけではありません。明るくて色の再現性が高いため、LED以前のテレビに比べて画質も向上しています。映像の暗い部分のバックライトは暗くして、明るい部分のバックライトは明るくするといった制御もできるため、よりダイナミックな映像表現も可能になりました。

4Kテレビの買い換え効果は……?

32インチ、40インチテレビでは6年間で大幅な省エネ効果を実現しているのはお分かりいただけたかと思いますが、「最近話題の4Kテレビの省エネ性はどうなの?」という方も多いのではないでしょうか。

40インチ以上の大型テレビの場合、従来のフルハイビジョンテレビ(従来のテレビ放送をそのまま表示できるテレビ)よりも4倍(縦横各2倍)の解像度を持つ4Kテレビが各メーカーからラインアップされています。解像度が高くて映像が美しく、動画配信サービスを視聴できる機能や録画機能など、機能面でも充実しています。一方で、従来のフルハイビジョンテレビに比べると、その分消費電力はかかってしまいます。

例えば43インチモデルの場合、フルハイビジョンテレビが約80kWh/年(年間電気代は約2180円)なのに対し、4Kテレビは約110kWh/年(同2970円)。50インチの場合はフルハイビジョンが約99kWh/年(同2680円)で4Kテレビは約148kWh/年(同4000円)と、4Kテレビの方が約4割~5割ほど高くなっています。

この理由としては、フルハイビジョンに比べて画質が大幅に向上したことで、高画質化するための映像処理などに電力がかかっていることが挙げられます。また、明るい部分はより明るく、暗い部分はより暗くするといったように映像表現の幅を広げるため、より明るさの出るLEDバックライトを採用しているというのも理由の一つにあります。

もちろん、フルハイビジョンテレビの方が省エネ性能が高いものの、映像の美しさこそがテレビの醍醐味ですよね。4Kテレビの消費電力は、ひと昔前のテレビに比べると、それでも大幅に抑えられています。テレビを楽しむ用途に合わせて、従来のフルハイビジョンテレビか4Kテレビかを選ぶといいでしょう。

ライター:安蔵 靖志(あんぞう・やすし)

IT・家電ジャーナリスト 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)。AllAbout 家電ガイド。日経BP社「日経ネットナビ」「日経ネットブレーン」「デジタルARENA」「日経トレンディネット」などを経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ〜ンの家電ソムリエ」に出演するほか、ラジオ番組の家電製品紹介コーナーの構成などにも携わっている。

近著「予算10万円以内! 本気で原音を楽しむハイレゾオーディオ」(秀和システム)

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