くらしに役立つコラム
いよいよ、本格的な夏がやってきました。連日の暑さに、既に毎日エアコンをフル稼働させているというご家庭も多いのではないでしょうか。
5月におこなった実験内容募集のアンケートの結果「エアコンの掃除をすると、電気代が上がる場合があるって本当?」に多くの票とみなさまの声が集まりました。「エアコンを清潔にしたら消費電力は下がるんじゃないの?」という疑問の声も多く、真相を突き止めるべく、エアコンのフィルター汚れの有無による消費電力量や室温の変化について実験しました。
実験概要
エアコンのフィルターに汚れがたまっている状態を、薄手の不織布を貼ることで再現。風速や、部屋が冷えるまでにかかる時間などを計測する。本文中では、不織布なしのフィルターのことを「綺麗なフィルター」、不織布ありのフィルターのことを「汚れたフィルター」と表現する。
- 不織布で汚れを模擬することによる風速の違い(設定温度26℃)
- 今回使用する実験機器
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エアコン(三菱電機 MSZ-GV5618S/2018年製造)
・冷房能力(冷房面積の目安:LDK15~23畳程度)
・定格能力:5.6kW
・定格消費電力:2.38kW
・風向:上下自動
・風量:自動
- 今回使用する実験住宅
- 30.96m²(19.1畳)のLDK
- 今回の実験環境
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・外気条件は、温度35℃、湿度50%とする。
・エアコンは8時間連続運転する。
・設定温度は、28℃と26℃にて運転して実験。
・室内温度は、床上75cmにおける室内5点の平均値とする。
・室内湿度は、床上75cmにおける室内2点の平均値とする。
汚れがあると、室内がなかなか冷えない!?
まず、フィルターの汚れの有無によって、室内温度にどのような違いがあるのかを実験しました(設定温度28℃)。
設定温度28℃に到達するまでにかかった時間
綺麗なフィルターの場合、試験条件下では運転をスタートしてから約30分後には28℃に到達し、約90分後には26℃前後まで下がって、その室温を維持しています。
一方、汚れたフィルターは温度の下がり方がゆるやかで、3時間でようやく28℃に。5時間が経過しても室内温度はまだ約27℃で、室内が効率よく冷えていかないことがわかりました。
続いて、もう少し設定温度を下げ、26℃に設定した場合を見てみましょう。
設定温度26℃に到達するまでにかかった時間
こちらも同様に、汚れたフィルターだと温度低下がゆるやかでした。
綺麗なフィルターだと約50分で設定温度に到達し、その後26℃前後をキープしているのに対して、汚れたフィルターは8時間経過しても設定温度の26℃に到達しませんでした。
仮に「設定温度に達する」ことをゴールとする場合、「汚れたフィルターでは8時間運転してもゴールに到達しなかった」という結果になりました。