夏や冬の間はエアコンをフル稼働させていて、なかなかエアコンの掃除ができないご家庭も多いのではないでしょうか。
カテエネ研究所でやってほしい実験のアンケートをとったところ、「エアコンの掃除をすると、電気代が上がる場合があるって本当?」に多くの票が集まりました。
なかでも「エアコンを清潔にしたら消費電力は下がるんじゃないの?」という疑問の声が多かったため、真相を突き止めるべく、エアコンのフィルター汚れの有無による消費電力量や室温の変化について実験しました。
1. エアコンを掃除するとどれくらい電気代を節約できる?
エアコンを掃除すると電気代を節約できるといわれていますが、一体どれくらい節約になるのでしょうか。
エアコンや使用環境によっても異なりますが、汚れなどによって風量が30%程度落ちた場合、約15%の余分な電力がかかるようです。実際にどれくらいになるのか、計算してみました。
※6畳タイプのエアコン(冷房時の消費電力:560W)、電気料金は中部電力ミライズの「おとくプラン」の料金単価(21.20円/kWh)にて算出。エアコンの使用時間は8時間。
これらの条件をもとに計算した電気代は以下のとおりです。
エアコンの状態 | 計算式および電気代 |
---|---|
綺麗なエアコンの場合 | 1時間あたりの電気代:0.56kW(560W)×21.20円/kWh=11.872円/h 1ヶ月あたりの電気代:11.872円×8時間×31日=2,944円(注) |
エアコンが汚れていて風量が30%落ちた場合 | 2,944円(綺麗なエアコンの1ヶ月あたりの電気代)×1.15(+15%)=3,385円(注) |
(注)小数点以下切り捨て
使用頻度にもよりますが、エアコンが汚れていると、1ヶ月で441円(3,385円−2,944円=441円)の電気代が余分にかかってしまう計算になります。
つまり、エアコンを掃除することで、6畳タイプのエアコンの場合は1ヶ月で441円の節約に繋がるといえます。
1年間を通して考えると、汚れをこのまま放置した場合はさらに電気代が余分にかかることが予想できます。こまめなエアコン掃除をおこないましょう。
2. フィルターの汚れと電気代の関係性とは?
ここでは、以下の3つの実験結果から、フィルター汚れの有無と電気代の関係性を解説していきます。
- ・室内温度についての実験
- ・消費電力量についての実験
- ・部屋にいる人の「快適さ」についての実験
エアコンを掃除すると電気代が上がる場合があるのか、その真相を見ていきましょう。
2.1. 実験概要
エアコンのフィルターに汚れがたまっている状態を、薄手の不織布を貼ることで再現。風速や、部屋が冷えるまでにかかる時間などを計測する。本文中では、不織布なしのフィルターのことを「綺麗なフィルター」、不織布ありのフィルターのことを「汚れたフィルター」と表現する。
- 不織布で汚れを模擬することによる風速の違い(設定温度26℃)
-
- 今回使用する実験機器
-
エアコン(三菱電機 MSZ-GV5618S/2018年製造)
・冷房能力(冷房面積の目安:LDK15~23畳程度)
・定格能力:5.6kW
・定格消費電力:2.38kW
・風向:上下自動
・風量:自動
- 今回使用する実験住宅
- 30.96m²(19.1畳)のLDK
- 今回の実験環境
-
・外気条件は、温度35℃、湿度50%とする。
・エアコンは8時間連続運転する。
・設定温度は、28℃と26℃にて運転して実験。
・室内温度は、床上75cmにおける室内5点の平均値とする。
・室内湿度は、床上75cmにおける室内2点の平均値とする。
2.2. 室内温度の違い
綺麗なフィルターと汚れたフィルターでは、室内温度にどのような違いが生じるのかを実験しました。
今回は、エアコンの温度設定を28℃にした場合と26℃にした場合の、2つの実験結果から違いを見ていきます。
2.2.1. 設定温度28℃に到達するまでにかかった時間
まずは28℃に設定した場合を見てみましょう。




綺麗なフィルターの場合、試験条件下では運転をスタートしてから約30分後には28℃に到達し、約90分後には26℃前後まで下がって、その室温を維持しています。
一方、汚れたフィルターは温度の下がり方がゆるやかで、3時間でようやく28℃に。5時間が経過しても室内温度はまだ約27℃で、室内が効率よく冷えていかないことがわかりました。
2.2.2. 設定温度26℃に到達するまでにかかった時間
続いて、もう少し設定温度を下げ、26℃に設定した場合を見てみましょう。




こちらも同様に、汚れたフィルターだと温度低下がゆるやかでした。
綺麗なフィルターだと約50分で設定温度に到達し、その後26℃前後をキープしているのに対して、汚れたフィルターは8時間経過しても設定温度の26℃に到達しませんでした。
仮に「設定温度に達する」ことをゴールとする場合、「汚れたフィルターでは8時間運転してもゴールに到達しなかった」という結果になりました。
2.3. 消費電力量の差
さて、これまでの結果を踏まえて、冒頭の「エアコンの掃除をすると電気代が上がる場合がある?」という疑問を検証します。
綺麗なフィルターで運転すると「消費電力量が増え、電気代がかさむ場合がある」というのは本当なのでしょうか?


なんと、運転後3時間までは「汚れたフィルターの方が、消費電力量が低い」という驚きの結果に!
しかしそれは、消費電力量だけの話。
このグラフだけを見ると「短時間運転なら、汚れている方が、電気代が安い!」と分析したくなりますが、前述のように、汚れたフィルターだと短時間で設定温度に到達せず、「フィルターの汚れが原因でエアコン自体がしっかりと機能していない」状態だとわかります。パフォーマンスが悪いため、消費電力量も少ないということがいえますね。
さらに、8時間運転した際の消費電力量は、綺麗なフィルターの方が約22%低い3.57kWhという結果になり、それ以降はもっと差が大きくなることが考えられます。
また、26℃設定の場合、8時間運転しても設定温度に到達していません。フィルターが汚れていることのメリットはないといえそうです。
2.4. 部屋にいる人の「快適さ」の違い
続いて、快適性を示すPMV(温熱環境指標)から、部屋にいる人の「快適さ」について実験してみます。
※PMVについては、着衣量は夏服、代謝量はくつろいでいる状態にて算出。
※PMV(温熱環境指標)…温度環境に関する6 要素(空気温度、平均放射温度、気流、湿度、着衣量、代謝量)の組合せで求めることができ、ISO-7730として、国際規格となっている。PMVは-3から+3の数値によって表され、±0.5以内が快適な条件とされている。なお、PMV値の意味は「-3:寒い」「-2:涼しい」「-1:やや涼しい」「0:どちらでもない」「+1:やや暖かい」「+2:暖かい」「+3:暑い」とされている。
設定温度は28℃で、運転開始から8時間後までのPMVを算定しました。


快適さを示すPMVにも、明確な差が出ました。
人が快適と感じるPMV指数±0.5以内になるまでにかかる時間を見てみると、綺麗なフィルターの場合は1〜2時間ですが、汚れたフィルターの場合は8時間以上かかってしまうことがわかりました。
エアコンの役割は、その部屋にいる人が快適だと感じる空間をつくること。実験では、フィルターが汚れていると、快適な空間をつくるまでに長い時間がかかることがわかりました。
ここまで3つの実験結果を見てきましたが、いかにエアコンの掃除が快適な空間を作るポイントになるかがわかりますね。
ここから先は、エアコンを掃除する際のポイントをいくつかご紹介しますので、ぜひ今日から試してみてください。
3. エアコンを掃除する際のポイント
ここでは、エアコンを掃除する際のポイントを解説します。
暑い夏を快適に、よりおトクに過ごすためにも、以下の3つのポイントをぜひ押さえておきましょう。
3.1. 2週間に1回を目安にフィルターを掃除する
エアコンのフィルターが汚れていると運転効率が悪くなり、無駄な電気代がかかります。
エアコンを毎日使う場合やペットを飼っている場合などは特に汚れやすいので、なるべく2週間に1回を目安にフィルターを掃除するのがおすすめです。
フィルターは掃除機で表面のホコリを吸い取ってから、40℃くらいのシャワーを当てると汚れがキレイに落ちます。
汚れがひどい場合は、中性洗剤を使ってブラシで洗うのもよいでしょう。
最後に、フィルターをしっかりと乾かしてからエアコンに装着します。
吹き出し口も軽く拭いて、清潔に保ちましょう。
3.2. エアコンの室外機も掃除する
エアコンのフィルターだけでなく、室外機の側面や裏側のアルミフィン(熱交換器)と呼ばれる部分が汚れていると、運転効率が悪くなり無駄な電気代がかかってしまいます。
アルミフィンは吹出口とは異なり、室外機の側面や裏側にある薄い金属板のことです。
アルミフィンのゴミを取り除くだけでもエアコンの効率が良くなって冷えやすくなるため、定期的に掃除するのがおすすめです。
アルミフィンの部分はとてもやわらかく、強くこするとフィンが曲がってしまう可能性があります。掃除をする際は、ブラシを使って優しくこするようにしましょう。
なお、室外機と室内機をつなぐ配管(冷媒配管)に無理な力をかけると故障の原因になります。室外機を動かす場合は十分に気をつけましょう。
3.3. 定期的に内部クリーニングもおこなう
定期的にフィルターを掃除していても、エアコンの内部にはホコリやカビなどの汚れが蓄積していきます。専門の業者に依頼して内部クリーニングをしてもらうことで、風速も上がるため節電に繋がります。
特にエアコン内部のフィンや熱交換器と呼ばれる部分は自身で掃除することが難しく、故障に繋がる恐れもあるためプロによる掃除がおすすめです。
使用頻度にもよりますが、エアコンの汚れ具合にあわせて1〜2年に1回は内部クリーニングを依頼し、奥にたまった汚れを掃除してもらいましょう。
4. エアコン掃除以外の節電方法もある
エアコンの掃除以外にも、効果的な節電方法があります。
今後も続く可能性がある電気代の値上げに対応するためにも、ぜひ参考にしてください。
4.1. エアコンの設定で調整する
以下のようなエアコンの設定をおこなうことで、節電に繋げることが可能です。
- 自動運転にする
- 冷房時は28℃、暖房時は20℃に設定する
- 風向を冷房時は「水平」に、暖房時は「水平に対して60°以上の下向き」にする
エアコンを自動運転にすることで、部屋を冷やしたり暖めたりするまでは強風、その後は微風というように一番効率よく風量の調整ができます。結果、余分な電力量をかけずに済みます。
設定温度は、冷房時は28℃、暖房時は20℃を目安にしましょう。冷房時の設定温度を1℃高くすると約13%、暖房時の設定温度を1℃低くすると約10%の節電に繋がります。
なお、冷房時は風向を水平にすることで、冷たい空気を上から下に循環でき、消費電力を抑えられます。一方、暖房時は60°以上の下向きにすることで、暖かい空気を足元までしっかり届けられます。
また、エアコンの設定だけでなく、湿度にも注目してみるとよいでしょう。
夏は湿度を下げ、冬は湿度を上げることによって、同じ温度設定でも体感温度が変化し、より快適に過ごせるだけでなく節電にも繋がります。
夏は除湿器を併用したり、冬は加湿器を使ったり洗濯物の部屋干しをしたりして、湿度を調整する工夫をしてみましょう。
- ※参考:環境省 エアコンの使い方について | 家庭部門のCO2排出実態統計調査
- ※参考:政府広報オンライン 省エネのポイントを部屋別にご紹介! 高くなりがちな冬の光熱費を抑えましょう
4.2. エアコンを買い替える
エアコンを買い替えることも、節電方法の一つです。
環境省によると、エアコンを10年前の製品から現在の省エネ性能の製品に買い替えることで、約15%の節電に繋がるとされています。
また、経済産業省 資源エネルギー庁のデータを見てみると、家庭における家電製品の一日での電力消費割合はエアコンが一番大きく、全体の約3割を占めていることがわかります。
つまり、エネルギー消費量の多いエアコンを省エネ性能の商品に買い替えることで、そのぶん大きな節電効果が期待できるといえます。
買い替える際は、省エネ性能をしっかりチェックし、部屋の大きさに合った適切なエアコンを選ぶようにしましょう。
- ※参考:環境省 基礎知識|省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん」
- ※参考:経済産業省 資源エネルギー庁 家庭でできる省エネ
4.3. 電気料金プランを切り替える
ご家庭の電気使用状況に合った電気料金プランの見直しや切り替えをおこなうことで、節電に繋げることが可能です。
電気の使い方が大幅に変わったのに、電気料金プランを変更していない場合は、一度見直してみるとよいかもしれません。
家族が増えたときや在宅時間が増えた場合は、そのぶん電気代がかかります。使う家電の数や時間が増えた場合も電気代が高くなるでしょう。
例えば、中部電力ミライズでは、電気の使い方に合わせたプランを用意しています。在宅時間が増えた場合は「ポイントプラン」または「おとくプラン」、夜間に家事をすることが増えた場合は「スマートライフプラン」など、今の状況に合わせて電気料金プランを確認してみましょう。
ご家庭に合った電気料金プランの詳細を見てみたい方は、以下からご覧ください。
中部電力ミライズの電気料金メニュー
なお、上記で紹介した電気料金プランをご利用いただくと、電気料金のお支払いにご利用可能なカテエネポイントがたまるので、よりおトクに電気を使いたい方におすすめです。
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5. まとめ
エアコンを掃除せずに汚れたままにしていると、余分な電力量が必要となり、電気代は上がってしまいます。
実験結果からもわかるとおり、エアコンは清潔なほうが高いパフォーマンスを発揮します。快適な空間づくりには、こまめな掃除が欠かせないといえるでしょう。
また、今後も続く可能性がある電気代の値上げに対応するためにも、エアコンの掃除だけでなく、さまざまな節約方法を検討する必要があるでしょう。
中部電力ミライズグループが運営する「e-暮らし」には、ハウスキーピングサービスもあります。この機会にぜひご利用ください。
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