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賃貸契約に必要な持ち物&情報は?「申込み時」
「契約時」で必要なお金も把握しておこう
賃貸契約で必ず用意しておきたいのは「印鑑」「身分証明書」「通帳&口座印」。これらを確実に準備したうえで、気になる物件の契約に向けて不動産業者とのやり取りを進めていきます。
賃貸契約に必要な持ち物
印鑑
シャチハタなどのスタンプ印はNG。基本は認印で問題ありませんが、契約によっては実印を求められる場合もあります。
身分証明証
運転免許証、保険証、マイナンバーカード、パスポートなど。
銀行の通帳&口座印
家賃の支払い(口座引き落とし)の手続きに必要です。
それでは実際に、入居の意思表示となる「物件の申込み」、正式な「物件の契約」の各段階で、どのような書類や情報をそろえておく必要があるのでしょうか?ここでは一般的な「賃貸契約」を例を説明していきますが、不動産会社や物件によって段取りや必要な書類が異なることも。必ず確認の上で契約を進めていくのが良いでしょう。
■物件を申込むタイミングで必要な情報とお金
<必要な情報>
・契約者や他の入居者の情報
契約者本人と他の入居者(家族など)の氏名、生年月日、住所、連絡先(電話・携帯電話・メールアドレスなど)を申込み書に記入します。
・契約者の勤務先の情報
勤務先名、所在地(勤務先住所)、電話番号、所属・役職、勤続年数、年収の他、資本金や従業員数が必要なことも。あらかじめ確認しておくと安心です。
・連帯保証人の情報
連帯保証人の氏名、生年月日、住所、連絡先、契約者との続柄、勤務先名・勤続年数・年収など。連帯保証人をお願いする際に、確認しておきましょう。
<必要なお金>
・申込み金(物件により異なる)
物件によっては申込み金(一時金)を求められる場合もあります。金額は1万円〜家賃1ヶ月分ほどが相場ですが、「契約金の一部に充当する」「キャンセル時は返還される」ことが原則です。また、申込み金を支払った際は、「預かり証」を必ず発行してもらうようにしてください。
■物件の契約タイミングで必要な情報とお金
<必要な情報>
・収入を証明する書類
源泉徴収票または納税証明書を用意します。会社員なら勤務先へ依頼、自営業やフリーランスの場合は税務署で入手します。
・印鑑証明
契約時の「賃貸借契約書」への捺印は、印鑑証明を受けた印鑑を使用します。そのため、契約時居住の自治体(市町村役場)にて印鑑登録、印鑑証明証を発行してもらっておきます。
・住民票
入居予定者全員分が必要です。入籍を機に入居する際には、夫婦それぞれが現住所の住民票を準備しておきます。
・連帯保証人の同意書
連帯保証人が署名・捺印した所定の同意書を提出します。場合によっては、後日、契約書に署名・捺印のうえで、郵送対応することもあります。
<必要なお金>
・敷金
賃料の不払いや退去時の現状復帰費用などに備えて、貸主が担保として預かる費用です。相場は家賃一月分ほどですが、最近では敷金なしの物件も増えています。
・礼金
貸主である大家さんに対し、お礼として支払うお金。あくまでもお礼であるため、退去時の返還はありません。敷金同様、礼金なしの物件も増えています。
賃貸契約の敷金・礼金とは?それぞれの意味と相場をわかりやすくレクチャー!
・前家賃
入居月の家賃の前払いです。たとえば3月に契約・4月から入居する場合、契約時に4月分の家賃をあらかじめ支払います。月の途中で入居する際には「日割り家賃」が発生します。
・仲介手数料
物件の紹介や契約手続きをおこなった不動産会社に支払います。家賃の半額〜1ヶ月分が相場です。
・火災保険料
火災や水漏れトラブルなどの備えとして、損害保険への加入が必要です。自身で選んで加入することも可能ですが、加入証明を求められるケースも。保険料の相場は、一人暮らしで1.5万円、カップルやファミリーで2万円ほどです。
自身の状況によって必要なものが変わることも
学生や新社会人、フリーランスや自営業など、一般的に「収入がない、もしくは不安定」とされる状況の人は、上記に加え、さらに必要となる書類やお金が発生するケースも。
学生(大学生・専門学生)
本人確認書類として「学生証」、入学前の場合は「合格通知書」の提示が求められる場合があります。
新社会人
支払い能力ならびに勤務先の照明として「内定通知書」の提出が求められる場合があります。
フリーランス
貸す側から不安定と見られる傾向にあります。そのため、安心材料となる書類(納税証明書など)の提出やお金の追加(一年分を前払いするなど)などが必要となることも。
02
賃貸契約書のトラブルを避けるために
注意深く見ておきたい8つのポイント
次に、「賃貸借契約書」について解説していきます。
当然ながら物件を借りる際には、賃貸契約書に書かれている内容を理解しておく必要があります。一方で、「専門用語が多くて正直、理解できていない…」という方も多いことでしょう。そこで契約後のトラブルを防ぐためにも、「ここだけは最低限チェックしておいてほしい!」という8つのポイントを解説します。
■賃貸借契約書で注意深く見ておきたい8つのポイント
<①〜④は賃貸契約書の前半!物件の基本情報はここを確認>
①物件情報・設備
建物の名称や所在地、部屋番号や間取り、築年数など、入居予定の物件に間違いないかを確認します。次に「設備」として物件に備え付けられているものをチェック。エアコンやガスコンロなど、契約書に設備「有」となっているものは、通常の使用による故障した場合の修理は大家さん負担なので覚えておきましょう。また、駐輪場や宅配ボックスなど、共用施設の有無も確認します。
②契約期間
契約期間に書かれている年月日の年数が、部屋を使用できる期間です。2年契約で自動更新、もしくは家賃一月分の更新費用がかかるのが一般的ですが、物件により条件が異なることも多いので、あらかじめ確認しておきましょう。
鍵の受け渡し終了後、部屋に入ることはできますが、荷物の搬入などは契約開始日以降が安心です。契約開始日以前に、火災や水漏れなどのトラブルが発生した場合、保険適用外となるので注意しましょう。
③賃料・支払方法
金額に間違いはないか、支払方法や期日についても確認します。部屋の賃料に加え、専用庭などの付属施設使用料、水道代やインターネット使用料、ジムや大浴場などの共有施設がある場合、使用料などが徴収されるケースもあります。納得できない支払いはないか、しっかりと確認しておきましょう。
④貸主・管理会社
物件の「貸主」と、物件を管理している「管理会社」の連絡先や所在地、担当窓口などを確認しておきましょう。また、何かトラブルがあった際にすみやかに連絡がとれるように、スマートフォンの連絡先に入れる・手帳にメモをするなど、すぐにわかるようにしておくことが大切です。
<⑤〜⑧は賃貸契約書の後半!借主と貸主の約束事を箇条書きで記載>
⑤第4条:(賃料)の計算方法を確認する
入居時はもちろん退去(解約)時の費用に関わるので、必ず確認しておきたいポイントです。一般的には、日割り清算・月割り精算・半月割清算の3つ。もっとも一般的なのが日割り清算で、賃料をその月の日数で割った金額×解約日までの日数分が請求されます。月割り精算は、1ヶ月単位の清算です。解約日が何日であっても1ヶ月分の賃料が発生するため、月末の退去(解約)がおすすめです。半月割り清算は月の前半(1日〜15日)での解約であれば半月分、15日を超えると1ヶ月分の賃料がかかります。費用を抑えるためにも忘れずに確認しましょう。
⑥第8条:(禁止又は制限される行為)の取り決めを確認する
この項目には居住における禁止事項が書かれています。たとえば、物件によりさまざまですが、賃借権の譲渡や転貸、ペットの飼育や楽器演奏、排水管の腐食のおそれがある液体を流すなど。貸主に許可をもらえば解消できるものもあるので、気になる項目がある場合には不動産会社に相談してみましょう。
⑦第11条:(乙からの解約)の取り決めを確認する
ここでは「解約(退去)する際、何日前までの申し出が必要か」が書かれています。一般的には、1ヶ月前もしくは30日前と決められていることが多いですが、中には2ヶ月前・3ヶ月前とされている物件もあります。次に引越しをする際に余分なお金を支払わなくて済むように、必ず確認しておきたい項目です。
⑧第14条:(明渡し時の原状回復)の取り決めを確認する
原状回復とは、部屋を次の人に貸し出せるようにクリーニングすること。入居時に敷金を払っていた場合、通常の使用であればほぼ全額返金されますが、故意につけたキズや汚れは、修繕費が借主負担になることも。一般的には、クロスやフローリングの日焼け・床に付いた家具の設置跡、エアコンの汚れなど、通常、生活していく中での汚れや経年劣化は貸主負担、タバコによるクロスの変色・ペットによるキズや汚れ、画鋲よりも大きな壁の穴などは契約者負担となります。原状回復の詳しい内容については「賃貸借契約書」の雛形にも書かれているので、事前に確認しておくと安心です。
特約も見逃すことなく入念チェック!
特約とは、物件ごとに貸主が特別に定めた条件で、特に重要な内容が多いため、きちんと把握しておくことが必要です。一般的に追加されることが多い3つの特約条件は以下のとおりです。
違約金について
貸主が定めた期間内に解約する際、発生する金額のこと。たとえば「2年契約のうち1年未満の解約には違約金一ヶ月分」という条件であれば、1年未満に借主都合で解約すると、必ず違約金を払わなくてはなりません。中には半年未満で2ヶ月・1年未満で1ヶ月という物件もあるため、必ず確認しておきましょう。
鍵の交換や取り付けについて
鍵の交換・取り付けを勝手におこなうことを禁止している物件は多く、発覚した際には契約違反になる可能性も。禁止の理由は、トラブル発生などの緊急時に、予備の鍵で解錠できなくなってしまうためです。同様の理由から、スマートキーやデジタルキーを禁止している場合もあります。
SOHO利用について
SOHOとは「自宅兼事務所」のこと。事務所利用禁止だけでなく「ウェブ上に住所の掲載禁止」と定められていることも。この場合、習い事の教室やネイルサロンなども契約違反になるため、事前に確認するようにしましょう。
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賃貸契約の連帯保証人にはどんな条件がある?
「保証人なし物件」の落とし穴とは
連帯保証人とは、契約者が家賃を滞納した際、契約者に代わって家賃を支払う義務を負う人のこと。契約者と同等の責任があるため、保証人になるための条件を満たしている必要があります。
具体的には「安定的かつ継続的な収入があること」「2親等以内の親族(親・兄弟・祖父母・孫)であること」などが一般的で、申込み時(入居審査)に収入証明の提出を求められます。保証人がいらない「保証人不要物件」もありますが、注意点とともに、きちんと理解したうえで選択しましょう。
■保証人不要物件の注意点
保証人の代わりに保証会社との契約が大前提となるため、契約および更新料がかかります。もしくは、さまざまな理由により、入居者が決まりにくい物件である可能性も。
たとえば、立地条件が悪い・取り壊しが決まっているため短期間の限定契約・事故物件など告知事項がある場合などです。保証人を不要としている理由があるはずなので、不動産会社に必ず確認しましょう。
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賃貸契約時の疑問や質問は契約前に
しっかりと確認を
引越し時の賃貸借契約には、複雑に感じることや不安を覚えることもあるかもしれません。しかし、契約においてもっとも重要なのは、気になるところや疑問点を契約前にしっかりと確認することです。納得いかない内容であったとしても、契約締結後には覆すことが難しいと覚えておきましょう。後から後悔することがないように、契約書の記載内容をしっかりと理解しておくことが大切です。
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