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ハテナを解決!ガスまるわかり通信 Vol.2

ガス代の値上げによる
家計への影響は今後も続く?
高騰の原因や節約方法もご紹介

昨今の物価高騰は生活のさまざまな部分に影響を及ぼしています。なかでも、日常生活に欠かせないガス代の高騰は、とりわけ家計に大きな影響を与えるものです。なぜこれだけの値上げが起きているのか、この傾向は今後も続くのか、不安を感じる方も多いと思います。

この記事では、近年のガスの値上げについて、統計データを使いながら高騰の原因や今後の動向を解説します。さらに、ガス代を少しでも節約する方法について、複数の観点から解説します。

1 一般的なガス料金の内訳

一般的なガス料金の内訳は、以下のように計算されます。

ガス料金の計算の図

ガス料金(円)=
基本料金(円)+単位料金(円/㎡)×ガス使用量(㎡)


基本料金とは、ガス会社との契約で毎月必ずかかる料金です。その料金に、単位料金にガス使用量をかけた金額が従量料金として乗せられます。

単位料金は、基準単位料金と原料費調整額により決まります。基準単位料金は各ガス会社が規定している料金で、会社によってはガスの使用量が多くなるほど単価を下げる従量料金単価が設定されています。

原料費調整額は、為替レートや原油価格の変動に応じて毎月調整される価格です。現在、原料費調整額は長期にわたって増加傾向にあり、それに伴ってガス代が値上げの傾向にあるのです。

なお、原料費調整額は大幅な消費者負担にならないように上限が定められていますが、原料費の高騰が続くなか、上限の引き上げや撤廃を検討しているガス会社も少なくありません。

2 ガス料金の3年間の推移

※出典:政府統計の総合窓口「家計調査
※出典:石油情報センター 「一般小売価格」LP(プロパン)ガス 確報

ガス料金の3年間の平均推移を見ると、ガス代全体とプロパンガスの双方が増加傾向にあることがわかります。

例えば、年度ごとの1月で比較した場合、以下の増加が見られます。

  • ・ 2021年1月:4,514円
  • ・ 2022年1月:5,395円(対前年比+19.5%)
  • ・ 2023年1月:7,434円(対前年比+37.8%)

一貫して増加傾向にありますが、特に2022年と2023年を比べると40%近い増加が起きています。

なお、ガス代全体の平均は2023年1月をピークに減少に転じていますが、これは2023年1月から実施された政府からの補助施策による値下がりが要因として挙げられます。

プロパンガスはそもそも供給方法の違いから単価が高い傾向にあります。上昇幅はガス全体の平均よりはゆるやかですが、一貫して微増傾向にあることがわかります。

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3 ガス料金高騰の原因

ガス料金の高騰にはいくつかの要因が考えられますが、特に大きく現在の値上げに影響しているのは以下の2つです。これらの現象が高騰につながる原因と併せて解説します。

円安

円安は、ガス料金においては不利に作用します。日本は都市ガスの原料である液化天然ガス(LNG)の輸入量が、世界1位(世界シェア約2割)の輸入大国です。

プロパンガスも75%を輸入からまかなっています。そのため、円高の影響はガスの原料調達価格に大きな影響をもたらします。

2023年10月上旬時点のレートでは、1ドルは150円弱。2021年までの数年間が110円前後であったことを考えると、2年で30%以上の大幅な円安が起きています。この影響がガスの原料輸入価格に大きく響き、値上げの大きな要因となっています。

※出典:日本ガス協会 天然ガスの取引量
※出典:日本LPガス協会 LPガス事業の現在:供給

国際情勢の変化

2022年2月より始まったロシアのウクライナ侵攻も、ガスの高騰に大きく影響していると考えられます。ロシアは原油やLNGなどのエネルギーを多く輸出する資源輸出大国。2018年のデータでは、LNGの輸出量で世界4位となっています。

しかし、ロシアのウクライナ侵攻に伴い、ロシアへの経済制裁、武器の調達原資となる資金源の停止の観点から、ロシアの原料を輸入しない動きが世界的に広まっています。そのため、ロシア以外の国からの原料輸入に需要が集中し、値上がりの傾向が高まったのです。

※出典:日本ガス協会 天然ガスの取引量

4 ガス料金の今後の動向

ガス料金は今後も値上げが続く可能性があります。円安や国際情勢の影響が長期化すればするほど、ガスの原料調達コストは影響を受けるでしょう。

このような流れを受け、多くのガス会社では、原料費調整額の上限の引き上げもしくは上限額の撤廃を実施する流れがあります。

原料費調整額の上限設定の引き上げ、もしくは廃止された場合、円安や国際情勢の影響はガス代により直接的に響くことになります。その結果、大幅な値上げへと繋がってしまう可能性もあるでしょう。

加えて、政府の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」による補助は今後終了する予定があるため、2024年以降は補助金で値引きされていた額がガス代に上乗せされる可能性もあります。

今後、円安の緩和や国際情勢の沈静化などにより状況が好転する可能性もありますし、政府が新たな政策を打ち出す可能性もありますが、今後さらなる値上げが起きる可能性があることも認識しておきましょう。

5 ガス代の節約方法

高騰傾向にあるガス代を少しでも抑える方法としては、ガスの使用量を抑えることや、ガスの契約を見直すことが考えられます。以下、具体的な節約方法について見ていきましょう。

お風呂、キッチンの使い方を見直し

年間を通してガスを利用するお風呂やキッチンの使い方を見直せば、ガスの使用量を減らし、ガス代を節約できます。

例えば、お風呂のガス使用量を節約するには、以下のような方法があります。

  • 湯量や温度を調整する
  • 浴室内や浴槽のお湯の温度が下がらないようにする
  • お風呂場を使わないときは給湯システムをオフにする
  • シャワーヘッドを節水タイプに交換する
  • シャワーの時間を短縮する

無理のない範囲で上記のような工夫をすることで、使うガスの量を減らせます。湯量を減らすことは水道代の節約にもなります。

また、浴槽の追い焚きにも多量のガスを使うため、可能な限り控えることも重要です。世帯人数が多い場合は、間隔を空けずに入浴することで追い焚きのコストを抑えられます。

キッチンでは調理や洗い物に使うお湯でガスを使いますが、以下のような方法で使うガスの量を節約できます。

  • お湯の使い方を工夫する
  • 家電製品を利用する
  • 熱効率を良くする
  • 調理回数を減らす
  • 調理時間や方法を調整する

調理する際は火加減を調整することや、一度の調理で多く作って調理の回数を減らすこと、電子レンジやケトルなど家電製品を上手に併用することが節約に繋がります。

洗い物では、少し温度を下げることや、こまめに水を止めること、時間の短縮を心がけることでガスの節約が可能です。

より具体的な節約方法や節約が期待できる金額については、以下の記事にまとめています。

ガスまるわかり通信「ガス代の節約方法17選!お風呂やキッチンなど見直すべきポイントを紹介」

契約会社やプランの見直し

ガスの契約内容や契約するガス会社を見直すことで、ガスの使い方を変えずにガス代を下げられる可能性があります。

2017年以降、ガスの小売りが自由化したことで、多くの事業者がガス販売事業に参入しました。料金設定は各社異なるため、単価が安いガス会社、ご家庭のガスの使い方でメリットが大きいプランを提供しているガス会社などを選択することで、ガス代を削減できる可能性があります。

また、支払方法をクレジットカードにすることで還元ポイントを獲得し、実質的に割引になります。ガス会社によっては、提携カードの利用でさらに割引できる場合もあります。

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6 ガス契約見直しのポイント

ガス契約の見直しはガス代の節約に直結する可能性もありますが、しっかり確認しなければ、むしろ余計なコストが発生してしまう可能性もあります。ガス契約見直しのポイントについて見ていきましょう。

契約見直しの際の注意点

ガス会社を切り替える際、初期費用が発生する場合もあります。契約の内容によっては、手数料や違約金を元のガス会社に支払わなければならない場合もあります。

また、プロパンガスを都市ガスに切り替える場合は、都市ガスを宅内に引き込むための工事や設備の切り替え工事を要するため、一定の費用が発生します。

こういった初期費用が発生するのかを事前に確認するのはもちろんですが、かかった初期費用をどのくらいの期間で元が取れるのかをシミュレーションすることも重要です。

ガス会社の選び方

ガスは、プランや料金設定が会社ごとに異なります。そのため、どのガス会社と契約するのがお得になるのかは、ご家庭でのガスの使い方によって異なります。しっかりシミュレーションをして、我が家に合ったガス会社を選びましょう。

また、アフターフォローが充実しているガス会社を選ぶことも重要です。ガスが止まるなどのトラブルが起きた際、どれくらい早く対応してもらえるのかはガスの利便性に直結しますから、特に重視すべきポイントといえるでしょう。

中部電力ミライズの「中部電力 ガス機器サポートセンター」なら、24時間365日受付体制で、お近くの点検のプロが自宅に駆けつけてくれます。点検・修理が必要なときも、ガス機器のメーカー問わず対応可能。トラブル時のアフターフォローも万全なので、安心です。

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7 まとめ

2023年現在、ガス代は円安とロシアのウクライナ侵攻の影響を受けて大幅に値上がりしています。このような流れのなか、ガス会社が原料費調整額の上限の変更や撤廃を検討していることから、今後も値上げの傾向が続く可能性があります。

ガス代を抑えるためにできることは、ガスの使い方を見直すことや契約の変更などがあります。できることからぜひ始めてみてください。

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