くらしに役立つコラム
Vol.5
実はガスファンヒーターの
ガス代は高くない?
エアコンとの比較や
上手な組み合わせ方
ガスファンヒーターは、スイッチを入れるだけで部屋を暖めてくれる、寒い冬にうれしい暖房器具です。しかし、近年のガス代高騰のなか、ガスファンヒーターにかかる費用に頭を悩ませる方もいるのでは?また、ほかの暖房器具にかかる費用と比較したいと考えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ガスファンヒーターのガス代について、具体的な機種や数字を使ったシミュレーションをしています。ほかの暖房器具にかかる費用や性能を比較しながら、ガス代を節約できる使い方について詳しく解説します。
もくじ
1
ガスファンヒーターに
かかる費用は?
ガスファンヒーターを使うと、電気代とガス代がかかります。それぞれどれぐらいかかるのか、具体的にシミュレーションしてみましょう。
- <条件>
- ・機種:ノーリツ ガスファンヒータ デラックスタイプ GFH-4007D
- ・暖房目安:木造11畳・コンクリート造15畳
- ・1kWhあたりの電力量料金:25.80円/kWh(中部電力との契約で、電力消費量が120kWh~300kWhまでの場合)
- ・1㎥あたりの都市ガス料金:156.29円(中部電力との契約で、1ヶ月の使用量が 21㎥~50㎥の場合)
- ・消費電力:15W
- ・ガス消費量:4.07kW
※出典:ノーリツ ガスファンヒーター シリーズカタログ2023.I
※参考:中部電力ミライズ 基本メニュー(電灯契約)|個人のお客さま
※参考:中部電力ミライズ 料金の計算方法|個人のお客さま
電気代
上記の条件で1日(8時間)使用した場合、電気代は3.096円かかります。電気代は次のような式で計算ができます。
電気代=消費電力(W)÷1,000×1日の使用時間×1kWhあたりの電力量料金(円/kWh)
この式に上記の数字を当てはめると、以下のようになります。
電気代=15W÷1,000×8×25.8=3.096円/日
ガス代
上記の条件で1日(8時間)使用していた場合、ガス代は407.1円かかります。ガス代の計算式は次の通りです。
ガス代=ガス消費量(kW)×3.6MJ/h×時間(h)÷ガスの発熱量45MJ/㎥×ガス料金(円/㎥)
※出典:大日本図書 キロワット時|単位プラス|大日本図書
※参考:中部電力ミライズ 当社の都市ガスについて|個人のお客さま
この式に前提条件の数字を当てはめると、1日あたりのガス代が計算できます。
ガス代=4.07×3.6×8÷45×156.29=407.1円
実際にかかるガス代、電気代は前提条件が変われば変動しますが、ガスファンヒーターにかかる費用のうち、電気代として発生するのはほんの僅かであり、ほとんどがガス代であることがわかります。
なお、都市ガスではなくプロパンガスの場合、1㎥あたりの全国平均の単価は706円でした。この単価を当てはめたガス代は、1日(8時間)あたり1,839円になります。
ガス代=4.07×3.6×8÷45×706=1,839円/日
プロパンガスでガスファンヒーターを使うと、より多くの費用がかかってしまうことがわかります。
2
ほかの暖房器具との
費用を比較
ガスファンヒーターの使用時にかかる費用は、ほかの暖房器具と比べて高いのか安いのか気になる方も多いと思います。
そこで、一般に使われることの多い石油ファンヒーター、電気ファンヒーター、エアコンについても、具体的な機種や基本料金でシミュレーションしてみました。
なかでもエアコンと電気ファンヒーターのコストは、ガスファンヒーターと比べて40%程度安いことがわかりました。詳しく見ていきましょう。
石油ファンヒーターのコスト
石油ファンヒーターを1日(8時間)使用するのに必要な費用は、約450.68円です。計算式はガスファンヒーターと同じです。
石油ファンヒーターを動かすには、電気代および灯油代がかかります。灯油代は以下のような式で計算が可能です。
灯油料金=燃料消費量(L/h)×1日の使用時間×1Lあたりの灯油料金(円/L)
これを具体的な機種や数字に当てはめてシミュレーションしてみます。
- <条件>
- ・機種:ダイニチ FW-4722GR
- ・暖房目安:木造12畳・コンクリート造17畳
- ・1kWhあたりの電力量料金:25.80円/kWh
- ・(中部電力を契約で、電力消費量が120kWh~300kWhまでの場合)
- ・消費電力:70 W(周波数50/60Hz地域の場合。点火時は370W)
- ・灯油の原価:約119.3円/L
- ・燃費消費量:0.457L/h
※出典:ダイニチ FW-4722GR
※参考:中部電力ミライズ 基本メニュー(電灯契約)|個人のお客さま
※参考:資源エネルギー庁 調査の結果|石油製品価格調査
※灯油価格は8月7日時点の店頭全国価格を採用。
当てはめた計算式は以下の通りです。
電気料金=70÷1,000×8×25.8=14.448円
灯油料金=0.457×8×119.3=436.16円
合計で450.68円と計算できます。ガスファンヒーターと比較し、10%程度割高になる計算です。
電気ファンヒーターのコスト
電気ファンヒーターを1日(8時間)使った場合の電気代は、260円程度です。計算式はガスファンヒーターと同じです。
- <条件>
- ・機種:アイリスオーヤマ JCH-12DH
- ・1kWhあたりの電力量料金:25.80円/kWh
(中部電力を契約で、電力消費量が120kWh~300kWhまでの場合) - ・消費電力:1,260W
※出典:アイリスオーヤマ 人感センサー付セラミックヒーター ハイタイプ|ベーシック|セラミックファンヒーター
※参考:中部電力ミライズ 基本メニュー(電灯契約)|個人のお客さま
電気ファンヒーターは電気のみで動かせるため、数字を式にあてはめると以下のように計算できます。
電気ファンヒーターの電気代=1,260÷1,000×8×25.80=260円/日
ガスファンヒーターと比較し、40%程度安いことがわかります。
エアコンのコスト
エアコンの1日(8時間)の電気代は、239.42円程度です。計算式はガスファンヒーターと同じです。
- <条件>
- ・機種:ダイキン AN363AES-W
- ・暖房目安:9畳~12畳
- ・1kWhあたりの電力量料金:25.80円/kWh
(中部電力を契約で、電力消費量が120kWh~300kWhまでの場合) - ・消費電力:1,160W
※出典:ダイキン Eシリーズ 製品情報 | ルームエアコン
※参考:中部電力ミライズ 基本メニュー(電灯契約)|個人のお客さま
エアコンも電気ファンヒーター同様、電気代のみで動かせます。
エアコンの電気代=1,160÷1,000×8×25.80=239.42円
こちらも電気ファンヒーター同様、ガスファンヒーターと比較すると40%強安い計算です。
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3
ほかの暖房器具との
メリットデメリットを比較
ガスファンヒーターとほかの暖房器具の暖房速度やコスト、利便性を比較してみましょう。
各暖房器具の暖房速度・コスト・利便性比較表
暖房速度 | コスト | 利便性 | |
---|---|---|---|
ガスファンヒーター | 速い | やや高い | やや低い |
石油ファンヒーター | 速い | 高い | 低い |
電気ファンヒーター | 遅い | 低い | 高い |
エアコン | やや遅い | 低い | 高い |
ガスファンヒーター
ガスファンヒーターの大きなメリットとしては、部屋全体をすぐに暖められることが挙げられます。
また、石油ファンヒーターと異なり燃料タンクがないため軽量で扱いやすく、給油の手間もないこともメリットといえるでしょう。
一方、デメリットとしては、ガス栓がないと使えないことが挙げられます。オール電化住宅でガスファンヒーターを使いたければ、そのためだけにガスを契約する必要があります。
石油ファンヒーター
石油ファンヒーターもガスファンヒーターと同様、部屋全体をすぐに暖められる暖房器具です。
昔から使用されている器具であるため、操作方法がシンプルで扱いやすいことや、灯油が燃える時に水蒸気が発生するため加湿効果があることもメリットといえるでしょう。
デメリットとしては、使用するのに灯油が必要であるため、灯油の購入費用や給油の手間が発生します。
また、灯油独特の臭いが発生することなどから、マンションや賃貸物件においては石油ファンヒーターの使用が禁止されているケースも珍しくありません。
電気ファンヒーター
電気ファンヒーターのメリットには、ガスや石油のファンヒーターと比較して安全性が高いことが挙げられます。ガスや灯油を使う場合には定期的な換気が必要となりますが、電気ファンヒーターの場合はそういった手間をかけることなく使えます。
コンパクトで設置しやすく、電源さえあればどこでも使えるため、利便性の高い暖房器具といえるでしょう。
一方、電源を入れてから部屋が暖まり始めるまでに時間がかかることや、広い部屋全体を暖めるには適していないことがデメリットとして挙げられます。また、使っていると空気が乾燥してしまう点にも注意が必要です。
エアコン
エアコンは、部屋全体を暖めることを得意とする暖房器具です。電気だけで使えるため給油などの手間もなく、スイッチをピッと入れるだけで使えます。
エアコンは、室内機と室外機をつなぐ管の中を通る「冷媒」と呼ばれる流体を循環させることで暖気を部屋に送り込みます。火を使わないため、安全性が高く、空気が汚れにくいこともメリットとして挙げられます。
一方、暖気が対流することで部屋を暖めるため、一部分を集中的に暖めるのには適しません。
また、エアコンの室内機は部屋の高い部分に設置するのが一般的です。そのため居住スペースを圧迫することは少ないですが、室外機を取り付けるためのスペースをベランダなどに確保しないとならない点には注意が必要です。
4
ガスファンヒーターでかかる
ガス代を節約するには?
ガスファンヒーターは機能性の高い暖房器具ですが、コストは比較的かかるといえます。ガスファンヒーターを上手に活用しながらガス代を節約する方法について見ていきましょう。
設定温度を低めにする
設定温度を低めにすると、消費するガスの量が抑えられるため、ガス代を節約できます。寒すぎない範囲で設定温度を下げ、衣類を着こむなどの方法で防寒対策すれば、節約しながら暖かい状態を保つことが可能です。
仮にガスファンヒーターの温度を1度下げた場合、年間で約1,320円の節約効果が得られます。
(注)外気温度6℃、暖房の設定温度を21℃から20℃に設定。1日の使用時間を9時間とした場合。
※出典:資源エネルギー庁 空調 | 無理のない省エネ節約 | 家庭向け省エネ関連情報
タイマーやエコ機能を使用する
不要な時間は使わない、もしくはこまめに温度を調整することでも、ガスファンヒーターにかかるガス代を抑えられます。
タイマー機能やエコ機能がついているなら、ぜひ活用しましょう。設定温度や室温に合わせて燃焼をオフにしたり、設定温度を下げたりといった操作を自動的におこなってくれるため、こまめに気を配らなくてもガスの節約が可能です。
暖房器具を組み合わせる
使用料金が低いほかの暖房器具と組み合わせて、ガスファンヒーターの使用を抑えることも有効です。
例えば、以下のような組み合わせがおすすめです。
【ガスファンヒーター+エアコン】
最初はガスファンヒーターを使い、部屋全体が暖まってきたらエアコンに切り替えます。
【ガスファンヒーター+電気ファンヒーター】
ガスファンヒーターの設定温度を低めにして部屋全体を暖め、足元は電気ファンヒーターで集中的に暖めます。
暖房効率をよくする
暖房効率をよくすることで部屋を暖めるのに必要なガスの量を減らせれば、ガス代の節約に繋がります。例えば、以下のような方法で暖房効率を上げることが可能です。
- ・断熱シートで部屋の温度を下がりにくくする
- ・サーキュレーターで暖気を循環させる
- ・暖房器具を部屋の隅に置くなど、暖気を循環しやすくする
ガス会社や契約プランを見直す
ガスの契約プランやそもそも契約しているガス会社を見直し、使用するガスの単価を下げることも、ガス代の節約に直結します。
ガス代のシミュレーションを実施し、ご家庭での使い方に合った、もしくはガスの提供単価が安いプランや電力会社を選択することが重要です。
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5
カテエネでガス代を
見える化
現在のガス代が高いと感じている方は、ガスの使い方を見直すことをおすすめします。
中部電力ミライズが提供する家庭向けWEBサービス「カテエネ」をお使いいただくと、我が家にぴったりの省エネ方法がわかります。月ごとの電気使用量や電気料金を昨年と比較できるので、省エネ意識がより高まるでしょう。
過去の使用量などがグラフ化され、省エネのアドバイスをご覧いただけます。
カテエネの料金・使用量の見える化について詳しくはこちら
ガスの使用量を分析することで節約への道筋が見えるだけでなく、支払いでカテエネポイントを貯めたり使ったりできるため、オトクに節約できます。
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6 まとめ
ガスファンヒーターは短時間で部屋を暖めるのに適しており、比較的使い勝手も良い暖房器具ですが、エアコンや電気ファンヒーターと比べるとコストがかかる傾向があります。しかし、上手に工夫することで、ガス代を抑えながらガスファンヒーターを使うことも可能です。
また、ガスの契約自体を見直すこともガス代の節約に直結します。ガスファンヒーターをお使いの方は、今回の記事を参考にガス代の節約を始めてみませんか?
また、ガスの毎月の使用量を簡単に確認できる家庭向けWEBサービス「カテエネ」のご活用もおすすめです。登録・利用は無料ですので、ぜひこの機会にご登録ください。