コラム

公開日:2025.7.31

家庭用蓄電池とは?メリット・デメリットや種類、選び方を解説

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家庭用蓄電池とは?
メリット・デメリットや
種類、選び方を解説

家庭用蓄電池は、使い方次第で電気料金の節約に繋がるだけでなく、停電時の非常用電源としても活用できます。蓄電池の導入を検討する際は、容量や寿命、価格などを十分に比較し、ご家庭に最適な製品を選ぶことが重要です。

この記事では、家庭用蓄電池の概要やしくみをわかりやすく解説します。導入のメリット・デメリットや、選び方のポイントも紹介しているので、蓄電池の設置を考えている方はぜひ参考にしてください。

1 家庭用蓄電池とは?

家庭用蓄電池とは、太陽光などで発電した電気や電力会社から購入した電気を蓄え、自宅で必要なときに使えるようにする設備です。

例えば、太陽光発電と家庭用蓄電池を併用すれば、日中に発電した電気を蓄電池にためておき、夜間に使用できます。このように、蓄電池をうまく活用することで、電力会社からの電気購入量を減らせる可能性があり、節電効果も期待できます。

1.1. 家庭用蓄電池のしくみ

家庭用蓄電池のしくみは、後述する蓄電池の種類によって異なります。単機能型の蓄電池と太陽光発電を併用した場合に、家庭で電気を使用するまでの流れは以下のとおりです。

  1. 太陽光パネルが太陽の光を受けて直流の電気を発電する
  2. 発電した電気をパワーコンディショナで直流から交流に変換する
  3. 分電盤を通じて交流の電気を家庭内の各部屋や家電に振り分ける
  4. 余った電気を再び直流に変換し、蓄電池にためる
  5. 蓄電池にためた電気をパワーコンディショナで直流から交流に変換し、家庭内に供給する

太陽光発電でつくられる電気は直流ですが、家庭で使うには交流に変換する必要があります。一方、蓄電池は直流電力しか蓄えられないため、一度交流に変換された電気を再び直流に戻してから蓄電します。

以下の記事では、太陽光発電のしくみやメリット・デメリットを紹介しているので、ぜひあわせてご覧ください。

関連記事:太陽光発電とは?しくみとメリット・デメリット、導入方法をわかりやすく解説

1.2. 覚えておきたい!
家庭用蓄電池にまつわる用語

家庭用蓄電池を導入するうえで、あらかじめ知っておきたい基本用語とその意味は以下のとおりです。

用語 意味/概要
蓄電池 充電によって電気を蓄え、繰り返し使用できる電池。乾電池のような使い切りタイプを「一次電池」と呼ぶのに対し、蓄電池のように繰り返し使えるタイプを「二次電池」と呼ぶ。
パワーコンディショナ
(以下パワコン)
太陽光発電などの設備で発電された電流を直流から交流に変換する装置。電気を変換するだけの機器で、単体では電気を利用できない。
リチウム
イオン電池
現在の家庭用蓄電池の主流である充電式蓄電池。正極と負極のリチウムが酸化・還元することで電気エネルギーを生成する。
容量(kWh)・
出力(kW)
  • 容量(kWh):蓄電池が蓄えられる電力量の単位。
  • 出力(kW):蓄電池から瞬間的に取り出せる電力の大きさを示す単位。
全負荷型・
特定負荷型
  • 全負荷型:停電時に家全体へ電気を供給できるタイプの蓄電池。
  • 特定負荷型:停電時に特定の部屋や機器だけに電気を送る蓄電池。

蓄電池選びで適切な判断ができるように、これらの用語の意味を少しずつ覚えていきましょう。

2 家庭用蓄電池の種類と特徴

家庭用蓄電池は主に「連系型」と「スタンドアロン型(独立型)」に分類できます。

連係型は、電力会社の系統(送電網)に接続された状態で、太陽光発電で発電した電力を蓄えたり、逆に電力会社から電気を充電したりできるタイプの蓄電池です。

一方、スタンドアロン型は、太陽光発電と連携せずに使用するタイプで、家庭のコンセントからあらかじめ充電し、災害時などの非常用電源として使われます。ソーラーパネルやペダル式発電でつくった電気を蓄電できる製品もありますが、容量が小さい傾向があるため、家庭全体の電力需要をまかなう用途にはあまり適していません。

そのため、ここでは太陽光発電と組み合わせて使用する家庭用蓄電池の種類と、それぞれの特徴を解説します。

2.1. 単機能型

単機能型は、太陽光発電用のパワコンと蓄電池用のパワコンがそれぞれ独立しているタイプで、「シングル型蓄電システム」とも呼ばれます。

蓄電池専用のパワコンは家庭用蓄電池のみに作用するため、太陽光発電と蓄電池が別メーカーであっても設置可能です。そのため、太陽光発電をすでに導入している家庭が蓄電池を追加する場合でも採用しやすいでしょう。

2.2. ハイブリッド型

ハイブリッド型は、1台のパワコンが太陽光発電と蓄電池の両方に作用するタイプで、「ハイブリッド型蓄電システム」とも呼ばれます。

1台のパワコンに統合することで、太陽光で発電した電気を交流に変換せず、直流のまま蓄電池に蓄えられます。一般的には、変換回数が少ないぶん単機能型と比べて変換ロスが少ないとされているため、電気を効率的に活用できるのが特徴です。

2.3. 多機能型

多機能型は、1台のパワコンが太陽光発電、蓄電池、V2H(電気自動車にためた電力を家庭で使用するための機器)の3つに作用するタイプで、「トライブリッド型蓄電システム」とも呼ばれます。

このシステムでは、太陽光発電、蓄電池、V2Hのすべてを1台のパワコンで連携できるため、変換ロスを最小限に抑えて効率的に電気を使えます。

また、停電時にも蓄電池や電気自動車に蓄えた電気を家庭に供給できるため、非常用電源としても高い安心感があるでしょう。

3 家庭用蓄電池のメリット4つ

家庭用蓄電池を活用することで、日々のくらしにさまざまなメリットをもたらします。ここでは、家庭用蓄電池を導入する4つのメリットを紹介します。

3.1. 電気料金を節約しやすい

家庭用蓄電池を導入するメリットの一つに、電気料金を節約しやすいという点が挙げられます。

例えば、時間によって電気料金が異なるプランを契約している場合、電気料金が割安な時間帯に蓄電し、割高な時間帯に使用すると節約に繋がります。

さらに、太陽光発電と併用することで節約効果はより高まります。昼間は太陽光で発電した電気を使用し、夕方や夜間は蓄電池にためた電気を使うことで、電力会社からの電気購入量を減らせます。

このように、太陽光発電による自家消費や売電に加え、蓄電池も活用することで、実質的な電気料金の削減が期待できます。

3.2. 余剰電力を活用できる

蓄電池がない場合、太陽光発電によって生じた余剰電力は固定価格買取制度(以下FIT制度)を活用し、電力会社へ売電します。

FIT制度とは、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーで発電された電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。一般家庭で多く採用されている容量10kW未満の太陽光発電の場合、認定から10年経過するとFIT制度の対象期間が終了(注)します。

FIT制度終了後には売電価格が下がるため、従来のような売電収入は期待しにくくなります。

一方、すでに蓄電池を導入している家庭であれば、卒FITを迎えた際も、日中の余剰電力を蓄電して夕方以降に使う自家消費を活用できます。そのため、蓄電池があれば、太陽光発電だけ導入している家庭と比較して、売電に頼らず、自家消費率が高いことから、売電収入が減ったあとでも大きな影響はないでしょう。

なお、蓄電池を設置していないご家庭でも、あらたに導入することで、より多くの電力を自家消費できるようになり、太陽光発電の活用が期待できます。

  • (注)最新の情報は経済産業省などの公式ホームページをご確認ください。

3.3. 災害時の非常用電源として
活用できる

地震や台風などの自然災害によって停電が発生することがありますが、家庭用蓄電池に電気を蓄えておくことで、非常用電源として活用できます。停電時でも、蓄電池にためた電気を使って照明や冷蔵庫、テレビなどの家電製品を一定時間利用できるのが特長です。(注)

蓄電池の容量や電気の使用量によって使用可能時間は異なりますが、数時間から数日間にわたり電力を確保できるケースもあり、停電対策として役立ちます。

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  • (注)
  • ・停電時に使用できる機器はあらかじめ専用配線に接続しておく必要があります。専用配線は、平常時・停電時ともに定格出力(自立)まで使えます。
  • ・停電時に蓄電池に電気が貯まっている前提です。

3.4. 地球環境に優しい

家庭用蓄電池と太陽光発電を併用する場合、自然エネルギーから発電した電気をそのまま使えるだけでなく、ためた分もさらに使えます。そうすることで、より多くの自然エネルギーを自宅で使うことができるので、地球環境に優しいという点がメリットの一つです。

また、多機能型の蓄電池とV2Hを導入すれば、太陽光で発電した電気を電気自動車の動力としても利用できます。家庭内での電力利用にとどまらず、電気自動車と組み合わせることで、より環境に配慮したくらしを実現したい方にも蓄電池はおすすめです。

4 家庭用蓄電池の
デメリット4つ

家庭用蓄電池には、電気料金の節約や非常用電源としての活用など多くのメリットがありますが、その一方で課題もあります。ここでは、家庭用蓄電池を導入する4つのデメリットを紹介します。

4.1. 初期投資が必要になる

家庭用蓄電池を導入する際は、本体の購入価格に加えて、設置工事や電気工事の費用など、初期投資が必要です。

また、蓄電池は発電機能を持たないため、単体では売電収入が得られません。節電や非常電源としての活用といったメリットはありますが、導入費用を必ずしも回収できるとは限らないでしょう。

初期費用を抑えたい方は、蓄電池をリースサービスで利用する選択肢もあります。

4.2. 長く使う工夫が欠かせない

蓄電池は、充電と放電を繰り返す構造のため寿命があり、長期的に使用するには工夫が必要です。バッテリーは経年劣化によって、次第に充電や放電の能力が低下し、蓄電池本来の性能を十分に発揮できなくなってしまいます。

そのため、蓄電池を導入する際は、初期費用だけでなくメンテナンスの必要性や交換時期、それにかかる費用も含めて検討しておくことが大切です。

また、安心して長く使用するために、メーカーの保証期間やアフターサポートの内容についても、事前に確認しておきましょう。

4.3. 設置する場所が必要になる

家庭用蓄電池は、ある程度の大きさがあり、設置には一定のスペースが必要です。蓄電池には、「屋内用」と「屋外用」の2種類があるので、まずは自宅のスペースを確認し、無理なく設置できるタイプを選ぶことが大切です。

また、十分なスペースを確保するだけでなく、蓄電池にはいくつかの設置条件があります。具体的な設置条件は、後述の「設置スペースと設置条件は問題ないか?」の項目で解説しているので、そちらを参考にしながら、ライフスタイルや自宅の構造に合った設置場所を検討しましょう。

4.4. メリットを活かしきれない
可能性がある

家庭用蓄電池のメリットとして、電気料金が安い時間帯に蓄電し、高い時間帯に使うことで電気料金を節約できると紹介しましたが、すべての家庭にあてはまるとは限りません。

例えば、契約中の電気料金プランによっては、時間帯による料金差が設けられていない場合もあります。また、容量の小さい蓄電池では、蓄えた電気だけで消費電力を十分にまかなえず、電力会社から購入する電気があまり減らない可能性も考えられます。

そのため、現在の電気料金プランや家庭の電気使用量を具体的に把握したうえで、蓄電池の導入を検討することが重要です。

電気使用量の確認には、中部電力ミライズが提供する家庭向けWEBサービス「カテエネ」の活用がおすすめです。毎月の電気使用量をグラフで一目で確認できるほか、過去の使用量との比較にも対応しています。

自宅の電気使用状況を手軽に把握したい方は、ぜひご活用ください。

  • (注)ご利用には会員登録が必要です。

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5 家庭用蓄電池を選ぶ際に
確認すべきポイント4つ

家庭用蓄電池のメリットやデメリットを踏まえたうえで、蓄電池を導入したいと考える方もいるでしょう。ここでは、家庭用蓄電池を選ぶ際に確認しておきたい4つのポイントを紹介します。

5.1. 容量と出力は適切か?

家庭用蓄電池には、さまざまな容量と出力の製品があるため、自宅の電力使用状況にあったものを選ぶことが大切です。

例えば、家族の人数が多く、できるだけ多くの電気を自家消費したい場合は、大容量タイプの蓄電池をおすすめします。ただし、一度に多くの電気を供給できるよう、出力にも注意が必要です。

そのため、普段の電気使用量や使用したい家電製品の種類や数を考慮したうえで、最適な容量と出力を備えた製品を選びましょう。

5.2. 設置スペースと設置条件は
問題ないか?

家庭用蓄電池を導入する際は、設置に適したスペースが自宅にあるかの確認が大切です。家の中で十分なスペースを確保できる場合は、屋内設置を選ぶことで、天候の影響を受けずに運用できます。

一方、屋外設置を希望する場合は、一般的に以下の設置条件を満たす必要があります。

  • 直射日光があたらない
  • 熱がこもらない
  • 高温多湿でない
  • 寒冷地でない
  • 積雪地域でない
  • 塩害地域でない

蓄電池の性能を保つには、屋内・屋外を問わず、最適な設置場所を選ぶことが、欠かせません。

5.3. 保証期間とアフターサービスは
充分か?

家庭用蓄電池を購入してから長期的に安心して使用するには、保証期間の長さやアフターサービスの充実度も確認しましょう。

例えば、蓄電池が故障しても保証期間内であれば、修理や交換の費用を負担せずに済む場合があります。ただし、保証内容や期間は各メーカーで異なるため、複数の業者を比較検討することが大切です。

また、リースサービスの中にも、保障やアフターサービスが充実しているものもあるため、じっくり比較検討してみましょう。

5.4. 活用できる補助金はないか?

家庭用蓄電池を導入する際には、所定の申請手続きをおこなうことで、自治体から補助金を受けられる場合があります。

例えば、再生可能エネルギーの普及と電力の安定供給を目的に、DR(需要応答)に活用できる家庭用蓄電池の導入を支援する取り組み「DR家庭用蓄電池事業」もあります。

また、名古屋市では「令和7年度 住宅等の脱炭素化促進補助」という制度があり、太陽光発電設備や蓄電システムなどの設置を対象に補助金が支給されています。

一定の条件を満たす蓄電システムを導入する場合、蓄電容量1kWhあたり1万5,000円の補助金(2025年5月24日時点)の受け取りが可能です。

補助金を活用することで初期費用の負担を軽減できるため、蓄電池の導入を検討している方は、お住まいの自治体の補助制度を確認しておきましょう。

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6 家庭用蓄電池の最新事情

経済産業省の資料によると、国内の家庭用蓄電池の設置台数は2011年以降、徐々に増加しています。

特に近年は右肩上がりで推移しており、2023年には導入量が6,000MWhを超えました。仮に1台6kWhの蓄電池が導入されていると仮定した場合、蓄電池の設置台数は100万台以上にのぼる計算になります。

また、2024年12月に中部電力ミライズが実施した調査では、太陽光発電を導入しているご家庭のうち、29.4%が蓄電池もあわせて設置していることがわかりました。

このようなデータから、蓄電池が徐々に普及し、多くのご家庭で導入が進んでいることがうかがえます。

7 まとめ

家庭用蓄電池を導入することで、太陽光発電の余剰電力を蓄えて自家消費に活用できるため、電気料金の節約に繋がる可能性があります。また、自然災害などによる停電時には、非常用電源としても利用できるので、停電対策にも効果的です。

ただし、蓄電池の購入には本体価格や設置費用などの初期費用がかかるため、興味はあるものの費用面がネックで導入を見送っている方も少なくありません。そうした方は、リースサービスの活用や共同購入制度(注)の活用などを検討してみることをおすすめします。

リースサービスは、月々のリース料金を支払うことで、高額な初期費用を負担せずに家庭用蓄電池を利用できます。

中部電力ミライズの「カテエネリース」は、初期費用0円で蓄電池を導入していただけます。契約期間中は⽉々のリース料⾦のみ発⽣しますが、太陽光発電とのセット契約にも対応しており、より効率的なエネルギーの活用を実現可能です。

導入コストを抑えながら太陽光発電や蓄電池を設置したい方は、ぜひ「カテエネリース」のご利用をご検討ください。

  • (注)各自治体と協定を締結した事業者が太陽光発電や蓄電池の購入希望者を募り、機器の一括仕入れで価格の引き下げを実現する制度。制度の有無については、お住まいの自治体のホームページをご確認ください。

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