部屋を暖かくしたいけれど、こまめな換気にも気をつけたい…。そんな声にお応えして、エアコンの暖房運転をしながら、どんな換気をすれば効率的なのか、換気効率と室内温度、消費電力量などを調べてみました。
実験概要
- 換気について
-
感染症予防対策の一環として、こまめな換気が推奨されています。
そこで、厚生労働省が推奨する「1時間あたり2回の換気」という取り組みを、換気量の目安として引用※し、換気回数2.0回/hを満たす「換気方法」と「換気時間」を試算しました。
- ※厚生労働省は「換気の悪い密閉空間」を改善するために、窓の開放による換気回数を「1時間あたり2回」にすることを推奨しています。
効率の良い換気方法は
「窓+換気扇」
まずは、換気回数(2.0回/h)を目安にして、換気の効率を調べてみました。
窓を締め切った場合の換気回数は、0.4回/h。2.0回/hには程遠く、十分な換気ができていないことがわかります。
そこで部屋の窓を常時数センチ開けて、換気回数2.0回/hを満たす効率の良い換気方法を探りました。


この結果から、窓をひとつだけ開ける場合、窓の1/3ほどしっかり開ける必要がありますが、ふたつの窓を開ける場合、それぞれ1/6ずつ開けることで、十分な換気ができる、ということがわかります。
また、窓を複数開けるほかにも、換気扇の併用もおすすめです。


窓ひとつ+換気扇の場合、窓の状態は1/8開いていればOK。
窓ふたつ+換気扇の場合だと1/16、ほんの少し開けるだけで換気ができていることがわかりました。
一方、常時開けておく方法ではなく、短時間、窓を全開にして換気する場合は、1時間のうち10分間開けることで、2.0回/hを満たすことがわかりました。


居心地よさ重視なら
「常に少しだけ開ける」
先ほどの実験で判明した、十分な換気方法・換気量をもとに、エアコンの暖房運転をしながら換気した場合の室内温度と、PMV(温熱環境指数)を調べ、室内の快適性についても実験してみました。
まず、1時間あたり10分間、窓を全開にして、その後50分間は閉めておく場合。
窓を開放した10分間のPMVが、著しく下がっているのがわかります。
窓を開けている間は、外からの冷気による寒さを感じますが、その後は数分で快適域に戻るという結果でした。


一方、常に窓を数センチ開けておく場合。
こちらはPMVが著しく下がることもなく、常に快適域内に入っています。


つまり、必要な換気をしつつ、室内の快適性を保ちたい場合、常時少しだけ窓を開けておく状態がおすすめです。
できるだけ対面の窓を選んでふたつ以上開けるか、もしくは換気扇を併用することで効率的な換気に心がけましょう。


電気代を節約するなら
「短時間全開」
次に、換気をしながら暖房運転をする場合の、消費電力の差を見ていきましょう。
先ほどの実験では「常時開けておく方が快適」という結果でしたが、消費電力量、電気代についてはどんな差が出るでしょうか。


完全に窓を閉め切って暖房運転をする場合と比べてみます。
まず、窓を常時開けておく場合、消費電力量は1.5倍(電気代は約9.4円増)。
対して、1時間に10分間だけ開けて、その後閉めた場合、消費電力量は1.2倍(電気代は約4.1円増)という結果になりました。
窓を少しだけ、常時開けておくと快適性は高いですが、その分、電気代は高くなることがわかりました。
電気代節約重視で考えると、短時間だけ窓を全開にする方が良いでしょう。




- 効果の定量化
-
窓を数センチ常時開ける方法と窓を短時間全開する方法について、暖房運転中に換気した際の、室内温熱環境(1時間平均値)、消費電力量(1時間積算値)を比較した。室内温度、PMV(温熱環境指標)は室内5点の平均値を採用した。PMVは着衣量:1.0clo、代謝量:1.0metとして算出した。
※PMV(温熱環境指標)…快適さを表す指標の一つで、温度環境に関する6要素(空気温度、放射温度、気流、湿度、着衣量、代謝量)の組合せで求めることができる。PMVは-3から+3の数値によって表され、±0.5以内が快適な条件とされている。なお、数値の意味は「-3:寒い」「-2:涼しい」「-1:やや涼しい」「0:どちらでもない」「+1:やや暖かい」「+2:暖かい」「+3:暑い」とされている。
今回は、部屋に窓が2つある場合で、換気回数が2.0(回/h)を満たす下記条件について実施した。運転時間は60分間とした。 -
●窓を数センチ常時開ける方法
・1/6開の場合 -
●窓を全開する方法
・60分間で10分1回
・30分間で5分1回 -
暖房運転中に換気する場合、室内温度が急激に低下するため、パワフル運転モード*にて試験を実施した
* 暖房感を強く感じる運転。温度調節は高めになる。
暖房運転中、換気のために窓を開けると室温が下がります。
快適性重視or節約重視、どちらを優先したいかによって
換気方法をうまく使い分け、健康で快適な冬を過ごしてくださいね。
今回の実験の概要や試験方法などの詳細データはこちら