お茶をつくるとき、料理に使うとき。ガスコンロを使ってお湯を沸かすタイミングは多々ありますが、みなさんはどんな調理器具を使っていますか?その後のお湯の用途にもよりますが、やかんや鍋のほか、いつも使っているフライパンで沸かすこともあるかもしれません。今回は、鍋・やかん・フライパンの3つのうち、いちばん早くお湯が沸騰するのはどれなのか、実験して比べてみます。
沸騰するまでの
加熱時間が
最も短いのは「鍋」
まずは、鍋・フライパン・やかんを使って、1リットルの水を沸騰させてみました。
※比較のため、調理器具の底の面積が近いもので実験しています。
加熱時間が最も短かったのは、「鍋」の5分4秒。
これはやかんより1.9%、フライパンより8.7%も短いという結果になりました。
鍋の底は、やかんやフライパンに比べて形が平らであるため、炎がはみ出す部分が少なく、加熱の効果が良くなったことが理由と考えられます。
次に、時間だけでなく、沸かす際の「熱効率」と「ガス料金」でも比較してみましょう。
最も早いのは鍋ですが、最も安いのは、なんと「やかん」!
鍋よりも0.05円、フライパンより0.16円安いという結果になりました。
これは、やかんの方が熱効率が良い結果になったためと考えられます。
より早く沸かしたいときは鍋を使いつつ、日常的には最もガス料金が安いやかんを使う、という賢い選び方もできそうです。
蓋の有無で、
加熱時間が変わる?
鍋は専用の「蓋」が付いていますよね。
お湯を沸かす際、蓋にどれほどの効果があるのか、その違いも調べてみました。
すると、鍋に「蓋をした場合」と「蓋をしなかった場合」に、大きな違いが出ました。
最も短い時間で沸かすことができたのは「蓋あり」の4分24秒。
「蓋なし」の場合よりも13.2%も短いという結果になりました。
続いて、熱効率についても調べてみました。
「蓋あり」は51.7%で、蓋をしない場合よりも7.0%も高い結果に。
お湯を沸かすときは「蓋あり」の方が、沸かす時間も早く、かつ節約になるのでおすすめです。
早く沸かすために
「水を攪拌する」
という方法
では、蓋がない調理器具で沸かす場合は、早く、効率よくお湯を沸かす別の方法はあるのでしょうか?
実は、水の対流が発生していると水温上昇が大きくなる傾向があります。
その理屈であれば「攪拌しながら沸かすと沸騰時間は短縮できる」ということになりそうです。
攪拌にどれほどの効果があるのか、調べてみます。
この実験では、大きな鍋の場合、攪拌しながら沸かすことで、加熱時間が5.0%短くなるという結果になりました。
ただ、小さな鍋だといくら攪拌しても時短にはなりませんでした。
小さな鍋では効果があまりなかった理由は、小さな鍋はわざわざ攪拌しなくても水の対流が十分発生しているため、攪拌による効果が小さかったのではないか?と考えられます。
「点火後30秒攪拌」
だけでも違いが!
沸騰しているあいだ、ずっと攪拌し続けるのはとても大変です。
実際に攪拌の効果が最も期待できるのは点火“直後”の水温上昇期。
そこで、点火して30秒間だけ攪拌した場合でも比較しました。
大きな鍋では、30秒の攪拌で加熱時間が3.1%短いという結果になりました。
続いて、熱効率とガス料金について。
大きな鍋では撹拌しない場合と比べて、熱効率は0.5%高く、ガス料金も0.04円安くなりました。
大きな鍋で蓋がない場合は、点火後30秒だけ攪拌することで、何もしないときと比べると早く沸かすことができる、ということがわかりました。
今回の実験の概要や試験方法などの詳細データはこちら