ここ数年で、洗濯や乾燥の選択肢がぐんと増えました。
洗濯機を回したあとに屋外に干す一般的な方法だけでなく、乾燥機や浴室乾燥をうまく活用する人、乾燥機能付きの洗濯機を導入する人など、ライフスタイルや設備の有無によって、それぞれのご家庭で工夫されていると思います。
今回は、そんな衣類の洗濯や乾燥について、複数の衣類乾燥アイテムを用いた場合の、コスパ&タイパについて比較。
あわせて、洗濯機の賢い使い方を検証する実験も行いました!
実験概要
洗濯機の
「風乾燥」併用で、
省エネ&節約に!
今回の実験で衣類の乾燥に使用したのは、一般的な「電気衣類乾燥機」(標準モード&除菌モード)と、持ち運び可能な「小型乾燥機」、そして「浴室乾燥」です。
小型乾燥機とは、一般的な布団乾燥機のような構造のもので、今回はセラミックヒーターの熱で乾かすタイプを使用しました。小型乾燥機の専用フードを併用し、中に衣類を掛けて乾燥させる方法で実験します。
それぞれ、洗濯物が乾くまでの時間を比較してみましょう。
最も速く乾いたのは、電気衣類乾燥機の「標準モード」でした。
浴室乾燥も、電気衣類乾燥機ほどではありませんが、比較的効率良く乾かすことができました。
もっとも時間がかかってしまったのは、小型乾燥機。電気衣類乾燥機の倍以上の時間を要しました。
さらに、各種乾燥機を使用する前に、洗濯機の「風乾燥」機能を使うことで省エネ・節約になるのかについても調べてみます。
ここで言う「風乾燥」とは、脱水後の槽内で風を起こして衣類の水分を飛ばすことで乾燥時間が短縮できるという、一部の洗濯機に付いている機能のこと。
洗濯・脱水後にそのまま乾燥させる場合と、脱水後に60分間「風乾燥」運転をしてから各種乾燥機を使う場合、トータルでどちらが省エネになるかを検証するため、それぞれにかかった消費電力量について実験し、比較します。
実験の結果、すべての乾燥機において、「風乾燥」を活用した方が省エネになるという結果に!
「風乾燥」機能が付いている洗濯機の場合は、乾燥機に入れる前に活用することで、省エネや節約につながります。
ただ、「風乾燥」を使うことでトータル時間は長くなるため、時間に余裕のあるときにぜひ活用してみてくださいね。
そしてもうひとつ、僅かな差ながら、電気衣類乾燥機は、「除菌モード」よりも「標準モード」のほうが省エネということもわかりました。
乾燥時の
“におい”軽減は、
電気衣類乾燥機が
おすすめ
洗濯・乾燥のお悩みのひとつ「生乾き臭」。
衣類を乾かす際に気になる、あの嫌なにおいを軽減するために、効果的な乾燥方法について探ります。
今回は電気衣類乾燥機、小型乾燥機、浴室乾燥の3つの乾かし方において、「においをどう感じるか」という被験者試験を行い、比べてみました。
いずれの乾燥方法も、臭気強度は「1(やっと感知できるにおい)」以下。
一般的な室内干しの際の印象とは遠く、乾燥機の活用は「におい対策に有効」という結果となりました。
特に、電気衣類乾燥機は「無臭」とも言える優秀な評価で、被験者間のばらつきもほとんどありませんでした。
ただ、電気衣類乾燥機と比べた場合、小型乾燥機と浴室乾燥については、「なにかしらのにおいが感じられた」という結果になりました。
これは、乾燥時間が比較的長かったことにより、室内のにおいが付着しやすかったからだと推測できます。
とはいえ、このように乾燥機等を活用することで、ぐんと快適に衣類を乾かすことができそうです。
小分けよりも、
まとめ洗いが
やっぱり省エネ&時短!
乾燥機に続いて、次は「洗濯機」の実験です。
「小分け洗い」と「まとめ洗い」は、どちらが省エネ&節約になるのでしょうか。
今回は、洗濯物重量2kg/4kg/6kgを洗濯した場合の、それぞれの水道料金・電気料金の合計額を比較しました。
水道料金、電気料金ともに、「洗濯物の量が増えることで料金が上がる」という、想像通りの結果となりました。
では、この結果を「洗濯物重量1kgあたり」の料金にして比べてみます。
この結果から、やはり、ある程度まとめて洗うほうが大幅に節約になり、結果的に時短になることがわかります。
洗濯コースの
特性を知って、
使い分けよう!
もうひとつ、洗濯機に搭載されている、さまざまな運転モードについても比較しました。
実験するコースは「標準」「つけおき」「おいそぎ」「念入り」の4つのコース。
まず、1回の洗濯にかかる水量と消費電力量について調べます。
水量と消費電力量が最も多かったのは、「念入りコース」で、最も少なかったのは「おいそぎコース」でした。
続いて、洗濯時間と洗浄度※、そして各コースで洗濯した際の料金(水道料金と電気料金の合計)を比較します。
※洗浄度…布に人工的な汚れを塗布して洗濯物に縫い付け、洗濯前後の汚染布の表面反射率の変化により判定。値が高いほど汚れを落とせているという相対的な評価になる
洗浄度が最も高いのは「つけおきコース」。
次いで「念入りコース」、そして「標準コース」という結果になりました。
料金については「おいそぎコース」が最も低く、「念入りコース」が最も高いという結果に。
最も高かった「念入りコース」は、「標準コース」の約1.6倍もかかりました。
総合して、省エネ、洗濯時間、洗浄度を等しく考慮する場合は、「標準コース」がやはり万能だということがわかります。
汚れのひどい洗濯物の場合は、洗浄力の高さをコスパよく発揮してくれる「つけおきコース」もおすすめですが、その分運転時間は長いので、時間に余裕のあるときに選びましょう。
時短と省エネを優先したいときは「おいそぎコース」。
時間をかけてしっかり洗いたいときは「つけおきコース」。
時間はないけれど洗浄度に期待したいときは「念入りコース」。
このように、洗浄度、省エネ、所要時間など、優先したい項目によって使い分けてみてくださいね。
今回の実験の概要や試験方法などの詳細データはこちら