以前カテエネ会員の皆さんにスマートハウスについて、アンケートを実施しました。今回はアンケートから見えてきた、皆さんの知りたいことや興味・関心を、家電+ライフスタイルプロデューサーである神原サリーさんが解説します。
未来の暮らしに必要なのはやっぱり省エネ、でもスマートハウスのことはよくわかりません
新生活が始まる春。これからの暮らしを思い描くとき、最近よく見たり聞いたりする「スマートハウス」という言葉が気になる方も多いのではないでしょうか。カテエネ会員の皆さんにご協力いただいたアンケート結果から、皆さんの未来への暮らしに期待されることが見えてきました。
みんなのアンケート結果
Q1.あなたが未来の暮らしに一番必要だと考える機能は次のうちどれですか?1つお選びください
Q1では、未来の暮らしに一番必要だと考える機能は「省エネ」という回答が最も多く、続いて「蓄エネ」と続き、無駄なエネルギーを使わず、地球にもお財布にもやさしい暮らしをしていきたいと考えている方が多いことがわかります。また「安全性」も重要なポイントで、皆さんが未来に求める快適な暮らしは省エネや安全性であることがわかりました。
一方、「スマートハウス」については「名前を聞いたことがある程度」という方が過半数を占めており、「知らない」という方も。気にはなるもののよくわからない、知らないという方がほとんどのようです。
「スマートハウス」は省エネ、蓄エネはもちろんのこと、安全で便利な暮らしのためにも大きな役割を果たします。すべてがストレスなく自動で制御され、しかも快適で省エネ。そんな暮らしをかなえるスマートハウスについて、皆さんの興味・関心をもとにわかりやすくご紹介したいと思います。
すべてが自動で制御され、しかも快適で省エネ。そんなスマートな暮らしが待っています
みんなのアンケート結果
Q3.次のスマートハウスの機能であなたが便利だと感じるものをすべてお選びください
- 1位
- エネルギーマネジメント(27%)
- 2位
- よくわからない(26%)
- 3位
- ホームセキュリティー(21%)
- 4位
- リモートメンテナンス(11%)
- 5位
- ホームヘルスケア(11%)
スマートハウスは、エネルギー消費を抑える「省エネ」、家庭内でエネルギーをつくる「創エネ」、エネルギーをためる「蓄エネ」、それらを集中コントロールする「HEMS(ヘムス)」という機器の組み合わせによって実現することができる「スマート=賢い」家のことです。
Q3で皆さんが便利だと感じていることが示されたエネルギーマネジメントですが、たとえば電気代の安い深夜に食洗機や洗濯機を稼働させたり、逆に電気代の高い日中に空調の設定温度を自動的に設定したりと、効果的な節約が可能です。意識することなく使うことの多い照明も照度センサーと連携した自動運転によって、無駄な電力消費を低減することができるのです。エアコンの省エネ運転については、気象予測をもとに先回りして運転を制御させることで、より賢く省エネ運転をさせる試みがすでに始まっています。
自家発電した電力で余った分は蓄電池にためておけますし、専用のモニターやタブレット、スマートフォンなどによって、リアルタイムで消費電力が確認できるほか、週単位や月単位のエネルギー使用量のグラフを見られるので、省エネ意識を高めることができるのもメリットといえるでしょう。
火災やガス漏れ、盗難などから住まいを守る防犯システム「ホームセキュリティー」もアンケート結果で注目度の高さが目につきました。家電や住宅設備をITで制御するスマートハウスは、ウェブカメラを使って家の外からでも室内のチェックができたり、スマートフォンなどの電子機器を通じた鍵の解錠・施錠、住宅内に取り付けたセンサーが異常を感知すると提携の警備会社への通報もできるようになっています。ペットのいる家であれば、留守番しているペットの様子を確認できるのも安心ですよね。
そのほか、病院や健康アドバイス会社などと連携して自宅にいても健康管理サービスが受けられたり、高齢者の生活状況についてモニターを通じ、把握して、生活ケアサービスを行う「ホームヘルスケア」や、インターネットを使用して、外出先から住まいや家電のシステムの不具合を直したり、保守や管理を行う「リモートメンテナンス」ができるのもスマートハウスが目指す未来の暮らしの1つです。
地球にやさしいエコキュートもスマートハウスに必要不可欠
みんなのアンケート結果
Q4.現在、自宅で利用しているものをすべてお選びください
- 1位
- ヒートポンプ式給湯機(エコキュート)(22%)
- 2位
- 太陽光発電(13%)
- 3位
- 高気密・高断熱住宅(10%)
- 4位
- 電力の利用状況が把握できる機器(HEMSなど)(5%)
- 5位
- スマート家電(3%)
- 6位
- 蓄電池(2%)
現在、使用されているご家庭も多いヒートポンプ式給湯機(エコキュート)もスマートハウスには必要不可欠な機器。私たちが毎日、お湯を沸かしたり、おふろでシャワーを浴びたりするために使うエネルギーは、家庭全体の約1/3になります。この給湯エネルギーを少しでも減らすことが省エネと環境対策のポイントになるのです。エコキュートは大気を自然冷媒に集め、その熱でお湯を沸かすため電気エネルギーのみの場合に比べて電力消費量が約1/3となり、エコで省エネ。しかも夜間電力を上手に利用したり、過去のお湯の使用量を学習してお湯を沸かして無駄を省いたりすることができるのもうれしいポイントです。
エコキュートならではの付加機能を上手に使いこなすコツをここで伝授しましょう。1つはおふろをあたため直す時には、保温運転や追いだきを使わずに、「高温たし湯」を使う方が省エネで経済的です。前日の残り湯を沸かし直すときは残り湯を減らしてから「ふろ自動」を押しましょう。減らす湯量は、風呂の循環口が水面に出ないくらいが目安です。
太陽光発電や電気自動車でエネルギーを作ってためておく創エネ・蓄電も
みんなのアンケート結果
Q5.一番自宅で利用したいものは次のうちどれですか?1つお選びください
- 1位
- 蓄電池(17%)
- 2位
- 太陽光発電(14%)
- 3位
- 高気密・高断熱住宅(11%)
- 4位
- ヒートポンプ式給湯機(エコキュート)(8%)
- 5位
- スマート家電(7%)
- 6位
- 電気自動車(6%)
エネルギーを上手に制御しながら使う省エネだけがスマートハウスではありません。その先にあるのが「創エネ」、エネルギーをつくりだそうという考え方です。省エネよりもさらに地球にやさしく、家計の助けになる行為と言えますね。太陽光発電によって自らエネルギーをつくりだし、それを蓄電池や電気自動車にためておくことで、それを上手に使ったり、場合によっては売ったりすることもできるのです。
太陽光発電は、昼間太陽が出ている時間しか電力をつくることができません。太陽が出ていない時間帯は、電力会社から買った電気を使用して生活をします。でも、蓄電池があれば、深夜電力が安くなっている間に蓄電池に充電をしておくことができるため、その分余剰電力が増え、売電量もアップします。また、昼間、夜間にためた電力を活用することで、電気料金の軽減につながります。二酸化炭素の排出量を削減して、環境にやさしい社会をつくることに貢献できることもメリットとしてあげられ、まさにこれからの理想の暮らしといえるのではないでしょうか。
また、創エネはソーラーパネルを住まいに設置した太陽光発電だけでなく、実は個人でも疑似体験できることをぜひ知っていただけたらと思います。たとえば歩くことが電気に換算されるため日々の活動の中で、無理をしないで発電体験ができる「歩いて発電」や、サッカースタジアムやショッピングセンターで開催されるイベントに参加することで発電体験ができる「イベント参加で発電」、さらには年間1,000円(税別)で太陽光発電所の所有体験ができる「プチ太陽光で発電」など。
さらに中部電力ミライズが取り組む蓄電池や太陽光、エコキュートの詳細は「中部電力ミライズのオール電化」のサイトで確認できますので、ぜひチェックしてみてください。
もしもの備えとしても活用できる
スマートハウス
みんなのアンケート結果
Q6.Q5を選んだ理由として一番適しているのは次のうちどれですか?1つお選びください
- 1位
- 光熱費の削減(27%)
- 2位
- 防災(もしもの備え)(17%)
- 3位
- 快適性(13%)
- 4位
- 利便性(11%)
- 5位
- CO2削減(9%)
スマートハウスの「創る=創エネ」と「ためる=蓄エネ」が可能にする光熱費の削減はとても魅力的ですし、地球環境にやさしいという点でも理想的です。でもQ6の回答からもわかるように、それだけではなくて防災の観点からも見逃せないものなのですね。
蓄電池にもさまざな種類がありますが、大型で置き場を取るという一面も。その点で日常生活の移動手段として便利に使える電気自動車を「蓄電池」の1つとしてとらえ、ここにエネルギーをためておくという暮らしも広まりつつあります。蓄電池や電気自動車に、自ら作り出したエネルギーをためておけば、台風や地震などもしものことがあった時にもいつもと同じような暮らしができるという安心感につながります。食糧や水などと同じように電気を蓄えておき、活用できることもスマートハウスの重要な役割です。
今スマートハウスに住んでいない方でも気軽にできる、もしもの備えがあったら…。
カテエネ研究所ではこんな実験も行っています。
そして最後にエネルギー問題だけでなく、家電とも連携して老若男女を問わず誰もが便利で快適に、安全に暮らせることもこれからの理想の住まい「スマートハウス」なのだとお伝えしたいと思います。
家電+ライフスタイルプロデューサー:神原サリー
新聞社勤務、フリーランスライターを経て、家電+ライフスタイルプロデューサーとして独立。「企業の思いを生活者に伝え、生活者の願いを企業に伝える」べく、家電分野を中心に雑誌、新聞、webなどに多数の連載コラムを持つほか、商品企画、コンサルティング等にも従事。近著に「サリー流『効率家事』」(宝島社)。東京・広尾に構える「家電アトリエ」から、キッチン家電を駆使したアトリエランチを日々発信。Sallyの家電アトリエ<RADIO版>と題した音声配信も毎日行っている。