電子レンジは、今やほとんどの家庭にあるといっても過言ではない、とても便利な家電です。解凍や加熱など、時間短縮ができるイメージがありますが「本当に時短になるの?」「流水解凍や湯煎と比べると、どちらが省エネ?」と、疑問に思うことはありませんか?
そこで今回は、最も時短&省エネな方法を探るべく、電子レンジの活用方法について比較検証しました。
「電子レンジ1分→
自然解凍」で、
省エネ&時短に!
食材を冷凍しておくと便利ですが、「今すぐ解凍したい!」という場面も多いですよね。
食材の解凍方法は、自然解凍や流水解凍、冷蔵庫での解凍などさまざまですが、できるだけ早く解凍したいときに活躍するのが電子レンジです。
電子レンジを使う場合は、専用の解凍モードでも、通常のあたためモードでも解凍が可能です。
今回は、解凍の「時短」に注目し、電子レンジも活用したさまざまな解凍方法について実験していきます。
最も時短&省エネな解凍方法を探るため、冷凍した魚、鶏肉、ミンチ、白米を使って、それぞれの解凍時間やエネルギー消費、そして仕上がりの状態について実験しました。
代表的な解凍方法として、4パターンを基本に比較しました。
まずは、レンジを使用しない「自然解凍」と「流水解凍」。
レンジ使用は2パターンで、「電子レンジ(解凍モード)」「電子レンジ(通常モード500W 1分加熱)+自然解凍」です。


「自然解凍」は、食材にもよりますが2〜5時間ほど時間がかかります。エネルギーは一切使わないため、食材を使うまでに時間の余裕があるときは、自然解凍がおすすめです。
「流水解凍」は、自然解凍と比較して3分の1程度の時間で解凍できるものの、水を出し続けることから水道料金が数十円程度発生します。
続いて、電子レンジの解凍実験です。
「電子レンジ(解凍モード)」は、解凍時間は十数分以内と、自然解凍や流水解凍と比べると大幅に短縮できます。さらに電気料金は1円程度と、流水解凍よりも安いという結果に。
専用の解凍モードを使わず、「電子レンジ(通常モード500W 1分加熱)+自然解凍」をすると、自然解凍のみで解凍するよりもかなり早く解凍できたうえ、電気料金も「電子レンジ(解凍モード)」と比べて、鶏肉の試験で1/5ほどという結果になりました。


結論としては、「電子レンジ(通常モード500W 1分加熱)+自然解凍」という方法が、最も効率的ということがわかりました。
電子レンジの使用時間を短くし、その後は自然に解凍させることで時短になり、かつ電気料金も安くなります。
流水解凍は、実はレンジ解凍の何倍もの料金が発生するため、注意が必要です。
根菜は「茹でる」より
「電子レンジ加熱」の方が
省エネ!
野菜を下茹でする際に、電子レンジを活用する人も多いのではないでしょうか。
レンジを活用する理由は、人それぞれ。
「お湯を沸かさなくていいので手軽」「時短」「洗い物が減る」「栄養が逃げない気がする」など、その時々でさまざまな理由があると思います。
今回は、1cm角に切ったジャガイモと人参を10ブロック準備し、「鍋で茹でた場合」と、「電子レンジ(500W)で加熱した場合」の、中心部の温度が90℃を超えるタイミングを比較。どの方法が一番効率よく火が通るのかを比べてみます。


ジャガイモも人参も、電子レンジ(500W)を用いた場合、2分の加熱により中心部の温度が90℃を超えましたが、お湯で茹でた場合は、約4分もかかりました。
また、料金で比べても、鍋で茹でた場合より電子レンジ加熱の方が安いという結果に。
時短&省エネを考えるのであれば、根菜の加熱は「鍋に湯を沸かして茹でる」よりも「電子レンジ加熱」の方が、優れているということがわかりました。
冷凍牛丼は、湯煎より
電子レンジ加熱が
省エネ!
次は、冷凍の牛丼の加熱です。
こうした大きなものを加熱する際は、湯煎または電子レンジの、どちらが良いのかを検証します。


実験では、牛丼が80℃以上になるタイミングを比較しました。
電子レンジで1袋加熱した場合は約3分、湯煎の場合は約14分かかりました。
料金についても、電子レンジを用いた場合が最も安く、約1.4円という結果に。鍋での湯煎は約4.5円と、電子レンジの約3倍です。
冷凍牛丼のような大きなものの加熱も、湯煎よりも電子レンジを活用したほうが、時短かつ省エネということがわかります。
フラット式?or
ターンテーブル式?
食材の置き方のコツ!
これまでの実験でも、フラット式とターンテーブル式の2つのタイプのレンジを使用してきましたが、実はどちらも、食材の置き方を工夫するだけで、加熱ムラを防いで効率よく加熱することができます。
それぞれ、食品を置く位置の工夫によってどのように加熱状況は変わるのか、冷凍シュウマイを複数個置いて加熱する実験にて検証しました。
耐熱皿に冷凍シュウマイを12個並べ、フラット式とターンテーブル式でそれぞれのシュウマイの中心部の温度にどうばらつきがあるのかを調べます。



フラット式は、中心に近いシュウマイがより温まりやすい一方で、ターンテーブル式は、皿の側面に近い外側の方が温まりやすいことが、実験からわかりました。
ちなみに、すべてのシュウマイの温度平均は、ターンテーブル式の方が約20℃高い結果に。
より効率よく加熱するための置き方のコツは、
「フラット式は、食材を中央部に置く」
「ターンテーブル式は、食材を皿の外側に置く」。
これにより、加熱ムラをできる限り防ぎながら、効率よく食材を温めることができます。