ローリングストックをやめた人へ|続かない理由と無理なく備える方法

ローリングストックが続かない原因は、意志の弱さよりも、管理方法が家庭の生活実態に合っていないことにあります。期限の確認や商品選び、買い足しなどの管理を継続する必要があるためです。
中部電力ミライズでは2026年、3,889人を対象に防災に関する調査を実施しました。そこでは「災害に備えて、自宅に食料・飲料水を準備していますか」との質問に「十分に準備している」と答えた人は8.87%にとどまりました。この結果から、十分な備蓄ができている家庭は多くないことがうかがえます。
本記事では、ローリングストックをやめた人・続かなかった人に共通する4つの理由を整理しました。そのうえで、実際にローリングストックをやめた人、続けにくいと感じている人の声も交えながら、無理なく備える方法を紹介します。
ローリングストックの基本を知りたい方は、下記の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
ローリングストックとは?始め方や備えるメリット・デメリット、必要なものを解説
■カテエネ防災コラム編集部
中部電力ミライズがお届けする「カテエネ防災コラム」。電気・ガスをはじめ、お客さまの暮らしに関わる多様なサービスを提供する中で、皆さまの「もしも」に備える防災サポートもおこなっています。「for 保存食ローリングストックプラン」の展開や、「TSUNAGU STORE(ミライズコネクト運営)」「カテエネWEB商店」などのチャネルを通じた防災への取り組み、そしてお客さまから寄せられるリアルな声を大切にしながら、今日から実践できる有益な防災ノウハウを発信します。
1 ローリングストックをやめた・続かなかった理由
ローリングストックが続かなくなる理由は、大きく4つに整理できます。
- ・食品の入れ替えを忘れる
- ・備蓄品が分散して管理しにくい
- ・何をどれだけ買い足すか判断が難しい
- ・家族の消費ペースに合わせにくい
いずれも管理の手間や判断の負担に関わるもので、ローリングストックを継続しにくくする要因になります。
自分がどの理由でやめてしまったのかが分かれば、次に取るべき対策も決まります。順番に見ていきましょう。
食品の入れ替えを忘れる
ローリングストックでは、「在庫の確認」「期限の確認」「消費」「買い足し」といった複数の作業を繰り返しおこないます。
仕事や家事で忙しい時期が続くと、確認や補充が後回しになり、気付いたときには在庫が不足していたり、食品の期限が切れていたりすることがあります。
■ローリングストックをやめてしまった人の声
カップ麺やレトルトカレー、パウチの惣菜、ミネラルウォーターなどを奥にしまい込んで備蓄していました。しかし仕事や家事で忙しく、奥へ押し込んだ古い商品の賞味期限チェックを完全に忘れてしまい、気付いたときには大量に期限切れを出してしまいました。
水やレトルトご飯、カップ麺、缶詰などを普段から少し多めに購入して、使った分を買い足すようにしていました。最初は問題なくできていましたが、忙しい時期が続くと、食べた分を買い足すのを忘れることが増えました。久しぶりに棚を確認すると、賞味期限が近い食品がいくつもあり、まとめて消費する必要が出てきました。
さらに、一度管理が止まると、再開する際に「今、家に何がどれだけあるのか」を確認し直す必要があります。この手間が再開のハードルとなり、そのままローリングストックをやめてしまうことにつながります。
備蓄品が分散して管理しにくい
ローリングストックでは、普段から使う食品を備蓄としても管理するため、食品の量が増え、保管場所が複数に分かれることがあります。キッチンやパントリー、クローゼットなどに備蓄品が分かれていると、何をどこに置いたのか把握しにくくなります。
保管場所が分散すると、それぞれの在庫や賞味期限を確認する必要があり、管理の手間も増えます。その結果、何がどれだけあるのか把握しにくくなり、必要な食品が不足していたり、気付かないうちに期限が近づいていたりするなど、備蓄全体を管理しにくくなります。
何をどれだけ買い足すか判断が難しい
ローリングストックでは、自分で備蓄する食品の品目や数量を決め、在庫を確認しながら買い足す必要があります。
食品を選ぶ際には、次のような点も考えなければなりません。
- ・家族が食べ切れる食品かどうか
- ・栄養が偏らないかどうか
- ・食費の予算内に収まるかどうか
- ・何日分に相当する量なのか
■ローリングストックをやめてしまった人の声
どれくらい買い足すか、費用面も考えなければいけないので、そのバランスが難しいと感じます。まとまったお金が必要になるのも負担です。
選択肢が多いほど判断そのものが負担になり、判断に迷うと買い足しは後回しになり、そのまま止まってしまうことにつながります。備蓄が続かない原因は、買い物の手間だけでなく、毎回考えなければならない点にもあるともいえます。
関連記事:ローリングストックにおすすめの非常食は?スーパーで揃う備蓄リストを解説
家族の消費ペースに合わせにくい
ローリングストックは日常的に食品を消費し、使った分を買い足していくため、家族の消費ペースによって在庫量が変わります。
家族の消費状況によっては、買い足しが追いつかず、災害時に必要な在庫量を維持できないことがあります。
■ローリングストックをやめてしまった人の声
レトルトや缶詰を備蓄していましたが、夫の夜食や子どものおやつとして消費され、買い足しが追いつかなくなりました。賞味期限の管理も私一人に偏り、期限間近の食品を消費するストレスで続けられなくなりました。
一方で、家族の好みに合わない食品は消費されず、期限切れになることがあります。
■ローリングストックをやめてしまった人の声
種類の異なる発芽玄米のチルドパックを普段から食べるつもりで用意したのですが、日常的に食べるには家族の好みに合わない食感だったため消費が進まず、賞味期限が近づいて最後は慌てて食べる状態になり、プレッシャーでした。
また、備蓄用と日常用の区別や、食品を食べたときの買い足しルールを家族で共有していないと、在庫を管理する人に負担が集中しやすくなります。
2 ローリングストックをやめた後も食料備蓄は必要
ローリングストックが続かなかったとしても、災害に備えた食料備蓄そのものは続けることが大切です。備蓄方法はローリングストックだけではなく、長期保存できる非常食をまとめて備える方法もあります。
ただし、長期保存できる食品は見直す機会が少ない分、賞味期限の確認を忘れやすい点には注意が必要です。
そのため、「ローリングストックは続かなかったものの、備蓄自体は無理なく続けたい」という方は、管理の負担を減らす方法を取り入れることが大切です。次章でローリングストックが続かなかった理由ごとに、管理の具体的な方法を紹介します。
3 ローリングストックをやめた・続かなかった人向けの対策
備蓄を無理なく続ける方法は、負担に感じているポイントによって異なります。前章で整理した4つの理由ごとに、管理の負担を減らす方法を紹介します。
| 続かなかった理由 | 対策 |
|---|---|
| 食品の入れ替えを忘れる | 定期便を活用する |
| 備蓄品が分散して管理しにくい | 長期保存できる非常食セットにまとめる |
| 何をどれだけ買うか迷う | 購入する品目と数量を固定する |
| 家族の消費ペースに合わせにくい | 長期保存食を備蓄の土台にする |
| 続かなかった理由 | 食品の入れ替えを忘れる |
|---|---|
| 対策 | 定期便を活用する |
| 続かなかった理由 | 備蓄品が分散して管理しにくい |
|---|---|
| 対策 | 長期保存できる非常食セットにまとめる |
| 続かなかった理由 | 何をどれだけ買うか迷う |
|---|---|
| 対策 | 購入する品目と数量を固定する |
| 続かなかった理由 | 家族の消費ペースに合わせにくい |
|---|---|
| 対策 | 長期保存食を備蓄の土台にする |
自分が当てはまる理由に近い対策から確認してみてください。
定期便を活用する
食品の入れ替えのタイミングを忘れてしまい、ローリングストックをやめた人に向いている対策です。
決められた時期に保存食が届く定期便を活用すると、買い足しのタイミングを自分で管理する負担を減らせます。
商品が届く日を、備蓄の確認や古い食品を消費するタイミングとして活用すれば、見直しの時期も固定しやすくなります。
メリット:
- ・買い忘れを防ぎやすい
- ・備蓄を見直す時期を固定できる
デメリット:
- ・継続的に費用がかかる
- ・商品を細かく選べない場合がある
長期保存できる非常食セットにまとめる
備蓄品が家の中で邪魔になり、ローリングストックをやめた人に向いている対策です。
数年間保存できる非常食をセットで購入し、保管場所を1カ所にまとめます。備蓄の内容と置き場所を把握しやすくなり、日常的に買い足す必要もなくなります。
また、防災の日など年1回の確認日を決め、数量・期限・外箱の破損状況をまとめて確認します。
先ほど「奥に押し込んで期限切れを出してしまった」と回答した方は、現在この方法に切り替えています。
■ローリングストックをやめてしまった人の声
日常食と備蓄を無理に連動させるのをやめ、5年保存の非常食セットと長期保存水だけを箱ごと押し入れの定位置に置いています。日々の買い足し忘れや家族の消費に振り回されることがなくなりました。
メリット:
- ・備蓄の内容と保管場所を把握しやすい
- ・日常的な買い足しが不要になる
デメリット:
- ・購入時にまとまった費用がかかる
- ・セットを置くスペースは必要になる
保管場所を決めてまとめておくことで、備蓄品の場所を把握しやすくなります。
「カテエネWEB商店」では、非常食セットを多数取り揃えています。ご飯やおかずなど、非常時に必要な食品をまとめて選べるため、何を揃えれば良いか迷っている方はぜひ参考にしてください。
購入する品目と数量を固定する
何をどれだけ買うか迷い、買い足しが止まってしまった人に向いている対策です。
毎年購入する食品の種類と数量を最初に決め、翌年以降は基本的に同じ商品やセットを購入します。
毎回ゼロから商品を選んだり、必要な数量を計算したりする必要がなくなるため、判断の負担を減らせます。
メリット:
- ・商品選びや数量計算の負担を減らせる
- ・好みの食品を自分で選べる
デメリット:
- ・家族構成や好みが変わった場合は見直しが必要になる
- ・品目を絞りすぎると、必要な量が不足する場合がある
長期保存食を備蓄の土台にする
家族の消費ペースに合わせた在庫管理が難しい人に向いている対策です。最低限必要な量を長期保存食で確保し、普段食べる食品を追加の備蓄として上乗せします。
日常用の食品が想定以上に消費されても、非常時用の長期保存食を残せるため、備蓄がゼロになるリスクを抑えられます。
備蓄を2階建てにするイメージで考えると分かりやすいでしょう。
- ・1階部分:長期保存食(災害時専用)
- ・2階部分:普段の食品を少し多めに買い置き(日常で消費)
この形にすると、日常用の食品が想定以上に消費されても、1階部分は残ります。先ほど「家族に食べられて買い足しが追いつかなかった」と回答した方も、現在はこの形に変えています。
■ローリングストックをやめてしまった人の声
現在は数年保存できる非常食と水をパントリーの奥に固定して備蓄し、日常の食品とは保管場所を完全に分けています。家族が無断で消費することがなくなり、賞味期限チェックの手間も減りました。
メリット:
- ・備蓄がゼロになるリスクを抑えられる
- ・食べ慣れた食品も用意できる
デメリット:
- ・長期保存食と普段の食品を分けて把握する必要がある
4 【迷ったらこれ!】年1回の見直しで続ける食料備蓄の方法

前章で紹介したように、備蓄を無理なく続けやすくする対策は複数あります。どれを組み合わせれば良いか迷う方に向けて、ここでは実践方法を1つに絞って紹介します。
ポイントは次の3つです。
- 1. 保存食の購入・見直しは年1回にする
- 2. 基本は同じ保存食を買う
- 3. 普段使う食品を少し多めに買い置きするとより安心
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ポイント1.保存食の購入・見直しは年1回にする
作業の回数を年1回にまとめることが、続けやすくするポイントの一つです。1年以上保存できる食品を選び、購入と見直しの時期を1回に揃えましょう。購入と見直しの時期を年1回にまとめることで、日常的な管理の負担を減らせます。
年1回の見直しを忘れそうな場合は、定期便を利用し、保存食が届く時期を備蓄全体の見直しのリマインドとして活用する方法もあります。
ただし、1年後には家族構成や好みなどの状況が変わり、不要になったものが届く可能性もあります。定期便をリマインド目的で利用する場合は、必要最小限の基本セットにとどめるのがおすすめです。
ポイント2.基本は同じ保存食を買う
毎年購入する保存食の種類と数量を最初に決めておき、翌年以降は基本的に同じ商品やセットを購入します。毎回商品を選び直したり、必要な数量を考えたりする負担を減らせます。
例えば、次のように組み合わせると管理しやすくなります。
- ・基本の非常食セット(毎年同じもの)
- ・自分や家族が食べたい食品(少量を追加)
基本となる非常食セットを固定し、好みに合わせて食品を追加することで、毎年ゼロから備蓄内容を考える必要がなくなります。
毎年購入する食品を決める際の参考として、下記の記事もご覧ください。
ローリングストックにおすすめの非常食は?スーパーで揃う備蓄リストを解説
非常食セットはカテエネWEB商店でもお選びいただけますので、ぜひご覧ください。
ポイント3.普段使う食品を少し多めに買い置きするとより安心
年1回購入する保存食セットを備蓄の土台とし、余裕があれば普段から食べている食品を少し多めに買い置きしておくと、さらに安心です。水・レトルト食品・缶詰など、各家庭で日常的に消費しているものを選びましょう。
普段から食べ慣れている食品であれば、災害時にも抵抗なく食べやすくなります。また、日常の買い物で使った分を補充できるため、特別な管理を増やさずに備蓄量に余裕を持たせられます。
5 年1回のリマインドには保存食の定期便がおすすめ
年1回の購入・見直しを忘れそうな場合は、保存食の定期便をリマインドとして活用する方法があります。
中部電力ミライズの「for 保存食ローリングストックプラン」は、月額480円(税込)で1人3日分相当の保存食セットが年1回届くサービスです。
保存食が届くタイミングを備蓄の見直し日と決めておけば、購入や確認の時期を自分で覚えておく負担を減らせます。届いたセットを備蓄の土台とし、家族の人数や好みに応じて必要な食品を追加しましょう。
6 ローリングストックをやめることに関するよくある質問
最後に、ローリングストックに関するよくある質問に答えます。
一度やめたローリングストックはまた始めるべきですか?
前回と同じ方法で無理に再開する必要はありません。ただし、食料の備蓄自体は続けることが大切です。
再開する場合は、管理の負担を減らせる形に切り替えましょう。
- ・保存食の購入・見直しを年1回にまとめる
- ・買う食品をあらかじめ決めておく
- ・普段から食べている食品を少し多めに買うことから始める
完璧なローリングストックを目指す必要はありません。各家庭に合った方法を選ぶことで、結果的に長く続けることができます。
水のローリングストックも必要ですか?
水の備蓄は必要ですが、こまめに回す必要はありません。飲料用と調理用で1人あたり1日3Lが必要ですが、普段ペットボトルの水を飲まない家庭では、うまく回転せずに期限が近づいてしまいます。
管理が面倒な場合は、長期保存水を選ぶのがおすすめです。通常のミネラルウォーターとの違いは、中身の水ではなく容器と製法です。長期保存による劣化を考慮し、通常より厚みのあるペットボトルを使っています。さらに超高温で加熱殺菌することで、5年以上の保存を可能にしています。入れ替えの回数が減る分、管理の負担も軽くなるのがメリットです。
ただし、長期保存水は価格が高めです。普段からペットボトルの水を飲む家庭なら、通常の水をローリングストックするほうが費用を抑えられます。
出典:
農林水産省|大事な水、どうやって備えますか?
富士ミネラルウォーター|非常用5年保存水(防災・備蓄用)
賞味期限が切れてしまった保存食はどうすればいいですか?
賞味期限が切れても、すぐに食べられなくなるわけではありません。賞味期限は「おいしく食べることができる期限」を示すもので、安全性の期限を示す消費期限とは異なります。
賞味期限を過ぎた食品は、保存状態や見た目、におい、容器の状態などを確認したうえで、食べるかどうかを慎重に判断してください。缶詰やレトルト食品で、容器の膨張・さび・破損などの異常がある場合は食べずに処分しましょう。
出典:農林水産省|消費期限と賞味期限
ローリングストックが続かないのはなぜですか?
続かない原因の多くは、管理や判断の負担にあります。ローリングストックでは、「在庫の確認」「期限の確認」「消費」「買い足し」といった作業を繰り返しおこなう必要があります。
さらに、何をどれだけ買うかを考える負担もあります。忙しい時期などに一度管理が止まると、在庫を把握し直す手間がかかり、そのまま再開しにくくなることもあります。
そのため、ローリングストックを続けるには、保存食の購入・見直しを年1回にまとめたり、毎年買う食品を決めたり、定期便をリマインドとして活用したりするなど、管理や判断の負担を減らす仕組みを取り入れることが大切です。
7 ローリングストックをやめた人こそ仕組みで備えよう
ローリングストックが続かなかったのは、意志の弱さが原因とは限りません。期限の確認、商品選び、買い足しといった管理方法が、生活の実態に合っていなかった可能性があります。
アンケートに答えてくださった方の多くも、方法を変えることで備蓄を続けていました。大切なのは、続かなかった理由を整理し、その原因に合った対策を選ぶことです。
- ・入れ替えを忘れる場合は、定期便を活用する
- ・備蓄品が分散して管理しにくい場合は、非常食セットにまとめる
- ・何を買うか迷う場合は、品目と数量を固定する
- ・家族の消費ペースが読めない場合は、長期保存食を土台にする
どれを組み合わせるか迷った場合は、保存食の購入と見直しを年1回にまとめ、毎年基本的に同じものを買う方法から始めてみましょう。そのうえで、普段使う食品を少し多めに買い置きすれば、特別な管理を増やさずに備蓄量へ余裕を持たせられます。年1回の確認を忘れそうな場合は、保存食の定期便をリマインドとして使う方法もあります。
完璧な管理を目指す必要はありません。管理と判断の負担を減らし、家庭に合った仕組みで食料備蓄を続けていきましょう。