地元の人たちに愛され、親しまれている食材をテーマに中部5県下をめぐり、その魅力をご紹介します。
※「農食」とは、新鮮な農産物をその土地で食べることを意味する造語です。
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第4回
三重県度会郡玉城町の玉城豚を訪ねて
三重県度会郡玉城町は、平坦な地形と温暖な気候に恵まれた農業地域です。農作物に使う有機肥料を得るため、畜産業も発展してきました。昭和55年から養豚農家さんらが自ら配合した飼料を使う取り組みをはじめ、生まれたのが玉城豚です。飼育頭数は三重県内トップクラスを誇り、出荷頭数は年間約2万頭です。ジューシーでくさみがなく、やわらかな肉質が高く評価されています。
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快適な環境で愛情深く育てる、健康な玉城豚
養豚場は衛生管理を徹底!健康に育てる大切さ
今回は玉城豚を育てて約40年の松尾臣悦(しげよし)さんと、玉城豚を販売している「ふるさと味工房アグリ」の名張司さんにお話をうかがいました。
玉城豚の美味しさは豚自身の健康にあると語る松尾さんの豚舎は、病気の感染を防ぐため、従業員である家族以外の立ち入りを禁止しています。ご自身も豚舎に入るときは服を着替えるなど病原菌やウイルスを持ち込まない徹底ぶりです。豚舎内の温度・湿度は養豚が盛んなヨーロッパの環境に合わせて一定管理し、騒音など豚がストレスを感じる要因もできるだけ排除しています。清潔な豚舎で健康に育った玉城豚は抗生物質を与える量も抑えられ、食肉としての安全性の高さを誇ります。
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養豚農家の松尾さん(左)と
ふるさと味工房アグリの名張さん(右) -
衛生管理を徹底した清潔な豚舎
かわいい赤ちゃん豚の飼料が勝負どころ
玉城豚は生後5~6ヶ月、体重120kg程度まで育てられた後、出荷します。飼料は養豚農家さんが自分たちで配合します。安全なうえ、豚の成長に合わせて細かく配合を変えており、特に発育にもっとも影響する生後1週間~2ヶ月の間は、5~6段階も配合を変えて大切に育てられています。
玉城豚の飼料の基本成分はトウモロコシ、大豆かす、大麦などですが、赤ちゃん豚の頃はきな粉をまぜたり、ブドウ糖で甘みをつけたりと工夫を凝らします。飼料の配分は養豚農家さんごとにこだわりがあり、それぞれの豚舎で違うそうです。「えさの配合は常に試行錯誤です」と語る松尾さん。与えた飼料が豚の発育にどう影響するのか、約40年育てた経験がいかされています。
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玉城豚専用の配合施設と
松尾さん自らが配合した飼料 -
つやつやしたピンク色の肌が健康のしるし!
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ミルクを飲んですくすく成長する子豚たち
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養豚農家さんの愛情をたっぷり受けて育ちます
松尾さんの農場は20年以上前に近隣の農場から病原菌をうつされたことがあり、他の農場への拡散を防ぐため、飼育していた豚を処分しました。そのときのつらい経験があるからこそ、誰よりも豚の健康にこだわって育てています。養豚業の楽しみはと聞くと、「かわいいところやな」と即答する松尾さん。豚は見知らぬ人に拒否反応を示すほどデリケートな分、人の顔を覚えてなつくので、松尾さんが近づくと頭をなでてほしいと寄ってくるそうです。そういった点はペットと変わらないからこそ、出荷の時期は寂しいといいます。
「豚はデリケートでキレイ好き。適した環境と飼料で育てると必ず期待に応えてくれます」との言葉どおり、養豚農家さんの愛情をたっぷり受けることで、美味しい玉城豚が育つのだと実感しました。
消費者と農家さんをつなぐ「ふるさと味工房アグリ」
上質な「玉城豚」にこだわっています
「ふるさと味工房アグリ」は、美味しい玉城豚を直接消費者に届けたいと養豚農家さんたちが協力し、1997年に設立しました。玉城豚をはじめ玉城町の新鮮な農作物がそろう産地直売所や、玉城豚を味わうことのできる産直レストランがあります。
扱う玉城豚はすべて「上」ランクのもので、市場から一頭丸ごと買い取り、工房内で精肉や、ハム・ソーセージに加工しています。新鮮さはもちろん、濃厚な肉のうまみは玉城豚100%だからこそ出せる味わいです。ソーセージだけでも、ジューシーなドイツウインナーやハーブで風味づけしたヴァイスヴルストなどさまざまな種類があるので、迷ったら店員の方に相談して、おすすめのものをチョイスしてもらうのも良いでしょう。
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豚肉そのものの味が楽しめるハムやソーセージ
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「ふるさと味工房アグリ」のスタッフの皆さん
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食肉整形処理場のスタッフの皆さん
玉城豚の美味しさを知りつくした産直レストラン
「ふるさと味工房アグリ」内にある産直レストラン「バーベキューハウス」では、玉城豚を使用したさまざまな料理を提供しています。特に玉城豚本来の味が楽しめるしゃぶしゃぶセットが人気です。ロース肉は火を通してもやわらかく、さっとお湯にくぐらせるだけで豚肉の味が引き立ちます。つけダレはうまみのあるポン酢、甘さを抑えたゴマだれ、あっさりとした塩ポン酢の3種類から選ぶことができます。
また、三重県の特産グルメであるトンテキ定食にも玉城豚の肩ロース肉を使用しています。ニンニクを効かせたレストランオリジナルのタレをたっぷりとつけて焼いた玉城豚は、厚切りでボリューム満点です。濃いめの味つけなのでごはんにも良く合います。他にもバーベキューやロースカツ、ショウガ焼きなど、さまざまな調理法で玉城豚の美味しさを引き出しています。
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産直レストラン「バーベキューハウス」の入り口
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肉本来の味が楽しめるしゃぶしゃぶセット
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三重県の特産グルメ、トンテキを玉城豚で
玉城町を全力で応援!「旬菜 野の花亭」
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大きなぶどう畑に囲まれた
「旬菜 野の花亭」 -
カレーやワインは、おみやげにも
おすすめです。 -
熱い思いが形になった、玉城カレープロジェクト
玉城町には話題の地域グルメ、玉城カレーがあります。町内にある約10店舗の飲食店が参加して、玉城豚を使った美味しいカレーで町おこしをしようとはじめたプロジェクトです。
必ず玉城豚を使うなどの条件が6つあり、それぞれのお店が条件に沿ったオリジナルのカレーを提供しています。中でも「旬菜 野の花亭」は玉城カレーを作るきっかけとなったレストランです。オーナーの楠川さんは、数年前に地元の食材である玉城豚を応援したいと思い立ち、自作のカレーに玉城豚を使うことを決めました。それが地元の雑誌編集者の目にとまり、玉城カレープロジェクトという町おこしのきっかけになりました。
栄養満点でヘルシーな「まめまめブーブーカレー」
「旬菜 野の花亭」で食べられる「まめまめブーブーカレー」は、9種類のスパイスを使ったトマトベースのカレーの中に玉城豚、玉城町産の黒豆、多気町産の大豆がメイン食材として入っています。ヘルシーな食材にやわらかく煮込まれた玉城豚をプラスし、美味しさを引き立てます。香りはスパイシーなものの、辛さがやさしく豆の甘みもするので、女性やお子さまにもおすすめです。
「まめまめブーブーカレー」と、大きめな玉城豚がごろっと入った「玉城ブーブーカレー」の2種類はレトルトでも販売しています。
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「まめまめブーブーカレー」をサフランライスでいただきます
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「まめまめブーブーカレー」と「玉城ブーブーカレー」
各648円 -
「旬菜 野の花亭」オーナーの楠川さん
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INFORMATION 旬菜 野の花亭
三重県度会郡玉城町勝田3588 Tel.0596-58-7376 Fax.0596-58-7376
営業時間(ランチタイム) 11時~15時 定休日 水曜、第3日曜(その他年末年始)
旬菜 野の花亭ホームページ
※各種商品のお取り寄せも可能です。TelまたはFaxでお問い合わせください。
手作り体験、見学を通して学ぶ「食の大切さ」
お子さまにも大人気!ソーセージ作り体験
「ふるさと味工房アグリ」では、さまざまな「手作り体験教室」を開催しています。中でも人気なのが玉城豚で作るソーセージ作りです。ミンチを手でこねたり、羊腸に詰めたりといったソーセージの全工程を体験することができます。お子さまにもできる作業ばかりなので、ご家族の思い出作りにもおすすめです。体験は完全予約制で、定休日以外ならいつでも予約できます。使用するエプロンと三角巾の持参を忘れずに!
こねる、つめる、ひねる、ゆでるの工程を経て完成!
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精肉現場やソーセージの製造工程を窓から見学
工房内にある食肉の整形処理場やソーセージ製造室は大きな窓が設置され、作業風景を眺められるようになっています。お客さまが現場を見学できることで、食への安全を実感してほしいという考えによるものです。他ではあまり見ることのできない工程なので、家族で食を考えるきっかけとなるかもしれません。
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各部位ごとに切り分ける整形処理現場
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薫製後のできたてウインナー
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「玉城豚」は
ここで買うことができます。「ふるさと味工房アグリ」にある産直直売所では、工房内で製造したハムやソーセージの他、玉城町内で育てた新鮮な野菜や果物を買うことができます。「旬菜野の花亭」の「玉城ブーブーカレー」「まめまめブーブーカレー」もここで買うことができます。
- 三重県度会郡玉城町原4254-1 Tel.0596-58-8686 営業時間 9時30分~20時 休館日 毎週水曜(祝祭日の場合は翌日)、12月31日~1月1日(2日より営業)
ソーセージづくり体験(2名)3,150円 ※3日前までに要予約 - ふるさと味工房アグリホームページ
- ふるさと味工房アグリ 手づくり体験教室情報
今日はおうちで「農食レストラン」
豚肉はビタミンB1が豊富に含まれている食品として知られ、疲労回復、滋養強壮に効果的として古くから愛されてきました。最近では、ビタミンB1は皮膚や粘膜の健康に働きかける効果があるため、美肌食材として注目されています。
特に玉城豚はジューシーなのにくどさのない脂が特徴的。脂ののった豚バラ肉、スペアリブのレシピをご紹介します。
蓮沼 あい
食品メーカーへのレシピ提供や撮影協力、広告・雑誌でのレシピ紹介をはじめ、飲食店のプロデュースや料理イベントまで幅広く手がけ、食育をテーマにしたテレビ番組にも出演中。
〈材料(2人分)〉
- スペアリブ 大 2本
- 塩こしょう 各少々
- 牛乳 大さじ3
- 小麦粉 大さじ3
- 塩 適量
- みつ葉(またはパクチー) 5本
- 揚げ油、ごはん、ライム 各適量
タレ
- ニョクマム(またはナンプラー)
大さじ2 - スイートチリソース 大さじ2
- 砂糖 大さじ1
- ライム汁 大さじ1
サラダ
- キュウリ 1/2本
- ミョウガ 2本
- すし酢 大さじ1
〈作り方〉
- スペアリブは塩こしょう、牛乳をもみこんで10分置く
- 1の水気を切って小麦粉大さじ1を全体にまぶし、さらに小麦粉大さじ2をつけて余分な粉をはたき、フライパンに入れる(Point1)
- 2に油を1カップほど注ぎ入れ、中火にかける(Point2)
- 揚げている間にタレの材料を混ぜておき、3がカリッときつね色になるまで揚げたら熱いうちにタレと絡める(Point3)
- サラダのキュウリとミョウガは千切りにしてすし酢と和える
- お皿にごはんを盛りつけ、4のスペアリブをのせ、好みでタレをかける。5のサラダを添えたら、切ったライムとみつ葉(またはパクチー)を添える
おいしく作るポイント
小麦粉は2回まぶすと、よりカリッと仕上げることができます
油の量はお肉が半分つかる程度が適量です
熱いうちに絡めることでより味が染み込みます
〈材料(4人分)〉
- 豚バラ肉 1本(400g)
- ネギの青い部分 1本分
- ショウガ、ニンニク 各一片
- 酒 50ml
- 水 1,500ml
- サニーレタス 10枚
- サンチュ 10枚
- 大葉 20枚
- みつ葉 1束
- セロリ 1/2本
- 紫タマネギ 1/2個
- パプリカ 1/4個
タレ
- コチュジャン、バジルソース、トマトソース、みそなどお好みで
各適量
〈作り方〉
- 豚バラ肉はたこひもで縛って形を整えておく(Point1)
- 1を鍋に入れ、たっぷりの水とショウガ、ニンニク、ネギの青い部分と酒を入れて、柔らかくなるまでアクを取りながら50分ほどゆでる(Point2)
- みつ葉は5cmの長さに切り、セロリは筋をとって斜め薄切りにする。紫タマネギは薄い千切りにする。パプリカはタネを取って薄切りにする
- 皿にサニーレタス、サンチュ、大葉と3の野菜を盛りつけ、冷ました2を薄切りにして盛りつける
- 好きな葉っぱに野菜、肉をのせ、好きなタレをつけて包んでいただく(Point3)
おいしく作るポイント
たこひもは1~1.5cmの間隔で均等に縛ります
最初は強火、沸騰したら中火に調節しましょう
サンチュの中心に具材をのせ、お好みのタレをつけて包みます
〈材料(2人分)〉
- 豚バラ肉 1/2本(200g)
- ネギ 1/4本
- 貝割れダイコン 1/4パック
タレ
- 梅干し 2個
- ショウガすりおろし 1片分
- しょうゆ 大さじ1/2
- みそ 大さじ1
- 酒 大さじ1/2
- 砂糖 大さじ1/2
〈作り方〉
- 豚バラ肉は斜めに1cm幅にカットする(Point1)
- ボウルにタレの材料を入れて混ぜ、1をもみ込んで15分置く(Point2)
- 2を皿に並べて湯気のあがった蒸し器(Point3)に入れて中火で20分蒸す
- ネギは白い部分を細切りにして、水にさらす
- 4の水気を切って貝割れダイコンと混ぜたら、蒸し上がった3の上に盛る
おいしく作るポイント
斜めにカットすることで火が通りやすくなります
よくもみ込むと味が染み込み、お肉もやわらかくなります
蒸し器の代わりにフライパンでもOK。使う皿は磁器のものを使用しましょう
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「ふるさと味工房アグリ」のソーセージ詰め合わせを
5名さまにプレゼント!(1,500円相当)
締切日 7月12日(日) -
※写真はイメージです。プレゼントの商品とは内容が異なる場合があります。
三重県度会郡玉城町原4254-1 Tel.0596-58-8686
営業時間 11時~21時(ラストオーダー20時)
休館日 毎週水曜(祝祭日の場合は翌日)、12月31日~1月1日(2日より営業)