• 地元の人たちに愛され、親しまれている食材をテーマに中部5県下をめぐり、その魅力をご紹介します。
    ※「農食」とは、新鮮な農産物をその土地で食べることを意味する造語です。

  • カテエネ 農食ツーリズム
  • 第14回

    駿河湾の桜えびを訪ねて

    静岡県の名産物である桜えびは、日本中で駿河湾でしか漁獲が認められていない貴重な海の幸です。身体が透き通ったピンク色に見えることからこの名がつきました。駿河湾には由比港と大井港の2つの港があり、3月下旬~6月上旬の春漁、10月下旬~12月下旬の秋漁と、時期を限定して桜えびの漁獲がおこなわれています。今回は由比港漁業協同組合にご協力いただき、由比港桜えび漁業組合の組合長である柚木孝男(ゆのきたかお)さんと、青年部長の大石達也(おおいしたつや)さんを訪ねました。
    (注)取材は2015年12月におこないました。
  • 駿河湾の桜えび

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見る・聞く日本で漁獲できるのは駿河湾だけという貴重な桜えび

桜えび漁は、夕方から出発!

桜えびは夜行性で、明るい日中は深海200~300mに生息していますが、日が落ちた夕方はえさとなるプランクトンを求めて水深20~50mまで上がってくるため、このタイミングを狙って漁をおこないます。
午後3時を過ぎると、由比港から約70隻もの船がぞくぞくと沖へ繰り出していきます。

    • 停泊中の桜えび漁船。天気がよくて風がなく、波のおだやかな日を選んで漁に出ます。

    • ハイテク機器が揃う船の内部。

  • 販売課の宇佐美秀明(うさみひであき)さん(左)、柚木組合長(中央)、青年部長の大石達也さん(右)。

桜えびを「傷つけない、獲りすぎない」がお約束

  • 桜えび漁は2隻の船がペアになり、船と船の間に網をはって走行する「船引網(ふなびきあみ)」という漁法でおこないます。
    「船引網」漁法は、桜えびが生きていくのに必要な長い触覚を網目に引っかけて折ったり傷つけたりしてしまう恐れがあるので、網をはって走るのは漁獲量に関わらず、1日1~2回のみ。桜えび保護のために自然とできた約束事です。
    桜えびの生態はまだ謎の部分が多く、養殖は大変難しいといわれます。桜えび漁が春と秋の短い時期にしかおこなわれないのも、貴重な天然資源を守る観点から、夏の産卵期などを考慮して決められたものです。

  • 魚群探知機が桜えびをとらえると、一気に網を張ります。

捕れた桜えびを翌朝まで寝かせる、漁港の巨大冷蔵庫

桜えび漁の船が港へと帰ってくるのは、夜21時から深夜になるため、獲れた桜えびはセリの始まる翌朝まで港で保存されます。
由比港の場合、セリがおこなわれる漁港の1階は、室温を0度まで下げる特別なエアコンがついており、桜えびを運び入れて厚い鉄の扉を閉めるだけで巨大冷蔵庫となり、翌朝まで鮮度を保つことができます。

  • 船上は、桜えびが入ったケースで埋め尽くされます。

食べる由比港から歩いていける!抜群の立地にある「浜のかきあげや」

桜えびたっぷり!サクサクのかきあげが大人気

由比港から徒歩約5分のところにある「浜のかきあげや」は、旬の桜えびをたっぷりと使ったメニュー目当てに、週末は長い行列ができるほど、多くの観光客が訪れる人気店です。

  • 窓口で注文し、商品を受け取った後、席につくスタイル。

  • 停泊する船を眺めながら食事ができる絶好のロケーション。

  • 案内してくださった由比港漁業共同組合の出羽義昌(でわよしあき)さん。

「浜のかきあげや」の人気メニューは、「由比どんぶり」と「漁師の沖漬丼」です。「由比どんぶり」はきれいなピンク色をした桜えびの釜揚げと、同じく駿河湾の名物であるしらすの釜揚げが半分ずつ盛られたコラボどんぶり。「漁師の沖漬丼」は漁師さん特製のしょうゆベースのたれに漬け込んだ桜えびがたっぷり。釜揚げとはまた違った味わいが楽しめます。また、桜えびをふんだんに使ったサクサクのかきあげも絶品です。

  • 桜えびもしらすも両方食べたいときにおすすめの「由比どんぶり」(税込750円)。

  • 専用のだしをかけてお茶漬けでいただく「漁師の沖漬丼」(税込750円)。

  • 熟練の手技で作られるかきあげ。薄くあげることで、サクサクの食感が生まれる。

  • できたてのかきあげ(税込300円)。具材は桜えびとネギのみ。

  • ボリューム満点の「由比どんぶりセット」は税込1,000円。

  • アクセス&インフォメーション 浜のかきあげや

    静岡県静岡市清水区由比今宿字浜1068-2 Tel:054-376-0001
    営業時間 10時~15時 定休日 月曜、祝日の翌日、年末年始
    (注)春漁(3月下旬~6月上旬)と秋漁(10月下旬~12月下旬)の時期以外は、金曜、土曜、日曜のみの営業
    新しいウィンドウを開きます浜のかきあげやホームページ
    ■車でのアクセス 東名高速道路「清水IC」から約30分
    ■電車でのアクセス JR東海道線「由比駅」から徒歩約15分

買う漁協が運営する直売所だから、品質・価格ともに安心&納得

鮮度をそのまま閉じ込めた、冷凍桜えびが年中買えます

「浜のかきあげや」からさらに5分ほど歩くと、由比港漁業協同組合の直売所があります。漁獲シーズンに獲れた桜えびを冷凍保存しているため、季節を問わず「生桜えび(冷凍200g:時価)」を買うことができます。
他にも「釜揚げ桜えび(冷凍200g:時価)」や「素干しの桜えび(30g:750円税込)」「桜えびの沖漬け(100g:800円税込)」など、さまざまなおみやげを買うことができます。

  • 鮮度そのままの「生桜えび(冷凍)」。さまざまな調理法を楽しめます。

  • 地元の方に人気が高い「釜揚げ桜えび」。新鮮な桜えびのうまみを閉じ込めています。

  • 桜えびを使ったさまざまな商品が並ぶ店内。桜えびの他に、しらすの商品も人気です。

前夜に水揚げされた生桜えびが購入できるのは、シーズンだけのお楽しみ!

春と秋の漁獲シーズンは、前夜に桜えびが獲れた日のみ、生桜えびを数量限定で販売しています。購入希望の方は行く前に必ず電話で確認しましょう。

  • アクセス&インフォメーション 由比港漁業協同組合直売所

    静岡県静岡市清水区由比今宿字浜1127 Tel:054-377-1111
    営業時間 8時~17時 定休日 月曜、祝日の翌日、年末年始
    ■車でのアクセス 東名高速道路「清水IC」から約30分
    ■電車でのアクセス JR東海道線「由比駅」から徒歩約20分

学ぶ東海道五十三次の「由比宿」を歩こう!

「由比宿」の本陣跡地「由比本陣公園」

由比港がある由比は、東海道五十三次16番目の宿場町「由比宿」として栄えた場所です。町には今も当時の風情を残した建物が並び、参勤交代中の大名の宿だった本陣跡は「由比本陣公園」として整備されています。公園内には「静岡市東海道広重美術館」「東海道由比宿交流館」「由比本陣記念館 御幸亭(みゆきてい)」があります。

  • 立派な門構えの「由比本陣公園」。門をくぐると庭園が広がり、物見塔なども見学できます。

  • 「由比宿」に関するパンフレットや資料が揃う「東海道由比宿交流館」。江戸時代のジオラマもあります。

  • 明治天皇がご小休された、本陣の離れ座敷を復元した「由比本陣記念館 御幸亭」。茶室や、小堀遠州デザインの庭が見学できます。

「東海道由比宿交流館」に行くと、活きた桜えびに会えるかも!

「東海道由比宿交流館」では、毎年桜えびの漁獲シーズンに「活きた桜えび」の展示をおこなっています。これは由比港漁業協同組合青年部の皆さんが厚意で提供されており、「特産品である桜えびのことをもっと知ってほしい」という思いによるものです。

  • 活きた桜えびの展示水槽。深海魚である桜えびを間近に見られるのはここだけ。桜えびが獲れた翌日に展示を開始し、約1週間は元気に水槽を泳ぐ姿を観察できます。

  • 桜えびを提供している由比港漁業協同組合青年部の(左から)岩邊雄介(いわなべゆうすけ)さん、望月宥祐(もちづきゆうすけ)さん、石川貴浩(いしかわたかひろ)さん。

江戸時代の浮世絵師・歌川広重の「静岡市東海道広重美術館」

「由比本陣公園」内にある「静岡市東海道広重美術館」は、東海道五十三次を描いた浮世絵師、歌川広重の名を冠した日本で最初の美術館で、代表的な東海道シリーズや、晩年の傑作「名所江戸風景」などの風景版画が約1,400点収蔵されています。

  • 平成6年に開館した「静岡市東海道広重美術館」。浮世絵や版画の歴史を学べます。

  • 作品への理解が深まる「浮世絵の基礎知識コーナー」。

  • 毎月展示作品を変えているため、月を変えて訪れるのも楽しい。

  • 版画の作り方を体験できるコーナーも人気が高い(体験料300円)。

  • アクセス&インフォメーション 由比本陣公園

    静岡県静岡市清水区由比297-1

    東海道由比宿交流館 Tel:054-375-5166 入館料 無料
    開館時間 9時~17時 休館日 月曜(月曜が祝日の場合は翌平日)、年末年始

    由比本陣記念館 御幸亭 入館料(煎茶サービスつき) 大人150円 小・中学生50円
    開館時間 9時~17時(最終入館は16時30分まで) 休館日 月曜(月曜が祝日の場合は翌平日)、 年末年始

    静岡市東海道広重美術館 Tel:054-375-4454
    入館料 個人[一般:510円(410円)、大学生・高校生:300円(240円)、中学生・小学生:120円(100円)] ()内は20名以上の団体料金
    開館時間 9時~17時(入館は16時30分まで) 休館日 月曜(祝日の場合は開館、翌平日休館)、年末年始(12月28日~1月4日)
    新しいウィンドウを開きます静岡市東海道広重美術館ホームページ

    ■車でのアクセス 東名高速道路「清水IC」から約35分
    ■電車でのアクセス JR東海道線「由比駅」から旧東海道を東へ徒歩約25分、またはタクシーで約5分

当時の市民の生活を楽しく再現「おもしろ宿場館」

「由比本陣公園」から1分ほど歩くと、やじさんきたさんのユニークな人形が出迎えてくれる「おもしろ宿場館」を発見しました。
館内では、今にもしゃべり出しそうな表情をした人形たちが、当時の市民の生活を再現しています。

  • やじさん、きたさんが門を守る「おもしろ宿場館」。取材時はあいにく、きたさんが修理中でした。

  • つい笑ってしまうユニークな表情の人形たちは、すべて松永宝蔵(まつながほうぞう)さんによるデザイン。

  • 江戸時代「由比宿」の人々の暮らしが再現され、近づくと人形たちが由比の方言を使って話しかけてくれる。

  • アクセス&インフォメーション おもしろ宿場館

    静岡県静岡市清水区由比53 Tel:054-377-0023
    入館料 大人420円、小・中学生210円(20名以上の団体は大人310円、小・中学生160円)
    営業時間 10時~15時 休館日 無休(年末年始は休館)
    ■車でのアクセス 東名高速道路「清水IC」から約35分
    ■電車でのアクセス JR東海道線「由比駅」から旧東海道を東へ徒歩約25分、またはタクシーで約5分

作る今日はおうちで農食レストラン

今回は桜えびを使ったレシピを紹介するニャ

刺身、釜揚げ、かき揚げと、さまざまに楽しめる桜えび。きれいなピンク色は見た目にも食欲をそそります。熱を加えることで香ばしさがいっそう引き立つ桜えびは、殻を含めて丸ごと食べられるので、ミネラルやカルシウムをたっぷり採れることも魅力のひとつです。

蓮沼 あいさん

農食シェフ蓮沼 あい

食品メーカーへのレシピ提供や撮影協力、広告・雑誌でのレシピ紹介をはじめ、飲食店のプロデュースや料理イベントまで幅広く手がけ、食育をテーマにしたテレビ番組にも出演中。
ウェブサイト新しいウィンドウを開きますhttp://ai-hasunuma.com

桜えびとじゃがいものガレットフライパンひとつで簡単に作れる
香ばしいガレット。
冷めても美味しくいただけます。

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〈材料(2~3人分)〉
直径26cmフライパンの場合
  • 桜えび(生) 70g
  • じゃがいも 3個(400~450g)
  • パルメザンチーズ 大さじ1
  • マヨネーズ 大さじ2
  • 小麦粉 大さじ2
  • 塩、こしょう 各少々
  • サラダ油 大さじ2
  • イタリアンパセリ 適宜

(注)ガレットとは、丸く薄く焼いたフランスの郷土料理

〈作り方〉
  1. 桜えびは流水でさっと洗い、キッチンペーパーなどで水切りする(Point1)
  2. じゃがいもはマッチ棒くらいの千切りにする。水にさらさずボウルに入れる
    ※水にさらすとでんぷん質が流れてしまい、まとまりづらくなります
  3. 2にパルメザンチーズ、マヨネーズ、小麦粉、塩こしょうをして混ぜ合わせる。最後に桜えびを加えてさっと混ぜる(Point2)
  4. フライパンにサラダ油を入れて中火で熱し、3を広げてのせる。フライ返しで押しながら、6~7分焼く(Point3)
  5. 4の下にフライ返しを差し込んでひっくり返し、同じように、こんがりと焼きめがつくまで6~7分焼く
  6. 食べやすい大きさに切り、器に盛りつける
おいしく作るポイント
ポイント1

しっかり水切りしておくと、焼いたときにカリッと仕上がります

ポイント2

生の桜えびはデリケートな食材なので、ヘラなどでさっと混ぜるようにしましょう

ポイント3

じゃがいもが透き通るまで全体をじっくりと焼いていきます

桜えびペペロンチーノ桜えびをしっかりと味わう
シンプルなパスタ。
乾燥の桜えびを使ってもOK!

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〈材料(2人分)〉
  • 桜えび(生) 60g
  • スパゲッティ(乾麺) 200g
  • にんにく 2片
  • 赤唐辛子(輪切り) 2本分
  • オリーブオイル 大さじ2
  • 塩 適宜
  • 万能ねぎ 適宜
  • レモン 適宜
〈作り方〉
  1. にんにくはみじん切り、赤唐辛子は種を除いて輪切り、万能ねぎは小口切りにする
  2. フライパンにオリーブオイル、1のにんにく、赤唐辛子を入れ、弱火で炒めて油に香りをうつす。香りが出たら桜えびを加えて、さっと炒める(Point1)
  3. 鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩(分量外)を入れ、スパゲッティを表示どおりに茹でる
  4. 2に3の茹で汁100~150cc、塩を加える。フライパンをよくゆすりながら弱火で一煮立ちさせる(Point2)
  5. 茹であがったスパゲッティを4に入れ、強火で30秒加熱し混ぜ合わせる。器に盛りつけ、万能ねぎを散らしてレモンをかける
おいしく作るポイント
ポイント1

桜えびはさっと炒めて風味を損なわないようにしましょう

ポイント2

オリーブオイルと茹で汁を乳化させることで、とろみのある美味しいソースになります

桜えびの
チーズスティックパイ
パイシートに桜えびとチーズをはさみ
カリッと揚げたスティックパイ。
お子さんのおやつ、お酒のつまみ、どちらでも!

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〈材料(2人分)〉
  • 桜えび(乾燥) 大さじ3
  • 冷凍パイシート(18cm×18cm) 1枚
  • パルメザンチーズ 大さじ2
  • 粗挽き黒こしょう 小さじ1/3
  • 溶き卵 1個分
〈作り方〉
  1. パイシートは使用する5分前に冷凍庫から出し、室温にもどし、半分にカットする。パルメザンチーズ、粗挽き黒こしょうをボウルに合わせておく
  2. パイシート1枚に卵液を塗り、1の半量と桜えびを均一に広げる
  3. もう1枚のパイシートにも卵液を塗り、卵を塗った面を下にして2に重ねる(Point1)
  4. 3の上にラップをかぶせ、その上から麺棒でのばす(Point2)
  5. ラップをはずして4に卵液を塗り、1の残りを表面にふりかける
  6. 天板にクッキングシートを敷き、5を8等分のスティック状に切ってねじる(Point3)。200℃に予熱したオーブンで約15分焼く
おいしく作るポイント
ポイント1

半分に切った残りのパイシートは、重ねる直前に卵液を塗ると乾きません

ポイント2

麺棒で軽く押しながら、真ん中から上下にのばすと、きれいに仕上がります

ポイント3

ねじることで断面の桜えびがよく見えるようになります

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