• 地元の人たちに愛され、親しまれている食材をテーマに中部5県下をめぐり、その魅力をご紹介します。
    ※「農食」とは、新鮮な農産物をその土地で食べることを意味する造語です。

  • カテエネ 農食ツーリズム
  • 第15回

    各務原市のにんじんを訪ねて

    岐阜県各務原市では、昭和40年頃からにんじん栽培が盛んで、春夏と秋冬の二期作栽培が特徴です。
    JAぎふでは、にんじんが苦手な子どもでも食べられるよう、甘みが強い「彩誉(あやほまれ)」「翔彩(しょうさい)」などの品種を中心に栽培しています。今回は、各務原産にんじんの栽培暦40年の大ベテラン、JAぎふにんじん部会相談役の土屋栄治(つちやえいじ)さんの畑を訪ねました。
    (注)取材は2015年11月におこないました。
  • 各務原市のにんじん

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見る・聞く色良し、味良し、形良し!3拍子揃った自慢のにんじん

やわらかな葉が揺れるにんじん畑

収穫直前の畑では、真っ黒な土の上にのびた、やわらかそうな葉っぱが風に揺れていました。土屋さんが葉っぱの根元を持って引き抜くと、鮮やかなオレンジ色のにんじんが顔を出しました。
畑は各務原台地特有の「黒(くろ)ぼく」と呼ばれる粘土質の土壌です。栄養を豊富に蓄え、良質なにんじんを育むことから、各務原市では昭和40年頃からにんじん栽培が盛んにおこなわれるようになりました。

  • 「黒ぼく」から抜かれたばかりのにんじん。

  • 風にそよぐにんじんの葉。生育状況を見極めるバロメーターでもあります。

にんじん専用収穫機「キャロベスター」で、スピーディに収穫

現在、にんじんの収穫は「キャロベスター」という、にんじん専用の収穫機が使われています。キャロベスターが畝(うね)に沿って進むと、後方のベルトコンベアから葉のないにんじんが転がり出てきました。キャロベスターは収穫と同時に葉をカットするため、とてもスピーディで便利なのです。

  • 広い畑を走りながら、次々とにんじんを収穫するキャロベスター。

  • キャロベスターの登場で、収穫時間は手作業時の約4分の1に短縮しました。

  • ベルトコンベアから出てくるにんじんの状態を確かめ、収穫箱に入れます。

寒さが苦手なにんじんの種で、二期作に成功

スーパーなどで年中見かけるにんじんですが、本来は冬が旬。9月頃に種をまいて冬に収穫するのが通常です。しかし各務原市では、冬に収穫するにんじんの他、1月に種をまいて5月から収穫できる「春夏にんじん」も育てています。「春夏にんじん」は種まき後、畝全体をマルチと呼ばれるビニールでトンネル状に覆い、発芽に必要な熱を確保します。この技術が優れていたため、全国的にめずらしい、にんじんの二期作に成功したのです。

  • 取材にご協力いただいた、岐阜農林事務所の魚住雅信(うおずみまさのぶ)さん(左)、にんじん部会相談役の土屋栄治さん(中央)、JAぎふ営農部の金武秀広(かねたけひでひろ)さん(右)。

  • マルチが湖のように光を反射する冬のにんじん畑。

食べる鮮やかなにんじんがたっぷり入った「金魚めし釜めし」

各務原市の郷土料理「金魚めし」を、ホカホカの釜めしに!

名鉄各務原線「鵜沼宿(うぬまじゅく)駅」から徒歩約15分、中山道鵜沼宿の古い町並みに溶けこむ釜めし屋「花の木」では、各務原市の郷土料理「金魚めし」をアレンジした「金魚めし釜めし(1,100円税抜)」が人気を集めています。
「金魚めし」は、古くから村の祭りや会合などで作られた炊き込みごはんで、たっぷりの各務原産にんじんに加え、油揚げやしいたけなどが入っています。「花の木」では、白だしをベースに料理長が配合した特製だしで炊きあげます。
他にも各務原市の特産品、各務原キムチを使った「キムチ釜めし(930円税抜)」や、5種類の釜めしから好きなものをチョイスできる「花の木ランチ(1,000円税抜)」が人気です。

  • 「金魚めし釜めし」は、小鉢4品、自家製コラーゲン、みそ汁、茶碗蒸し、漬け物がつきます。

  • にんじんの香りとやさしい甘さに思わず笑顔。自家製コラーゲンを入れれば、コクが出てまた違った風味が楽しめます。

  • 中山道鵜沼宿の古き良き風景に溶け込む、釜めし屋「花の木」。

  • 落ち着いた明かりの中に、和モダンな空間が広がる店内。

  • 板長の岩井貞紀(いわいさだのり)さんと、奥さまの真須巳(ますみ)さん。

  • アクセス&インフォメーション 釜めし屋 花の木

    岐阜県各務原市鵜沼西町1-118 Tel:058-385-2958
    営業時間 昼:11時~14時 夜:予約営業
    定休日 月曜(月曜が休日の場合は営業、翌日火曜が休業となります)
    ■車でのアクセス 東海北陸自動車道「岐阜各務原IC」から約25分
    ■電車でのアクセス 名鉄各務原線「鵜沼宿駅」から徒歩約15分

買う各務原産にんじんだけで作った、100%ジュース

各務原市の特産品を使った人気のおみやげ

安積保(あづみたもつ)さんが代表を務める「有限会社安積」は、各務原市で40年以上続く仕出し専門店です。仕出し業を息子さんに任せた現在は、各務原市の「特産品作り研究会」の代表として、豊富なアイディアをいかし、各務原市の特産品を使ったさまざまなおみやげを開発しています。
中でも人気は各務原産にんじんを使った100%ジュース「寒堀りにんじん(720ml/1,500円税込)」。他にもドレッシングやジャムがあり、ジュースと一緒に各務原市の大手スーパーや産地直売所などで販売されています。

  • 安積さんの自信作、「寒掘りにんじん」は、1本(720ml)を作るのに約2kgの各務原産にんじんを使用しています。

  • (左から)「手づくり人参ジャム(560円税込)」、「はちみつ入り人参ジュース(180ml/350円税込)」、「人参のつぶつぶドレッシング(630円税込)」

  • ジュースへのこだわりは、原材料へのこだわり

    安積さんは以前、近隣の農家さんから仕入れたにんじんでジュースを作っていました。しかし、ご自身が思い描く理想のジュースを作るため、5~6年前から、甘みが強く水分の多い品種「恋ごころ」を自ら栽培するようになりました。にんじんの甘さをさらに引き出すため、畑に霜が降りる時期まで待ち、ベストのタイミングで収穫したにんじんをジュースに加工しています。

  • にんじんジュースは、各務原産にんじん100%の「寒掘りにんじん」とりんごを加えた「はちみつ入り人参ジュース」の2種類。

  • インフォメーション 有限会社 安積

    Tel:058-383-5815
    (注)各商品は各務原市の大手スーパーや産地直売所などで販売されています。

各務原産の野菜やくだものが勢揃い!「JAファーマーズマーケット菜々の里」

名鉄各務原線「名電各務原駅」から車で約5分の「JAファーマーズマーケット菜々の里」は、近隣の農家さんから届く新鮮な野菜やくだものがたくさん並ぶ産直所です。毎日の食卓に欠かせない各務原産にんじんの他、5月は初物のとうもろこしもおすすめです。

  • 近隣の農家さんが作った各務原産にんじん。旬の時期はこんなにどっさり!

  • 各務原の特産品を使った「各務原キムチ」も人気。

  • キムチの素を買って自家製を楽しむご家庭も多いそう。

  • 和気あいあいとした雰囲気が魅力。「JAファーマーズマーケット菜々の里」のスタッフの皆さん。

  • アクセス&インフォメーション JAファーマーズマーケット菜々の里

    岐阜県各務原市鵜沼朝日町2-371 Tel:058-384-5351
    営業時間 9時~15時30分
    年中無休
    ■車でのアクセス 東海北陸自動車道「岐阜各務原IC」から約20分

学ぶ日本の国宝、犬山城とその城下町を満喫!

戦国合戦の舞台、国宝犬山城

東海北陸道「岐阜各務原IC」から車で25分ほど行くと、小高い山の頂上に見えてくるのが犬山城です。
犬山城は室町時代の1537年に建てられたもので、国宝5城の1つ。戦に好条件な立地や、攻めにくい構造から当時の名将たちが手に入れたがった城で、「小牧・長久手の戦い」では豊臣秀吉が入城し、小牧山城に陣を構えた徳川家康とにらみ合ったといわれています。

  • 丘上に立つ犬山城。李白の詩をなぞったような光景から、別名「白帝城」とも。

  • 青空にそびえる天守。新緑の美しい時期は特ににぎわいます。

  • 最上階の廻縁(まわりえん)を歩くと、360度の絶景パノラマが楽しめます。

  • アクセス&インフォメーション 国宝犬山城

    愛知県犬山市犬山北古券65-2 Tel:0568-61-1711
    入場料 個人(一般:550円 小・中学生:110円)
    開場時間 9時~17時(入場は16時30分まで)
    定休日 12月29日~31日
    ■車でのアクセス 東海北陸自動車道「岐阜各務原IC」から約25分
    ■電車でのアクセス 名鉄犬山線「犬山遊園駅」から徒歩約15分

江戸時代の風情を感じて、城下町をそぞろ歩き

江戸時代の古い町並みが随所に残る犬山城下町。文化にふれて、時代を感じながら食べ歩きも楽しめます。
本町通りには「城とまちミュージアム」やその別館「からくり展示館」など、犬山の歴史や文化が学べる施設の他、カフェやおみやげ屋さんや雑貨店などが並んでいます。

  • 江戸時代にタイムスリップしたような城下町。

  • 犬山祭のからくり人形などが展示される「からくり展示館」。

  • 「からくり展示館」には、人形の動かし方を体験できるコーナーも。

  • 犬山市のキャラクター「わん丸君」と仲良くなったニャ!

郷土の語り部さんと一緒に歩いて、知識を深めよう!

犬山城下町がもっともにぎわうのは、毎年4月開催の犬山祭。からくり人形を乗せた車山(やま)が城下町を練り歩く様子はまさに豪華絢爛の一言です。
本町通りには1909年に建築された「本町車山蔵」が当時の姿で残り、「どんでん館」では、犬山祭で実際に使用される車山(やま)を間近に見学できます。
歴史ある犬山城下町を歩くなら、犬山歴史観光ガイド「ナイスで犬山」のボランティアガイドさんに案内してもらうのもおすすめです(ガイド案内は無料。ガイドの交通費が必要)。知らないと通り過ぎてしまうスポットまでくまなく案内してくださり、当時の様子が目に浮かぶようです。

  • 「本町車山蔵」の木造の蔵は、2つしか残っていない貴重なもの。

  • 「どんでん館」に展示された高さ8mの車山は、近くで見ると迫力満点!

  • 犬山市観光協会の宮地靖(みやじやすし)さん(左)と、「ナイスで犬山」ボランティアガイドの恵村亜希子(えむらあきこ)さん(右)。

  • おみやげ売り場には「わん丸君」グッズもたくさんあるニャ!

  • インフォメーション

    ●犬山城と城下町についてのお問い合わせ
    犬山観光案内所 Tel:0568-61-6000

    ●犬山歴史観光ガイド「ナイスで犬山」の受付窓口
    犬山市観光協会 Tel:0568-61-2825 Fax:0568-61-2512
    ※ガイド案内は無料。ただし、ガイド1名に付き、交通費1,000円かかります。
    また、ガイド時間が昼をまたぐ場合、ガイド用に昼食の準備が必要となります。
    ※犬山祭の開催日はガイド案内はおこなっておりません。

作る今日はおうちで農食レストラン

今回はタコを使ったレシピを紹介するニャ

にんじんは、βカロテン(ビタミンA)を豊富に含み、緑黄色野菜の王様といわれるほど。火を通すと甘みを増すだけでなく、βカロテンの量が増えるので、煮たり油で炒めたりしていただくのもおすすめです。また、ビタミンCや食物繊維、ミネラルなどもしっかり摂れる、美肌にもうれしい食材です。

蓮沼 あいさん

農食シェフ蓮沼 あい

食品メーカーへのレシピ提供や撮影協力、広告・雑誌でのレシピ紹介をはじめ、飲食店のプロデュースや料理イベントまで幅広く手がけ、食育をテーマにしたテレビ番組にも出演中。
ウェブサイト新しいウィンドウを開きますhttp://ai-hasunuma.com

にんじんミルフィーユサラダひらひらにカットしたにんじんと
リーフレタスのミルフィーユ仕立て。
レタスでにんじんを包むようにしていただきます。

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〈材料(2人分)〉
  • にんじん 中1本(130~150g)
  • リーフレタス 6~8枚
  • 酢 小さじ1
  • 塩 小さじ1/3
  • オリーブ油 大さじ1/2
ドレッシング
  • マヨネーズ 大さじ1
  • おろしにんにく 少々
  • 粉チーズ 小さじ1/2
  • 牛乳 大さじ1
  • くるみ 10g
  • 粗挽き黒こしょう 適宜
〈作り方〉
  1. 氷水を入れたボウルにリーフレタスを約10分浸し、葉をシャキッとさせたら、水気をしっかり切る。フライパンを熱し、くるみをローストする
  2. にんじんは皮むき器で薄くそぎ、ボウルに入れる。塩をふって手でよくもみ(Point1)、しんなりしたら酢、オリーブ油を加えてあえる
  3. リーフレタスと2のにんじんを交互に重ね、3~4層にする(Point2)。食べやすいように、幅4cmに切り分ける
  4. 器に盛り、ドレッシングの材料を混ぜてかける。仕上げにローストしたくるみ、粗挽き黒こしょうをトッピングする
おいしく作るポイント
ポイント1

塩が全体に行き渡るよう、ふってからしばらくおくと、手でもみやすくなります

ポイント2

リーフレタスの上にすきまなくにんじんを重ねると、盛りつけがきれいに仕上がります

春巻き皮でつくるキッシュ炒めたにんじんをたっぷり入れて、
パイ生地に春巻きの皮を使った簡単キッシュ。
カリカリにんじんをトッピング!

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〈材料(2人分)〉
  • にんじん 大1本(200~250g)
  • ベーコン 3枚
  • 卵 2個
  • 生クリーム 200ml
  • 粉チーズ 大さじ1
  • とろけるチーズ 50g
  • 春巻きの皮 5枚
  • 溶かしバター 20~30g
  • 塩、こしょう 各少々
  • オリーブ油 大さじ4
  • バター 10g
〈作り方〉
  1. にんじんは皮むき器で4~5cmの長さに薄くそぐ(A)。小さくなり、そげなくなった部分は細い千切りにする(B)。ベーコンは1cm幅に切る
  2. フライパンにオリーブ油大さじ1とバター10gを熱し、1の(A)とひとつまみの塩(分量外)を加えてしんなりするまで炒め(Point1)、バットに取り出す。同じフライパンにオリーブオイル大さじ3を足し、1の(B)をカリカリになるまで素揚げする
  3. ボウルに卵を割り入れ、生クリーム、粉チーズ、塩、こしょうを加え混ぜ合わせる
  4. 春巻きの皮の片面に1枚ずつ溶かしバターを塗り、バターを塗った側を上にして耐熱容器(直径25cm)に重ねて敷く(Point2)。炒めたにんじん、ベーコン、とろけるチーズが層になるよう平らにならしながら、3を流し入れる(Point3)
  5. 220℃に予熱したオーブンで約25分焼く。(途中焦げそうならアルミホイルをかぶせる)。竹串をさして何もつかなければオーブンから取り出し、カリカリに素揚げしたにんじんをトッピングする

  6. (注)焼き上がりはオーブンによっても多少違うので、最後の5分は焼き色を確認して、温度やアルミホイルで調整してください

おいしく作るポイント
ポイント1

しっかり火を通して、にんじんの甘みを引き出します

ポイント2

耐熱容器を回しながら重ねていくのがポイントです

ポイント3

とろけるチーズがかたよらないよう、全体に行き渡るようにならすと美味しく仕上がります

にんじんのドルマと
ひよこ豆のトマト煮
ドルマとは「詰めもの」の意味。
にんじんを型抜きするひと手間で
ぐっと華やかになるので、おもてなし料理にも最適。

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〈材料(2人分)〉
  • にんじん 大2本
  • 小麦粉 適量
詰め物
  • 合挽肉 100g
  • 玉ねぎ 1/6個分
  • 乾燥パセリ 適量
  • 塩 小さじ1/3
  • こしょう 適量
トマトソース
  • トマト水煮缶 200g
  • ひよこ豆(水煮) 100g
  • 砂糖 小さじ1/2
  • 塩 小さじ1
  • こしょう 適量
  • ローリエ 1枚
  • オリーブ油 大さじ1
  • 水 1カップ
〈作り方〉
  1. 小さめの抜き型を用意する(クッキー型など)。にんじんは皮をむき、1.5~2cm幅の輪切りにする。抜き型より細い根元の部分はすりおろす。玉ねぎはみじん切りにする
  2. 輪切りにしたにんじんを耐熱容器に入れてラップをし、600wの電子レンジで3分加熱する。少しやわらかくなったら型抜きして、抜いた内側(詰め物を詰める部分)に小麦粉をふっておく(Point1)。型抜きした分もとっておく
  3. ボウルに詰め物の材料を入れて混ぜ合わせる
  4. 2のにんじんに3を詰める(Point2)
  5. 鍋にトマトソースの材料、1ですりおろしたにんじん、2で型抜きしたにんじん、4を入れる。残っていたら3の詰め物も丸めてミートボール状にして入れる。蓋をしてにんじんがやわらかくなるまで弱火で約30分煮る

  6. (注)小さめの鍋で煮るとにんじんが動かず、きれいに仕上がります

おいしく作るポイント
ポイント1

型抜きした際、内側にしっかり小麦粉をつけると詰め物が取れにくくなります

ポイント2

挽肉を下から押し出すようにして、少し飛び出させましょう

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