• 地元の人たちに愛され、親しまれている食材をテーマに中部5県下をめぐり、その魅力をご紹介します。
    ※「農食」とは、新鮮な農産物をその土地で食べることを意味する造語です。

  • カテエネ 農食ツーリズム
  • 第19回

    愛知県稲沢市の金時生姜を訪ねて

    濃尾平野のほぼ中央に位置する愛知県稲沢市は、全国有数の「金時生姜(きんときしょうが)」の産地として発展してきました。しかし昭和30年代には200軒近くあった生産農家も、安価な中国産生姜の影響を受け、現在は10軒まで減少しています。
    その中で1949年から親子3代に渡って栽培を続ける、「木村農園」の木村憲政(きむらのりまさ)さんを訪ねました。
    (注)取材は2016年6月におこないました。
  • 稲沢市の金時生姜

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見る・聞く木曽川の砂が育てる、赤く美しい「金時生姜」

初夏の気候を再現したガラス温室の中で、大切に栽培

「金時生姜」は1株200gほどの小ぶりな生姜で、一般の生姜より栄養成分を豊富に含みます。
「木村農園」では、5棟のガラス温室で「金時生姜」を1年中栽培しています。旬を迎える初夏の環境に合わせ、約25℃に保たれた温室内をのぞくと、深さ45cmに掘られた溝の中で、笹のような葉が生い茂っています。掘り起こすと、茎から根元にかけて赤く色づいた、ほっそりと美しい「金時生姜」が姿を現しました。

  • 溝に植えるのは、冬の冷たい外気や夏の熱気が入り込みにくく、温度を一定に保ちやすくなるのが理由。

  • 葉を軽く指でこすると、心地よい生姜の香りがふわりと漂います。

  • 赤紫から薄桃色のグラデーションが美しい「金時生姜」。

美しい赤色は環境と栽培技術から生まれる

  • 「金時生姜」を育てる土壌は、市の西部を流れる木曽川の砂です。この清流の砂はミネラルなどの栄養分を豊富に含んでおり、美しい赤みを出すことができます。また、直射日光を当てると硬くなってしまうため、「木村農園」では独自の遮光技術で日光量を調整しています。

  • 種生姜の上に砂をかぶせます。種生姜を溝一面にすきまなく並べ、ここから葉生姜(矢生姜)が伸びていきます。

  • 直射日光を遮り、湿気がこもらないよう調節された畑。

  • 所定の場所から採取したミネラル豊富な木曽川の砂。

「こんな美しい野菜はない」。約50年間、栽培を続ける木村さんの思い

木村さんは高校卒業後に家業を手伝い始め、約50年間、栽培に携わってきた「金時生姜」作りの名人。「こんなに美しい野菜はないと惚れ込んでいます。江戸時代から歴史のある野菜をなくすわけにはいかない」と話してくれました。
木村さんの作る「金時生姜」は、高級料亭やおせち料理などに需要が高く、味、風味、香り、いずれも優れています。「本物を必要とするお客さまがいる限り、栽培を続けたい」という思いが、木村さんの50年間を支えてきました。

  • 収穫、出荷準備をすべて手作業でおこないます。

  • 毎日こまめに温室を見回る木村さん。砂の乾き具合や色づき加減などを見て、ベストな環境に整えます。

  • 家族一丸となって、栽培に取り組んでいる木村さん一家。

食べる「金時生姜」料理専門店「生姜ダイニングJINGER(ジンジャー)」

「金時生姜」を使った、生姜料理専門店

JR・名鉄・地下鉄金山駅から歩いて約1分の場所にある「生姜ダイニングJINGER」は、名前の通り、「金時生姜」料理の専門店です。
店長の武岡真也(たけおかしんや)さんは、生姜料理を中心としたお店を開こうと決めたとき、「木村農園」のホームページを発見。「金時生姜」のしっかりとした香りや味、そして木村さんの人柄に魅かれ、料理に使う生姜はすべて「木村農園」の「金時生姜」を使用しています。

  • ブラウンをベースにしたシックな内装で、落ち着いた雰囲気の店内。

  • 「生姜ダイニングJINGER」の店長、武岡真也さん(右)と、シェフの馬場悠貴(ばばゆうき)さん(左)。

「金時生姜」を味わえる、おすすめの4品をご紹介

「生姜ダイニングJINGER」では、生姜と相性の良いしょうゆやダシなど、和の隠し味を取り入れた創作料理を提供しています。美味しいだけでなく、体を内側から温めてくれる生姜料理は、大人気です。

  • 「金時生姜とたこマリネ(650円税込)」。すりおろした生姜の香りとオリーブオイルが、タコの淡白な味わいを引き立てます。

  • 「金時生姜のフリッター(550円税込)」。サクッと揚がった生姜の風味と辛さが食欲を刺激します。

  • 自信作!「生姜のカルボナーラ(1,100円税込)」。濃厚なカルボナーラに生姜がピリリと効いた、やみつきになりそうな味。

  • 「自家製モスコミュール(800円税込)」など生姜を使用したカクテルも充実。

  • アクセス&インフォメーション 生姜ダイニングJINGER

    愛知県名古屋市中区金山1-14-9 長谷川ビルB2 Tel:052-339-5011
    営業時間 平日17時~23時30分(ラストオーダー22時30分) 土曜・日曜16時~23時30分(ラストオーダー22時30分)
    定休日 不定休
    ■電車でのアクセス JR中央線「金山駅」北口から徒歩約1分、長谷川ビル地下2階。市営地下鉄名城線「金山駅」より直結通路あり

買う「木村農園」の直売店「しょうが屋木村」

新鮮な「金時生姜」から加工品まで揃う「しょうが屋木村」

「木村農園」の敷地内にある「しょうが屋木村」では、「木村農園」の「金時生姜」やその加工品を販売しています。加工に使われる生姜はすべて新生姜(注)で、1年中栽培している農園直営店だからできることです。
「金時生姜」は甘酢漬けの他に、しょうゆに漬け込んだり、味噌をつけたりと、食べ方のバリエーションは豊富。「しょうが屋木村」では、商品と一緒にレシピも添えてくれるので、家庭でも気軽に食べられると評判です。
(注)新生姜…収穫から2~3ヶ月の新鮮な生姜

  • 木村農園の敷地内にある直売店「しょうが屋木村」。

  • 酢に漬けることで鮮やかなピンク色に。さまざまな食べ方が楽しめます。

  • 収穫して間もない新鮮な「金時生姜」を販売しています。

「金時生姜」のパウダーやジャムなど、さまざまな加工品が揃う

生の生姜には殺菌効果の高い「ジンゲロール」が含まれますが、加熱・乾燥させると「ショウガオール」という成分が増え、血行を良くして体熱を高める働きがあります。「しょうが屋木村」の「金時粉生姜(100g2,800円税抜)」は、加熱して乾燥させた「金時生姜」を粉末状にしたもので、スープ、紅茶などの飲み物にも混ぜやすく、健康効果の高い生姜を気軽に摂ることができます。
また、「金時生姜」を皮ごと使った「金時粉生姜ジャム(プレーン80g500円税抜)」は、無添加無着色。さわやかな香りとやさしい甘みがあり、パンに塗ったり、ヨーグルトに入れたりはもちろん、お菓子作りにも重宝します。味はプレーン、りんご入り(80g500円税抜)、はちみつ入り(80g560円税抜)の3種類です。

  • 細かいパウダー状で、料理に直接ふりかけて使える「金時生姜パウダー(500円税抜)」。

  • 農相工連携の認定商品で、東京都の百貨店でも取り扱われている「金時生姜ジャム」。80gの他、180g(プレーン、りんご入り800円税抜、はちみつ入り900円税抜)があります。

  • 金時生姜の風味をそのまま粉末に仕上げた「金時粉生姜」。

  • アクセス&インフォメーション しょうが屋木村 直売店

    愛知県稲沢市平和町須ヶ谷郷473番地 Tel:0567-46-0228
    定休日 日曜 営業時間 平日9時30分~16時 土曜9時30分~12時
    新しいウィンドウを開きますしょうが屋木村 直売店ホームページ (ホームページでの販売もおこなっています)
    ■車でのアクセス 名古屋第二環状自動車道「清洲西IC」から約25分

学ぶ緑豊かな「稲沢公園」と、
パリを感じる「稲沢市荻須(おぎす)記念美術館」

独自の視点からパリを描いた画家、荻須高徳(おぎすたかのり)

1983年に開館した「稲沢市荻須記念美術館」は、パリで活躍した稲沢市出身の画家、荻須高徳の業績を讃えて設立された美術館で、荻須高徳の貴重な作品が約200点所蔵されています。

  • 緑青(ろくしょう)の屋根が美しく、落ち着いた佇まいが印象的な「稲沢市荻須記念美術館」。

  • タッチが繊細な学生時代の作品から、パリ時代の作品まで年代順に配置された常設展示室。

  • 貴重な文献が揃う資料閲覧室。室内で自由に読むことができます。

  • 市民ロビーの大きな窓は、外に広がる景色もまるで絵画のよう。

パリのアトリエを復元した「アトリエ棟」

「稲沢市荻須記念美術館」の奥には、荻須高徳がパリで過ごしたアトリエを復元した「アトリエ棟(1996年開館)」があります。
アトリエに配置された家具はすべて実際に使われていたもので、荻須高徳の死後、遺族の方が稲沢市に寄贈されました。画材や、筆、家具の位置まで当時のままに復元されたアトリエは、部屋全体が故人を愛おしんで時を止めているかのようです。

  • 芸術家専用の建物だったため、大きな窓は太陽光の変化の少ない北向きに設けられていました。

  • 吹き抜けになっていて、2階からも見下ろせるメゾネットタイプのアトリエ。

  • ご案内いただいた、「稲沢市役所」の職員、および「稲沢市荻須記念美術館」の学芸員の皆さん。

「稲沢市荻須記念美術館」を囲む、緑豊かな「稲沢公園」

「稲沢公園」は、美術館との調和を考慮して作られ、西洋の樹木を中心に数多くの植物が眺められる緑豊かな公園です。広大な芝生広場や、四季折々の表情が楽しめるバラ園なども充実し、散歩やピクニック、ウォーキングコースとしても人気です。

  • 子どもたちの遊び場としても使える広い芝生広場。

  • 四季折々のバラが咲くバラ園。

  • 木漏れ日のウォーキングコースが続く園内。

  • 特別展のお知らせ

    2016年は荻須高徳の没後30年にあたることから、荻須高徳の作品を中心に藤田嗣治、小磯良平など日本の近代芸術家たちの作品を集めた特別展を開催します。
    個人の秘蔵コレクション70点と、共催する稲沢市荻須記念美術館、笠岡市立竹喬美術館、神戸市立小磯記念美術館のコレクション14点が公開されます。

    展覧会名:平成28年度特別展 パリに生きる、パリを描くーM氏秘蔵コレクションによるー
    日程:2016年10月29日(土曜)~12月11日(日曜)
    観覧料:一般800円、高校・大学生500円、小・中学生100円

  • アクセス&インフォメーション 稲沢市荻須記念美術館

    愛知県稲沢市稲沢町前田365番地8 Tel:0587-23-3300
    開館時間 9時30分~17時(入館は16時30分まで)
    休館日 月曜(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日、年末年始(12月29日~1月3日)、はだか祭の日
    観覧料 荻須高徳常設展 一般310円(240円)、高校・大学生210円(160円)、小・中学生50円(40円) (注)( )内は20名以上の団体料金
    (注)特別展会期中は常設展のみの料金設定はありません
    ■車でのアクセス 名神高速道路「一宮IC」から約20分
    ■電車でのアクセス 名鉄名古屋本線「国府宮駅」から名鉄バスにて約7分、またはJR東海道本線「稲沢駅」から名鉄バスにて約25分

  • アクセス&インフォメーション 稲沢公園

    愛知県稲沢市稲沢町下田150-8
    問い合わせ先(稲沢市役所) Tel:0587-32-1111
    ■車でのアクセス 名神高速道路「一宮IC」から約20分
    ■電車でのアクセス 名鉄名古屋本線「国府宮駅」から名鉄バスにて約7分、またはJR東海道本線「稲沢駅」から名鉄バスにて約25分

作る今日はおうちで農食レストラン

今回は生姜を使ったレシピを紹介するニャ

生姜は食欲を増進させる働きがあるので、食欲のないときなどは、積極的に活用するのが健康のヒケツです。調味料のひとつと思われがちな生姜ですが、その辛味や風味をしっかりと味わえる、生姜の存在感が際立つレシピを紹介します。

蓮沼 あいさん

農食シェフ蓮沼 あい

食品メーカーへのレシピ提供や撮影協力、広告・雑誌でのレシピ紹介をはじめ、飲食店のプロデュースや料理イベントまで幅広く手がけ、食育をテーマにしたテレビ番組にも出演中。
ウェブサイト新しいウィンドウを開きますhttp://ai-hasunuma.com

葉生姜の磯辺揚げ生姜の爽やかな風味と
ツナとの相性がピッタリ!
ビールのおつまみにもおすすめです。

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〈材料(2人分)〉
  • 葉生姜 6本
  • ツナ 15g
  • マヨネーズ 6g
  • ちくわ 3本
  • サラダ油 適量
  • レモン 適量
A
  • 青のり 小さじ1/2
  • 天ぷら粉 大さじ2
  • 水 大さじ2
〈作り方〉
  1. 葉生姜は表面をきれいに水洗いし、根茎部分の薄い皮をむき、凸部分を切り落として形を整え、長さ6~7cmに切りそろえる(Point1)。切り落とした凸部分はみじん切りにする
  2. ボウルにツナ、マヨネーズ、みじん切りにした葉生姜を混ぜ合わせる
  3. ちくわは長さ半分に切り、中央に切り込みを入れて開く。中に2と、形を整えた葉生姜を入れて閉じる(Point2)
  4. Aを混ぜ合わせて衣を作り、3のちくわに均一につけ、180℃に熱したサラダ油で1~2分、カラッと揚げたら器に盛りつけてレモンを添える
おいしく作るポイント
ポイント1

葉生姜が太めの場合は、タテ半分に切るなど、食べやすいサイズにします

ポイント2

揚げたとき、ちくわが開かないよう、しっかりと閉じておきましょう

サバと生姜の竜田揚げ衣に千切り生姜を加えた
サバの竜田揚げは風味たっぷり。
生姜がサバの臭みを消す効果も。

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〈材料(2人分)〉
  • サバ(切り身) 1尾分
  • ししとう 4本
  • 根生姜(千切り用) 30~40g
  • 小麦粉 大さじ2
  • 片栗粉 適量
  • サラダ油 適量
  • 大根おろし 5cm分
  • おろし生姜 適量
  • ぽん酢しょうゆ 適量
A
  • おろし生姜 10g
  • しょうゆ 大さじ1
  • 酒 大さじ1
〈作り方〉
  1. サバは骨を除いて一口大に切る。ボウルにAを混ぜ合わせ、サバを加えてやさしくもみ込み(Point1)、10分ほどおく
  2. ししとうの側面に、包丁の先で数カ所、穴をあける
  3. 1の汁気を捨てて、千切りにした根生姜、小麦粉を加え、サバにからめる。揚げる直前に片栗粉をまぶす(Point2)
  4. 170℃に熱したサラダ油に3を入れる。途中で上下を返しながら2~3分揚げ、引き上げる直前に火を強めてカリッとさせる。ししとうもサッと揚げ、塩(分量外)をふる
  5. ししとうとサバを器に盛り、大根おろし、おろし生姜を添えて、好みでぽん酢しょうゆをかける
おいしく作るポイント
ポイント1

味がしっかりとつくように、丁寧にもみ込んでおくと、美味しく仕上がります

ポイント2

片栗粉がダマにならないよう、最後に軽くはたいて、余分な片栗粉を落とします

生姜入り鶏もも肉甘辛煮生姜のピリッとした風味と
甘辛さのコントラストが絶妙。
生姜の大きさはお好みで。

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〈材料(2人分)〉
  • 鶏もも肉 1枚(250g)
  • 長芋 300g
  • 根生姜 50g
  • サラダ油 大さじ1
  • 水 1カップ
  • 万能ネギ 適量
A
  • 砂糖 大さじ2
  • しょうゆ 大さじ2
  • 酢 大さじ1
〈作り方〉
  1. 鶏もも肉は余分な脂を取り除き、大きめの一口大(約5cm角)に切る
  2. 長芋は皮をむいて大きめの乱切りにする。根生姜は皮ごと(好みで)4~8等分にし、包丁の背でつぶす(Point1)
  3. フライパンにサラダ油を入れて中火で熱し、1の鶏もも肉を皮目から焼き色がつくまで焼き、反対側も同様に焼く
  4. 3に根生姜と長芋を加えてさっと炒め、水1カップとAを入れて沸騰させ、その後フタをして弱火で25分煮る
  5. フタを取って火を強め、5分ほど混ぜながら煮詰め(Point2)、とろっとしたら器に盛りつけ、小口切りにした万能ネギを散らす
おいしく作るポイント
ポイント1

根生姜をつぶして切れ目を入れることで、より味が染み込みやすくなります

ポイント2

水分を飛ばすように強火で煮詰めていきます。焦げないように注意しましょう

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    5名さまに「しょうが屋木村の金時生姜詰め合わせ」
    プレゼント! 締切日 10月16日(日)

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