• 地元の人たちに愛され、親しまれている食材をテーマに中部5県下をめぐり、その魅力をご紹介します。
    ※「農食」とは、新鮮な農産物をその土地で食べることを意味する造語です。

  • カテエネ 農食ツーリズム
  • 第25回

    愛知県新城市の「紅(べに)ほっぺ」を訪ねて

    「紅ほっぺ」といういちごをご存知ですか?実が大ぶりで味は濃く、人気の高い品種です。
    「紅ほっぺ」が特産品の新城(しんしろ)市は、市の84%が山間部の緑豊かな地域。標高が高く涼しい気候は、いちごの栽培に不向きとされてきましたが、涼しい気候の中でゆっくりと熟成させることによって、糖度12度以上という甘いいちごの栽培に成功しました。今回はいちご栽培歴10年以上の井原正亘(いはらまさかつ)さんを訪ねました。
    (注)取材は2016年3月におこないました。
  • 愛知県新城市の「紅(べに)ほっぺ」

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見る・聞く真っ赤に色づいてから収穫!種まで熟した「紅ほっぺ」

白い花に赤い実。可憐な「紅ほっぺ」のハウス

約25℃に管理されたハウスの中に入ると、120㎝ほどの高さのプランターがきれいに並んでいます。ところどころに白い花を咲かせている葉の下をのぞきこむと、真っ赤に色づき、ツヤツヤした「紅ほっぺ」がたくさん実っていました。
9月に植えた苗が11月下旬から5月まで休まず実をつけるため、毎日、収穫します。

  • いちごを見つけやすくするために、プランターに白いビニールをかぶせています。

  • プランターは高さ約120㎝に設置され、腰をかがめることなく収穫できます。

大玉に育てるために大切なこと

2Lサイズ以上の大玉に育てるには、十分な栄養素を安定して与えることがポイントです。そこで、プランターの内部に通した管から、毎日決まった量の水と肥料が送り出されるようになっています。1つひとつの実に栄養素を十分に行き渡らせるため、井原さんの畑では、1花に対して実らせるいちごの数は3~4粒にとどめています。

  • いちごの表面のツヤは健康の証です。

  • 生産農家の井原さん(左)と、JA愛知東営農部新城営農センターの夏目靖志(なつめやすし)さん(右)。

  • 電照栽培で、夜も成長を促します。

形の良いいちごは、ミツバチのおかげ

ケーキなどのスイーツに使われるいちごは、先のとがった美しい三角形が理想です。ところが自然受粉に任せると、ごつごつした形や四角っぽい形など、いろいろないちごができてしまいます。じつは、こうした奇形のいちごはミツバチ以外の昆虫によって受粉されたもの(注)。
そこで井原さんはミツバチによる受粉を徹底し、理想的な三角形のいちごに育てています。
(注)ミツバチは花の中に頭を入れて蜜や花粉を取るので均一に受粉され、その結果、美しい三角形のいちごに育ちます。

  • ミツバチのおかげで美しい三角形のいちごに育ちます。

  • 約10年前は果樹園だったというハウス。

  • いちごの苗栽培の様子。こちらでも水量をきちんと管理しています。

食べる旬のいちごを贅沢に使った新城市内のケーキ屋

新城産いちごを使ったケーキが1年中食べられる「プチメール」

新東名高速道路「新城IC」を降りて15分ほど走ると、レンガ造りのケーキ屋「プチメール」があります。
オーナーの滝川勝巳(たきがわかつみ)さんは、ご両親がいちごの生産農家だったこともあり、ケーキにはふんだんにいちごを使います。
いちごは新城産にこだわり、品質が信頼できる「JA愛知東」から直接仕入れます。「JA愛知東」では夏もいちご栽培(注)に取り組んでいるため、季節を気にせずいちごを入手できるのも魅力です。
(注)6月~11月は「夏実(なつみ)」という品種のいちごを使っています。

  • レンガの壁と三角屋根が目印の「プチメール」。

  • 広いショーケースにたくさんのケーキが並びます。

  • イートインスペースもあります。

  • オーナーの滝川勝巳さんと、奥さまの千香子(ちかこ)さん。

1番人気はみんな大好き!ショートケーキ!

「プチメール」の人気No.1はショートケーキ。トッピングはもちろん、スポンジの間にもスライスした新城産「紅ほっぺ」が入っており、いちごの甘酸っぱさと生クリームの甘さを堪能できます。
「いちごの甘さは季節によって変わるもの。それに合わせたケーキを作ります」と滝川さん。春は、抹茶を練り込んだスポンジでいちごを巻いたものや、クレープ生地で包んだものなど、いちごを存分に味わえるケーキが常時8種類ほど並びます。

  • フワフワのスポンジと生クリームに甘酸っぱいいちごを乗せたショートケーキ。

  • ピンクの部分は和菓子によく使われる求肥(ぎゅうひ)。和と洋のコラボレーションが新しい。

  • いちごが主役のケーキがたくさん。

  • アクセス&インフォメーション プチメール

    愛知県新城市杉山字池下6-13 Tel: 0536-22-4355
    営業時間 9時30分~20時
    定休日 火曜
    ■車でのアクセス 新東名高速道路「新城IC」から約15分
    ■電車でのアクセス JR飯田線「新城駅」から徒歩約10分

新城産いちごを丸ごとチョコで包んだ「ポンパドール」の人気スイーツ

「プチメール」から車で約5分のところにある洋菓子・喫茶の店「ポンパドール」で、ユニークないちごのスイーツを見つけました。
「紅ほっぺ」をチョコレートで包んだ「チョコフレーズ」。オーナーの熊谷明(くまがいあきら)さんがバレンタイン用に考案したスイーツですが、お客さまの熱い要望に応えて、12月から4月頃まで長期間、販売するようになりました。
他にも「紅ほっぺ」を使ったショートケーキやチョコロールなどがショーケースに並び、喫茶コーナーでゆっくり味わえます。

  • オーナーの熊谷さんは、軽井沢のホテルでコックをした後、洋菓子を学びました。

  • 知り合いの農家さんから大玉の「紅ほっぺ」を取り寄せて作る「チョコフレーズ(1個300円税込)」。
    (注)いちごの大きさによって価格は変動します

  • ウッドを基調にした、居心地のいい喫茶コーナー。

  • アクセス&インフォメーション ポンパドール

    愛知県新城市市場台3丁目8-2 Tel: 0536-22-0083
    営業時間 9時~19時
    定休日 木曜
    ■車でのアクセス 新東名高速道路「新城IC」から約20分

買う産直野菜が揃う「グリーンセンターしんしろ」と「Aコープしんしろ」

新設したいちごの販売コーナーに注目!「グリーンセンターしんしろ」

新東名高速道路「新城IC」から20分ほど走ると、地域の方に愛される産直市場「グリーンセンターしんしろ」があります。園芸品から日用品まで揃う約800坪の広い敷地内には、地元の生産農家が持ち込む生鮮野菜売り場の他、入口近くに、新城産いちごの販売コーナーが設けられています。
いちごの旬の時期(12月~3月)に合わせて地元のパン屋さんが持ち込む、いちごを使ったパンのフェアも開催しています。

  • いちごの販売コーナーの楽しいディスプレイ。

  • 新城産「紅ほっぺ」が丸ごと入った「いちご茶パン(300円税込)」。

  • 「グリーンセンターしんしろ」の浅井利浩(としひろ)店長(中央)と、髙木勤さん(右)、長谷川稔さん(左)。

  • アクセス&インフォメーション グリーンセンターしんしろ

    愛知県新城市豊栄221-1 Tel: 0536-23-7560 Fax: 0536-23-7579
    営業時間 9時~18時
    定休日 水曜、年始(1月1日~1月4日)
    ■車でのアクセス 新東名高速道路「新城IC」から約20分

    電話・ファックスによるいちごの注文が可能です。対応地域、発送方法に関してはお電話でお問い合わせください。

スーパーと産直売所が一緒になった、便利な「Aコープしんしろ」

JR飯田線「東新町駅」から歩いて約2分の「Aコープしんしろ」は、スーパーならではの豊富な品揃えに加え、近隣の生産農家が作った野菜が並ぶ産直コーナーが人気です。産直コーナーには、新鮮野菜と一緒に、赤く色づいたいちごも並んでいました。旬の時期(12月~3月)は午前中で品薄になることもあり、「実の大きいものが人気」とのこと。
ご高齢の方に利用しやすい店内作りを心がけ、常時100種類ものパンが揃うパンコーナーや、市場で直接買いつける新鮮なお刺身、お惣菜なども人気です。

  • 駅近で便利な「Aコープしんしろ」。

  • 地元の新鮮な野菜が並ぶ産直コーナー。

  • 生産農家の名前が入った、産直コーナーのいちご。

  • ご案内いただいた「Aコープしんしろ」店長の森野哲明(のりあき)さん。

  • アクセス&インフォメーション Aコープしんしろ

    愛知県新城市平井字中田6-1 Tel: 0536-22-4148
    営業時間 9時30分~20時
    定休日 第1水曜
    ■車でのアクセス 新東名高速道路「新城IC」から約20分
    ■電車でのアクセス JR飯田線「東新町駅」から徒歩約2分

学ぶ350年の歴史を感じる桜の名所「桜淵公園(さくらぶちこうえん)」

新城市きっての桜の名所「桜淵公園」

新城市を流れる豊川(とよがわ)を挟むように広がる「桜淵公園」。江戸の初期、新城城主の菅沼定実(すがぬまさだざね)が豊川沿いに桜を植えさせたのがはじまりとされる、歴史ある桜の名所です。毎年3月中旬から4月上旬にかけて「新城さくらまつり」が開催されます。

  • 江戸時代から人々の目を楽しませてきた、満開の美しい桜。

  • 豊川沿いをピンク色に染める桜が、桜淵公園の絶景スポット。

  • アクセス&インフォメーション 桜淵公園

    愛知県新城市庭野字八名井田 Tel: 0536-32-1985(新城市役所観光課)
    新城さくらまつりの期間:2017年3月21日(火)~4月9日(日)
    ■車でのアクセス 新東名高速道路「新城IC」から約10分
    ■電車でのアクセス JR飯田線「新城駅」または「東新町駅」から徒歩約15分

市の指定文化財「釜屋建(かまやだて)民家」

「桜淵公園」の芝生広場には、江戸時代から明治の初期にかけて、豊川地域にあった農家の民家「釜屋建民家」が移築・復元されています。(見学無料)
主屋と釜屋(注)の2棟からなり、真上からみると屋根がT字型になるように建てられているのが特徴です。
昭和40年頃までは、豊川地域から静岡県の天竜川下流域にかけて数多く見られましたが、現在まで完全な形を残しているのは、国指定の重要文化財である「望月家住宅(もちづきけじゅうたく)」と、「桜淵公園」の復元民家だけとなっています。
(注)床は土間で、風呂場、作業場、炊事場、馬屋がある建物

  • 天保の時代(19世紀前半)に造られたとされる「釜屋建民家」。

  • 当時の農家の暮らしぶりが伺える内部。

  • ご案内いただいた「新城市設楽原(したらがはら)歴史資料館」の岩山欣司(いわやまきんじ)さん。

  • アクセス&インフォメーション 桜淵公園(釜屋建民家)

    愛知県新城市庭野字岩本 地内 Tel: 0536-22-0673(新城市設楽原歴史資料館)
    開館時間 10時~16時30分
    休館日 月曜、年末年始、悪天候時
    ■車でのアクセス 新東名高速道路「新城IC」から約10分
    ■電車でのアクセス JR飯田線「新城駅」または「東新町駅」から徒歩約15分

作る今日はおうちで農食レストラン

今回はいちごを使ったレシピを紹介するニャ

いちごには、美容と健康に良いとされるビタミンCを豊富に含んでおり、風邪予防にもつながります。そのまま食べても十分美味しいのですが、今回は、おもてなしにもおすすめの手作りスイーツをご紹介します。

蓮沼 あいさん

農食シェフ蓮沼 あい

食品メーカーへのレシピ提供や撮影協力、広告・雑誌でのレシピ紹介をはじめ、飲食店のプロデュースや料理イベントまで幅広く手がけ、食育をテーマにしたテレビ番組にも出演中。
ウェブサイト新しいウィンドウを開きますhttp://ai-hasunuma.com

いちごと練乳とチョコレートの
フレンチトースト
いちごとチョコをプラスした
スイーツ感覚で楽しめる
ふわふわのフレンチトースト。

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〈材料(2人分)〉
  • いちご 6個
  • 食パン(4枚切り) 2枚
  • 板チョコ 1枚
  • 卵 3個
  • 牛乳 180cc
  • 練乳 45g
  • バニラエッセンス 適量
  • バター 適量
  • 練乳(後がけ用) 適量
  • フレッシュミント 
〈作り方〉
  1. いちご2個を3mm厚の輪切りにし、残りの4個を角切りにする
  2. 食パンは横半分に切り、包丁で真ん中に切り込みを入れてポケットを作り、4分の1に割った板チョコと輪切りのいちごを挟み入れる(point1)
  3. 卵、牛乳、練乳、バニラエッセンスをボウルに入れて混ぜる
  4. バットに3を入れ、2を裏表返しながら10分以上浸す(point2)
  5. フライパンにバターを入れ、中火で温めたら4を入れ、焼き色がつくまで弱火で焼き、裏返して反対側も同様に焼く
  6. でき上がったら縦半分に切って皿に盛りつけ、角切りのいちごをのせ、練乳をかけて、フレッシュミントを飾る
おいしく作るポイント
ポイント1

板チョコはお好みで。甘すぎるのが苦手な方は入れなくてもOK

ポイント2

時間があれば半日~1日、液がなくなるまで浸します

いちごのベリーヌいちごのコンポートと
フレッシュないちご
2つのテイストを楽しんで。

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(注)ベリーヌとはフランス語でグラスに盛りつけたデザート菓子のこと

〈材料(2人分)〉
  • いちご 4~6個
  • マスカルポーネチーズ 50g
  • グラニュー糖 大さじ1/2
  • 生クリーム(脂肪分35%) 60g
  • レモン汁 小さじ1/4~1/2
  • フレッシュミント 
コンポート
  • いちご 5~6個
  • 白ワイン 大さじ2
  • グラニュー糖 20g
〈作り方〉
  1. いちご(4~6個)は3mm厚の輪切りにする
  2. コンポート用のいちごは縦半分に切る。鍋にコンポートの材料を全て入れ、焦げないよう鍋をゆすりながら強めの中火で煮る(point1)。グラニュー糖がとけていちごの色が変わったらすぐ火を止め、鍋底を氷水に当てて冷やし、粗熱を取る
  3. ボウルにマスカルポーネチーズ、グラニュー糖を入れ、ゴムベラで混ぜながら生クリームを加え、さらに混ぜる(point2)。レモン汁も加えクリーム状にする
  4. グラスに2のコンポートを入れて、3を上にのせて10分以上冷やす
  5. 4の上に1をのせ、フレッシュミントを飾る

直径9cm×高さ10cm(うち入る場所は7cm)のグラスで作りました。
大きめのグラスで作る時は、分量を増やすなど調節してください。

おいしく作るポイント
ポイント1

いちごの食感をいかすため、火が通り過ぎないように気をつけます

ポイント2

だまにならないよう、生クリームは少しずつ加えながら混ぜていきます

いちごとドライフルーツの大福いちご大福を我が家で。
ドライフルーツを加えた
あんこが新鮮な味わい!

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〈材料(4個分)〉
  • ミックスドライフルーツ 30g
    (今回はぶどう、クランベリー、プルーンを使用。マンゴーなどもおすすめです)
  • 小豆あん(こしあん) 120g
  • いちご 4個
  • 白玉粉 75g
  • 砂糖 30g
  • 水 1/2カップ
  • 片栗粉(打ち粉) 適量
〈作り方〉
  1. ミックスドライフルーツは1分程度ぬるま湯に浸けやわらかくしておく。ザルにあげたらキッチンペーパーなどで水気を軽くおさえ、粗みじんに切る。ドライフルーツと小豆あんをボウルで混ぜあわせて4等分にする
  2. いちごを1で包む(point1)
  3. 耐熱容器に白玉粉、砂糖、水を入れてホイッパーでよく混ぜ、ふんわりとラップをして600wの電子レンジで2分半~3分加熱する
  4. 3をゴムベラでよく混ぜたら(point2)片栗粉をふった上に広げ、片栗粉をまぶしながら4等分にする
  5. 4をそれぞれ丸く広げ、2をのせて(point3)、生地の端をつまんで引っ張りながら包んで丸める
おいしく作るポイント
ポイント1

ラップを使うと、形を整えやすく、きれいに包めます

ポイント2

白玉粉のだまがとけてなくなるまで、しっかり混ぜると美味しく仕上がります

ポイント3

いちごのとがった部分を下にして包むのがポイントです

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