• 地元の人たちに愛され、親しまれている食材をテーマに中部5県下をめぐり、その魅力をご紹介します。
    ※「農食」とは、新鮮な農産物をその土地で食べることを意味する造語です。

  • カテエネ 農食ツーリズム
  • 第28回

    岐阜県高山市の飛騨産ほうれんそうを訪ねて

    岐阜県北部に広がる飛騨地域(高山市、飛騨市、下呂市、白川村)は全般的に涼しく、冬季は積雪も多く見られます。この気候を利用して、「JAひだ」では50年以上前から、暑さに弱いほうれんそうを夏でも栽培できる方法を確立。現在は4月~11月末まで、長期間にわたって全国出荷しており、特に夏季は中部・関西地域でトップのシェアを誇ります。今回は岐阜県高山市でほうれんそうを栽培する今井継庄(けいしょう)さんの畑を訪ねました。
    (注)取材は2017年4月と5月におこないました。
  • 岐阜県高山市の飛騨産ほうれんそう

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見る・聞く涼しい気候により、夏でも栽培できる飛騨産ほうれんそう

成長のスピードが早く、種まきから収穫まで約30日~45日

中部縦貫自動車道「高山IC」から車を走らせること約20分。北に乗鞍岳(のりくらだけ)を望む標高約600mの高地に、今井さんのほうれんそう畑はあります。すべてハウス栽培によるもので、ハウスの数は90棟。そのうちの1棟に案内していただきました。
ハウスの中に入ると、青々としたほうれんそうが元気に生い茂っています。地面からの高さは25cm~30cm。「種まきをしてから今日で45日目です。夏になると30日でこれくらいまで育ちます。ほうれんそうは成長のスピードが早いから、次々と収穫できるのが楽しいですね」と今井さんはにこやかに言います。

  • ハウスの奥行きは約50m。暑さ対策として黒い遮光ネットで覆われています。

  • 種まきから45日でここまで大きく成長します。

収穫したほうれんそうは、すべて手作業で選別

今井さんが専用の機械で刈り取っていくと、収穫したほうれんそうがどんどん山積みになっていきます。見ていると簡単そうですが、ほうれんそうがほぼ均一の高さに成長しているからこそ、スムーズに刈り取ることができるそうです。
収穫したほうれんそうは近くの作業場へ運び、スタッフさんが手作業で1株ずつチェックして枯れている株は省き、180gごとに分けて袋詰めした後、集荷場へ届けます。

  • ハウスの中を往復するようにして、ほうれんそうを刈り取っていきます。

  • 緑が濃く、葉が肉厚でしっかりしています。「良い出来ばえです」と今井さん。

  • 作業場では、チェックから袋詰めまですべて手作業でおこないます。

「JAひだ」がブランド化した「飛騨ほうれんそう」

豊かな自然に恵まれた飛騨地域では夏でも盛んにほうれんそうが栽培されていますが、中でも「JAひだ」が取り扱うものは「飛騨ほうれんそう」としてブランド化され、今井さんが栽培するほうれんそうもそのひとつ。「飛騨ほうれんそう」が安心・安全で美味しいとされる理由を「JAひだ」営農販売戦略室の田中亮さんに尋ねると「土づくりをはじめとする生産者の皆さんの技術の高さです」という答えが返ってきました。
飛騨地域は飛騨牛の産地でもあることから、畜産農家から完熟堆肥を入手して土づくりをおこなっているほか、防虫ネットの活用により農薬使用回数を低減するなど、徹底した管理体制を敷いています。さらに、時期に応じて品種を切り替えながら栽培することで、長期間にわたる収穫を可能にしています。
また、暑さに弱いほうれんそうの鮮度を保つため、集荷後すぐ「真空予冷(注)」し、約5度に保たれた巨大な保冷庫に一時保管された後、全国各地へと出荷されます。
(注)真空状態にして、短時間で約5度まで冷やすことにより鮮度を保ちます。

  • 「JAひだ」田中さん(右)と、今井さん。

  • 「JAひだ」の集荷場に備えられた「真空予冷」の装置。

  • 「飛騨ほうれんそう」を出荷時まで保管しておく巨大な予冷庫。

    • 「飛騨ほうれんそう」とは?

      飛騨地域の標高300m~1,200mの高冷地でハウス栽培している「JAひだ」のブランド商品。生産者数は約400名、ハウスは約8,000棟。4月~11月末まで、全国に出荷されています。

    • 「飛騨ほうれんそう」のイメージキャラクター
      「ひだのほうちゃん」

食べる地産地消にこだわった「ひだホテルプラザ」

ホテルの朝食バイキングで、飛騨産ほうれんそうを味わう

今年で創業45周年を迎える「ひだホテルプラザ」は、和室・洋室合わせて225室、777名を収容できる、高山エリアで最大級のホテルです。地下1,000mから湧き出る天然温泉や、総料理長の高山隆志さんが腕をふるう和洋中のレストランなど話題性が高く、最近は外国人の利用客も増えています。
観光客だけでなく、地元の人たちの間でも人気なのが、和洋合わせて約40種類のメニューが揃う朝食バイキング(1,400円税別・サービス料別)です。サラダコーナーには産地直送のフレッシュな野菜が並び、飛騨産ほうれんそうは1日も欠かすことなく、毎朝、地元の農家さんから届けられます。

  • 「ひだホテルプラザ」で35年間腕をふるう総料理長の高山隆志さん。

  • 2階のレストラン「ボンジュール」が朝食バイキングの会場。

  • 産地直送のフレッシュな野菜が約10種類並ぶサラダコーナー。

  • 牛乳やトマトジュースも地元産です。

味付けは抑えめに、食材そのものの味を引き出す

「ひだホテルプラザ」で35年間腕をふるう総料理長の高山隆志さんは、地産地消にこだわり、季節に応じてオリジナルメニューを考案し続けています。「味付けは抑えめに、食材そのものの味を楽しんでいただけるように心がけています」。飛騨産ほうれんそうも高山さんの手にかかれば、オムレツやデザートなど、さまざまなメニューとなって、目と舌を楽しませてくれます。

「飛騨産ほうれんそうを使ったオリジナルメニューの一例」

(注)ディナーや宴会メニューなどで提供される一例として作っていただきました。常時提供されるメニューではありません。

  • カラフルなスパニッシュオムレツ。

  • ほうれんそうを生地に練り込んだパウンドケーキ。

  • クコの実がグリーンを引き立てる、ほうれんそうのムース。

  • アクセス&インフォメーション ひだホテルプラザ

    岐阜県高山市花岡町2-60 Tel:0577-33-4600
    営業時間 朝食バイキング 7時~9時
    (注)事前の予約をおすすめします
    ■車でのアクセス
    東海北陸自動車道「飛騨清見IC」、中部縦貫自動車道「高山IC」より約10分
    ■電車でのアクセス
    JR「高山駅」・バスセンターより徒歩約5分
    新しいウィンドウを開きますひだホテルプラザホームページ

買う飛騨の野菜やお土産品が充実

直売所が併設された「JAひだ高山営農センター アグリ高山」

「JAひだ高山営農センター アグリ高山」には、農家さんが直接野菜を持ち込む直売所が併設されています。季節に応じて、旬の採れたて野菜が並ぶとあって、地元の人たちにも親しまれています。
また店内には野菜の種や肥料をはじめ、農業・園芸資材が豊富に揃い、JA営農指導員も常駐しているため、地元の専業農家さんにとって心強い存在となっています。

  • 5月以降は直売所に飛騨産ほうれんそうも賑やかに並びます。

  • 店長の藤本長次さん(後列左から2人目)とスタッフの皆さん。

  • 一般のホームセンターでは手に入りづらい農業・園芸資材も揃います。

  • アクセス&インフォメーション JAひだ高山営農センター アグリ高山

    岐阜県高山市上切町311 Tel:0577-34-0352
    営業時間 8時30分~17時30分
    無休(年末年始を除く)
    ■車でのアクセス
    東海北陸自動車道「飛騨清見IC」、中部縦貫自動車道「高山IC」より約5分
    新しいウィンドウを開きますJAひだ高山営農センター アグリ高山ホームページ

7,000点以上のお土産品や郷土品・地酒が揃う「飛騨物産館」

「高山グリーンホテル」は、かつてホテル内にあった温水プールを「飛騨物産館」に改築し、約1,000㎡の広い敷地内に、飛騨地域のお土産品や郷土品・地酒など7,000点以上を豊富に揃えています。
館長の西野智明さんは「飛騨に関連するものをできる限り集め、賑やかな売り場をつくりました。おかげで、ここに来れば飛騨の特産品が何でもあると皆さんに言われています」と語ります。

  • 町家が続く高山の街並を再現しており、歩いているだけで楽しい。

  • 飛騨地方に伝わる人形「さるぼぼ」にちなんだ「さるぼぼ神社」。お参りすれば子宝に恵まれる?

  • 「飛騨物産館」館長の西野智明さん。

館長が選ぶ、人気のお土産ベスト3

数あるお土産の中から、特に人気の高いものを館長の西野さんに教えていただきました。いずれも「飛騨物産館」のオリジナル商品です。

  • 栃餅を使った「栃餅蒸しきんつば」8個入り(549円税込)

  • 芋餡に地元産の醤油を使った「天領おぐら」8個入り(1,080円税込)

  • 地元の製麺会社と協力して開発した「飛騨高山ラーメン」4食入り(864円税込)

  • アクセス&インフォメーション 飛騨物産館

    岐阜県高山市西之一色町2-180 高山グリーンホテル敷地内 Tel:0577-33-5505
    営業時間 7時~22時 年中無休
    ■車でのアクセス
    東海北陸自動車道「飛騨清見IC」、中部縦貫自動車道「高山IC」より約7分
    ■電車でのアクセス
    JR「高山駅」より無料シャトルバスあり(約5分)
    新しいウィンドウを開きます飛騨物産館ホームページ

学ぶお土産の手づくり体験で、思い出もつくる

飛騨地方に伝わる人形「さるぼぼ(注)」のお土産を手づくりで

「飛騨物産館」では、お土産を売るだけでなく、「さるぼぼ」や「塩せんべい」を手づくりできる体験コーナーも用意しています。
「さるぼぼ」手づくり体験では専用キットが用意され、前掛けにメッセージを書いて縫い付けるなど、自分だけのオリジナル「さるぼぼ」をつくることができます。
(注)さるぼぼの「ぼぼ」は赤ちゃんの意。赤色は疫病をはらう色とされ、古くから飛騨地方では病気や災いから守るほか、安産のお守りとして作られている。

  • 手づくり体験ができる「さるぼぼ工房」。体験コースは専用キットの料金も含めて30分(1,300円税込)と1時間(1,600円税込)から選べます。

  • 職人さんによる丁寧な指導のもと、だれでも簡単につくれます。

  • 完成した「さるぼぼ」と一緒に、修了証がもらえます。

自分で焼いた「塩せんべい」は格別の美味しさ

駄菓子土産の中でも人気の高い「塩せんべい」も手焼き体験ができます。アツアツの焼きたてを、その場でいただけるのも人気の秘密です。

  • 専用の小さな窯で「塩せんべい」の手焼きを体験できます。「塩せんべい」の料金も含めて5枚(220円税込)、10枚(440円税込)。

  • できあがったら袋に入れてお土産にすることもできます。

  • アクセス&インフォメーション 飛騨物産館

    岐阜県高山市西之一色町2-180 高山グリーンホテル敷地内 Tel:0577-33-5505
    営業時間 7時~22時 年中無休
    ■車でのアクセス
    東海北陸自動車道「飛騨清見IC」、中部縦貫自動車道「高山IC」より約7分
    ■電車でのアクセス
    JR「高山駅」より無料シャトルバスあり(約5分)
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作る今日はおうちで農食レストラン

今回はほうれんそうを使ったレシピを紹介するニャ

ほうれんそうは緑黄色野菜の中でもビタミンA・ビタミンC・ビタミンKに加え、鉄分・カリウムなどのミネラルを豊富に含む、栄養価の高い野菜です。今回は生のままいただくサラダ、揚げ物のチキンナゲット、炒めてオーブンで焼くラザニアの、3つの調理法を紹介します。

蓮沼 あいさん

農食シェフ蓮沼 あい

食品メーカーへのレシピ提供や撮影協力、広告・雑誌でのレシピ紹介をはじめ、飲食店のプロデュースや料理イベントまで幅広く手がけ、食育をテーマにしたテレビ番組にも出演中。
ウェブサイト新しいウィンドウを開きますhttp://ai-hasunuma.com

ほうれんそうのシーザーサラダレタスを使うシーザーサラダを
ほうれんそうでアレンジ
くるみが香ばしさをプラス!

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〈材料(4人分)〉
  • ほうれんそう 100g(2~4株)
  • ブロックベーコン 50g
  • くるみ 20g
  • 卵黄 1個
A
  • アンチョビフィレ 3切れ(8g)
  • エクストラバージン
    オリーブオイル 大さじ4
  • ウスターソース 小さじ1
  • 粒マスタード 小さじ1/2
  • レモン汁 小さじ2/3
  • すりおろしにんにく 小さじ1/2
  • パルメザンチーズ(粉チーズ) 30g
  • 粗挽き黒こしょう 少々
〈作り方〉
  1. ほうれんそうは水で洗い(point1)、ざく切りにして冷蔵庫で冷やしておく。ブロックベーコンは8mm幅に切る。くるみは大きめに砕いておく。
  2. 1のブロックベーコンとくるみを、油を使わずにフライパンで焼く。
  3. アンチョビフィレは包丁で細かくたたく。ボウルにAを入れてよく混ぜ合わせ、少しとろっとしてきたら、卵黄を加えて、さらによく混ぜる。
  4. 3に1のほうれんそうを混ぜ(point2)、2も加える。

トーストにのせても美味しくいただけます!

おいしく作るポイント
ポイント1

茎の根もとに土などが付いているので、竹串などでかき出すときれいになります。
※他の2品も共通です

ポイント2

アンチョビフィレやチーズの種類によって塩加減が違うので、味見しながら調整しましょう。

ほうれんそうのチキンナゲットほうれんそうのグリーンが
食欲をそそるチキンナゲット
ヘルシーでボリューム満点!

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〈材料(12個分)〉
  • ほうれんそう 100g(2~4株)
  • 鶏胸肉 300g
  • 小麦粉 適量
  • 揚げ油 適量
A
  • 牛乳 大さじ1
  • しょうゆ 大さじ1
  • マヨネーズ 大さじ1
  • パン粉 大さじ3
  • 片栗粉 小さじ2
  • 塩 小さじ1/2
  • こしょう 少々
  • すりおろしにんにく 小さじ1/2
バッター液
  • 卵 1個
  • 牛乳 100cc
  • 小麦粉 70g
〈作り方〉
  1. ほうれんそうは水で洗い、塩ゆでして水気を切り、5mm幅に切ってもう1度水気を絞る。(point1)
  2. ボウルにAを混ぜ合わせておく。
  3. 鶏胸肉は包丁でミンチ状にたたき、2に加えてよく混ぜる。12等分に分けて形を整え、1個ずつ小麦粉をまぶしておく。
  4. ボウルにバッター液の材料を合わせ、ダマにならないよう混ぜる。
  5. 3を4に浸したらスプーンですくって160度の油に入れる。軽く色がついたら取り出し、180度の高温で2度揚げする(point2)。菜箸で動かしながら、カリッときつね色に揚げて器に盛り付ける。
おいしく作るポイント
ポイント1

生地が水っぽくならないよう、ほうれんそうの水気を2回、しっかり絞りましょう。

ポイント2

最初は低めの160度、2度目は高めの180度で揚げるとカリッと仕上がります。

ほうれんそうのラザニアバターで炒めたほうれんそう
生のフレッシュなほうれんそう
2種類の味を楽しんで。

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〈材料(2~3人分)〉
  • ほうれんそう 150g(3~6株)
  • にんにく 1片
  • バター(有塩) 10g
  • 塩・こしょう 適量
  • オリーブオイル 大さじ1
  • 合挽き肉 150g
  • ローリエ 1枚
  • ラザニア 100g
  • ピザ用チーズ 150g
  • トッピング用ほうれんそう 適量
A
  • ケチャップ 大さじ1
  • 中濃ソース 大さじ1/2
  • 砂糖 小さじ1
  • トマト缶 150g
  • 水 100cc
  • 固形コンソメ 1/2個
〈作り方〉
  1. ほうれんそうは水で洗って食べやすい大きさにざく切りにし、にんにくはみじん切りにする。ボウルにAを混ぜ合わせておく。
  2. フライパンにバターを入れて焦げないように熱し、1のほうれんそうを炒め(point1)、塩・こしょうをしてバットに取り出す。
  3. 同じフライパンにオリーブオイルをひき、にんにくを弱火で炒める。香りが出てきたら、合挽き肉を加えて塩・こしょうをして、強火で炒める。
  4. 合挽き肉の色が変わったらAとローリエを加える。中強火で少し煮詰め、ソースがとろっとしたら火を止める。
  5. ラザニアは塩とオリーブオイル(分量外)を加えた湯で表示通りに茹で、ざるに上げて水気を切る。
  6. 耐熱容器をサッとぬらし、4のソース、ほうれんそう、ラザニアの順に並べて重ねる(point2)。さらにもう1段重ね、最後は余ったソース、チーズの順に重ねる。250度に温めたオーブンで10分を目安に、美味しそうな焦げ目が付くまで焼く。仕上げにトッピング用ほうれんそうをのせる。
おいしく作るポイント
ポイント1

ほうれんそうがしんなりするまで炒めることで、甘みやコクを引き出します。

ポイント2

ほうれんそうやソースの量はお好みで。均等に重ねていくのがコツです。

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