• 地元の人たちに愛され、親しまれている食材をテーマに中部5県下をめぐり、その魅力をご紹介します。
    ※「農食」とは、新鮮な農産物をその土地で食べることを意味する造語です。

  • カテエネ 農食ツーリズム
  • 第30回

    愛知県安城市のいちじくを訪ねて

    愛知県はいちじくの生産量が日本一で、全国の約18%のシェアを占めています。中でも安城市では約40年前からいちじく栽培が盛んにおこなわれ、市町村別で全国第2位の生産量を誇ります。今回は「JAあいち中央」営農部園芸課の岩間啓史(けいし)さんに案内していただき、祖父の代からいちじく栽培をしている野村幸作(こうさく)さんのハウスを訪ねました。
    (注)取材は2017年6月におこないました。
  • 愛知県安城市のいちじく

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見る・聞く食べ頃の状態まで熟してから収穫する

ハウスの中はいちじくの甘い香りが漂う

露地いちじくの旬は8月頃ですが、ハウスいちじくは5月~7月。取材でハウスを訪れたときは収穫真っ盛りの時期で、12本の畝が並ぶ広いハウスの中はいちじくの甘い香りが漂っていました。野村さんは黙々と、カートを押しながら畝の間を進み、慣れた手つきで、赤く色づいたいちじくを次々と収穫していきます。

  • いちじくを収穫する野村さん。下から順に実がなり、熟したものから毎日収穫するため休む間がありません。

  • いちじくは収穫すると成長が止まるため、食べ頃の状態まで熟してから収穫します。

枝を横に伸ばし、低く育てる栽培方法

ワラで覆われた畝の部分をよく見ると、畝から30cmほど伸びた幹が左右に分かれ、地面と並行に太い枝を伸ばしていることが分かります。その太い枝から約50cmの間隔で、やや細い枝が、手を広げるように上に向かって伸びています。
通常2m以上の大木になるいちじくですが、枝に重りを付けたり杭で引っ張ったりすることで低く育て、ハシゴなどを使わずに収穫できるのが特徴です。今ではこの栽培方法がいちじく農家に広く普及しています。

  • いちじくの木を低く育てる栽培方法は、今では広く普及しています。

  • いちじくの実は柔らかくてとてもデリケート。傷つけないよう細心の注意を払って収穫します。

  • 他の作物には手を出さず、いちじく一筋に農業を営む野村さん。

安城市がいちじくの産地となった決め手は、温暖な気候と明治用水にあり

今でこそ安城市はいちじく栽培が盛んですが、昭和40年頃まで水田の多い地域でした。やがて温暖な気候がいちじく栽培に適していると分かり、しかも明治用水によりインフラが整っていたことから、多くの農家が、水田からいちじく栽培へ転作しました。現在「JAあいち中央」の管内で、いちじく栽培をしている農家は安城市が最も多く、約140軒にのぼります。

  • 野村さんの栽培するいちじくは、実が大きくて美味しいと評判です。

  • 野村さん(左から2番目)、野村さんの母の吉子さん(同3番目)、「JAあいち中央」営農部園芸課の岩間啓史さん(左)と同僚の若林花奈子(かなこ)さん(右)。

食べるいちじく料理のフルコースがいただける老舗「吉野屋」

京懐石の店で修業を積んだご主人が考案した「いちじく会席」

いちじく尽くしの料理をいただける和食店があると聞き、さっそく訪ねたのがJR「安城駅」近くにある「吉野屋」です。先代の3代目主人が、お客さまでもあった地元農家さんから、夏になると出荷できない大量のいちじくをもらうため「料理として出せないか」と工夫を重ねました。そして、京都の京懐石の店で修業を積んだ4代目の太田享秀(たかひで)さんが、先代の意志を引き継ぎ、約20年前から、いちじく料理のフルコースとして「いちじく会席」を始めました。

  • 約7個のいちじくが使われている「いちじく会席」4,860円(税込)。遠方からのリピーターも多い。

  • 1個を丸ごと揚げたいちじくの揚げ出しは、なめらかな舌触りが際立ちます(右)。桂剥きした人参やきゅうりで巻いたいちじくの酢の物もさっぱりとして美味しい(左)。

  • いちじくの食前酒とゆばをあしらった先付。

  • いちじくのいなり寿司にいちじくワイン煮といちじく生ハム巻きを添えた八寸。

  • 炭火でいちじくを焼いて皮を剥いたいちじく田楽。

  • 炭火で焼いた鶏との相性が良い、中華風いちじく。

100年以上の歴史を持つ「吉野屋」

「吉野屋」は1899年に創業、100年以上の歴史を持つ老舗です。代々守り続けている秘伝のタレで焼くうなぎ料理のほか、ふぐ料理、すっぽん鍋、名古屋コーチンなど、さまざまな会席料理があり(要予約)、宴会などで利用するお客さまも多いとか。
太田さんは安城の農業や農作物にも詳しく、食の話をすると尽きることがありません。

  • 見事な欄間や屏風絵など、老舗の風格を感じさせる奥座敷。

  • 「吉野屋」の伝統を守りつつ、いちじく会席など新しいことにも挑戦する4代目主人の太田享秀さん。

  • アクセス&インフォメーション 吉野屋

    愛知県安城市御幸本町7-15 Tel: 0566-74-1717
    営業時間 11時~13時30分、17時~20時
    定休日 日曜・祝日(いちじく会席の時期は日曜のみ定休日)
    ※いちじく会席は期間限定(8月18日~10月7日)で要予約。
    ■車でのアクセス
    東名高速道「岡崎IC」、国道23号線「野田IC」より約20分
    ■電車でのアクセス
    JR「安城駅」より徒歩3分、名鉄「北安城駅」「南安城駅」より徒歩15分
    新しいウィンドウを開きます吉野屋ホームページ

買ういちじくを買うなら「ファーマーズマーケット でんまぁと安城西部」

「JAあいち中央」が運営、新鮮食材が揃う店

開店時間の朝9時からお客さまで賑わう「ファーマーズマーケット でんまぁと安城西部」は、店頭に並ぶ農産物の約7割が、地元の農家さんから持ち込まれた新鮮な食材ばかり。露地いちじくが出回る8月~9月には、パック詰めされた地元産のいちじくがずらりと並びます。所長の岩戸省二さんは「農産物だけでなく、他では買えないオリジナル商品も豊富です。安心安全にこだわって、加工品の原材料を国産にしています。当店が目指すのはオンリー1の店です」と語ります。

  • いちじくはもちろん、「JAあいち中央」管内産の、さまざまな野菜・果物が並びます。

  • 活気あふれる店づくりに力を注ぐ、所長の岩戸さん。

  • いちじくジャムは1個390円(税込)から。

旬の食材の美味しい食べ方をアピールする食育ソムリエ

「ファーマーズマーケット でんまぁと安城西部」には11人の食育ソムリエが揃い、旬の食材を使った料理提案や試食コーナーの企画などを毎日おこなっています。「農家さんから食材について勉強させてもらったことを、お客さまにお伝えするのが私たちの役目です」と食育ソムリエの永谷直美(ながやなおみ)さんは笑顔で話してくれました。

  • しそジュースの試飲コーナーを設け、しそ売り場をアピールする食育ソムリエの永谷さん。

  • 売り場に活気をもたらす、食育ソムリエの皆さん。

  • アクセス&インフォメーション ファーマーズマーケット でんまぁと 安城西部

    愛知県安城市福釜町釜ヶ渕1-1 Tel: 0566-72-7333
    営業時間 9時~18時
    定休日 第3月曜(祝日の場合はその翌日)、1月1日~4日
    ■車でのアクセス
    国道23号線知立バイパス「高棚福釜IC」より北に約300m

学ぶ1年を通じて花や緑を楽しめる「安城産業文化公園 デンパーク」

デンマークのコリング市と友好都市提携を結んだ1997年に誕生

安城市はデンマークのコリング市と1997年に友好都市提携、2009年に姉妹都市提携を結んでおり、文化・産業の交流などを積極的におこなっています。友好都市提携が結ばれた1997年に誕生したのが「安城産業文化公園 デンパーク」で、今年20周年を迎えました。約13万m2の広い園内には、デンマーク風車やヨーロッパテイストの美しい風景が広がり、たくさんのイベントもおこなわれる憩いの場となっています。

  • ヨーロッパの花の公園でよく使われるスタイルのお花畑(夏の様子)。

  • 童話の世界に迷い込んだような美しい風景に思わず見とれます。

約3,300種類、30万株の花が植えられた園内

「安城産業文化公園 デンパーク」は、花の楽園をコンセプトに、1年を通じて四季折々の花や緑を楽しむことができます。園内には約3,300種類、30万株の花が植えられ、季節ごとに花壇などのデザインも変わります。「年5回、デザインに合わせて花を植え替えますので、変化する風景もぜひ楽しんでいただきたいです」と事業課運営企画係の稲垣智子さん。

  • 公園内を13分で1周する園内循環バス「メルヘン号」。大人200円(税込)、小中学生100円(税込)。

  • 花時計のあるファンタジーガーデン。

  • 園内を丁寧に案内してくれた稲垣さん。カエルとオタマジャクシのトピアリー(立体花壇)と一緒に。

フラワーショーや植物のコレクション展示などを定期的に開催

花の大温室フローラルプレイスもぜひ立ち寄りたいスポットの1つ。面積3,600m2のアトリウムの中に、デンマークの街並みが再現され、フラワーショーや植物のコレクション展示なども定期的に開催されます。また、大温室に隣接するマーケットは、お土産や食材を求めるお客さまで賑わいます。

  • 花の大温室フローラルプレイスでは「アンデルセン童話」で有名な人魚姫の像が訪れる人を見守ります。

  • 園内の工房で作った手作りソーセージを販売する人気コーナー。

  • ソーセージはよりどり3品で1,000円(税抜)。

  • ~四季ごとにフェスティバルを実施~

    春(3月~5月)はフラワーフェスティバル、夏(7月中旬~8月)はサマーフェスティバル、秋(9月中旬~11月上旬)は秋穫祭、冬(11月下旬~1月上旬)はウィンターフェスティバルを開催。夏と冬はナイター営業もあります。イベント内容やナイター営業日はホームページをチェック!

  • サマーフェスティバル中は、ジャブジャブ池でアクアボールとパドルボートが楽しめます。

  • 夏は花火ショーを開催。
    2017年は
    8月6日(日)~
    27日(日)の土日。

  • アクセス&インフォメーション 安城産業文化公園デンパーク

    愛知県安城市赤松町梶1 Tel: 0566-92-7111
    開園時間 通常9時30分~17時(入園は16時30分まで)、冬季9時30分~16時30分(入園は16時まで)
    休園日 毎週火曜(祝日の場合はその翌日)、年末年始、1月中旬
    ※季節、イベント(ナイター営業、早朝開園など)により変更あり
    入園料 大人600円(高齢者・団体1人480円)、小・中学生300円(団体1人240円)、団体は20人以上
    ■車でのアクセス
    国道23号(知立バイパス)「和泉IC」より約5分
    ■電車でのアクセス
    名鉄「桜井駅」、「南桜井駅」から市内循環バス「あんくるバス」にて「デンパーク」下車すぐ
    新しいウィンドウを開きます安城産業文化公園デンパークホームページ

作る今日はおうちで農食レストラン

今回は枝豆を使ったレシピを紹介するニャ

いちじくにはアンチエイジング効果が期待されるポリフェノール、腸の働きを活発にする食物繊維(ペクチン)、カルシウムや鉄分といったミネラルが豊富に含まれています。そのまま食べても美味しいですが、煮たり、焼いたり、マリネにしたりと、ひと工夫したレシピを紹介します。

蓮沼 あいさん

農食シェフ蓮沼 あい

食品メーカーへのレシピ提供や撮影協力、広告・雑誌でのレシピ紹介をはじめ、飲食店のプロデュースや料理イベントまで幅広く手がけ、食育をテーマにしたテレビ番組にも出演中。
ウェブサイト新しいウィンドウを開きますhttp://ai-hasunuma.com

いちじくと鶏肉の
赤ワイン煮
鶏肉や野菜と一緒に
いちじくを皮付きのまま
丸ごと煮込んだ一品

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〈材料(2人分)〉
  • 鶏もも肉 1枚(約250g)
  • いちじく 3個
  • 玉ねぎ 1個
  • ジャガイモ 1個
  • オリーブオイル 大さじ1
  • にんにく 1片
  • バター 20g
  • 赤ワイン 1カップ
  • 水 1/2カップ
  • ブイヨンキューブ 2個
  • ローリエ 1枚
  • 塩・こしょう 各少々
  • クレソン 適宜
〈作り方〉
  1. 鶏もも肉は半分に切って塩(分量外)をしたら、常温で約15分おく(point1)
  2. いちじくは軸を切る。ジャガイモは皮を剥いて食べやすい大きさに切って水にさらす。玉ねぎは8等分のくし切りにする
  3. 鍋にオリーブオイルとにんにくを入れて弱火で熱し、香りがたったら、1の鶏肉を皮目から入れて焼き色をつける。ひっくり返して反対面も焼いて取り出す
  4. 余分な油をふき取ってバターを溶かし、玉ねぎ、水気を切ったジャガイモを入れて炒める
  5. 赤ワインを入れて3の鶏肉といちじくを入れて沸騰させ、水とブイヨンキューブ、ローリエを入れて弱めの中火で蓋をして30分加熱する(point2)
  6. 塩こしょうで味をととのえて器に盛り付け、クレソンを添える
おいしく作るポイント
ポイント1

鶏肉に塩味をしっかりとしみ込ませることで美味しさがアップします

ポイント2

いちじくの皮をあえて剥かないことで、いちじくの煮崩れを防ぎます

いちじくとナスの
キャラメルマリネ
グラニュー糖を煮詰めて
マリネ液とあえたコクのあるマリネ
冷やしていただくのがおすすめ

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〈材料(2人分)〉
  • いちじく 4個
  • ナス 2本
  • オリーブオイル 大さじ5
  • グラニュー糖 大さじ3
  • 水 大さじ1
  • バジル 適宜
マリネ液
  • しょうゆ 小さじ2
  • 塩 小さじ1/2
  • 酢 大さじ2
  • オリーブオイル 大さじ2
  • レモン汁 大さじ2
〈作り方〉
  1. ボウルにマリネ液の調味料を入れ、混ぜ合わせる
  2. いちじくは4等分に切って皮を剥く(point1)
  3. ナスはヘタとガクの境目に包丁を入れて切り落とす。ピーラーで縦に皮を縞目に剥き、1cm厚さの輪切りにする
  4. 3のナスをボウルに入れ、オリーブオイルとあえる(point2)
  5. フライパンに4を入れて中火にかけ、蓋をしてナスを焼く。片面に焼き色が付いたらひっくり返し、蓋をしてさらに焼く。両面に焼き色が付いたら器に取り出す
  6. 鍋にグラニュー糖、水大さじ1を入れて強火にかける。溶けてきたら、時々鍋をゆすりながら、煮詰める。濃いきつね色になってきたら、1度火を止めて、1のマリネ液の1/4量を加え、混ぜ合わせる
  7. 6に残りのマリネ液を加え、もう1度火にかける。溶けてきたらナスを加え、ひと煮立ちして火を止め、鍋底を冷水で冷やす
  8. しっかり冷えたら2のいちじくを入れてからめ、バジルを添える
おいしく作るポイント
ポイント1

いちじくは先に4等分にカットすると皮が剥きやすくなります

ポイント2

あらかじめナスをオリーブオイルとあえておくと少なめのオイルで焼くことができます

いちじくの
紅茶クラフティ
フランスの伝統菓子クラフティを
いちじくでアレンジ
市販のクッキーで手早く作ります

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〈材料(4人分)〉
  • いちじく 3個
  • バター 20g
  • 牛乳 大さじ1
  • 粉砂糖 適量
クラフティ生地
  • クッキー(市販品) 80g
  • アールグレイ茶葉
    ティーバッグ2袋分(5g)
  • 熱湯 大さじ1
  • 牛乳 110ml
  • 卵 2個
  • 砂糖 50g
  • 薄力粉 30g
  • 生クリーム 100ml
〈作り方〉
  1. いちじくは皮ごと縦4つ切りにしておく
  2. クッキーはビニール袋の中に入れて麺棒で叩き、細かくする
  3. バターを湯煎で溶かして牛乳(110ml)と合わせ、2を加え、グラタン皿に広げて押し固める(ラップの上からぎゅうぎゅう押して)冷凍庫で冷やしてクラフティ生地を作る
  4. 鍋にアールグレイの茶葉を入れて熱湯を回しかける(point1)
  5. 4に牛乳(大さじ1)を入れて弱火で混ぜながら沸騰直前まで温め、ざるでこす
  6. ボウルに卵と砂糖を入れて空気が入らないようにすくうように混ぜたら薄力粉をふるい入れて、ダマがなくなるまで混ぜる
  7. 3のグラタン皿に1のいちじくを並べ、ボウルに5と6と生クリームを加えてざっと混ぜて、流し入れ(point2)180度に余熱が入ったオーブンで30分焼く
  8. 粗熱をとって粉砂糖をふる
おいしく作るポイント
ポイント1

熱湯を回しかけた後、アルミホイルで覆って5分ほど蒸らすと紅茶の味がしっかりと出ます

ポイント2

いちじくにかからないよう、周囲からそっと流し入れるときれいに仕上がります

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