• 地元の人たちに愛され、親しまれている食材をテーマに中部5県下をめぐり、その魅力をご紹介します。
    ※「農食」とは、新鮮な農産物をその土地で食べることを意味する造語です。

  • カテエネ 農食ツーリズム
  • 第33回

    神奈川県三崎(みさき)漁港のまぐろを訪ねて

    三浦半島の先端に位置する神奈川県三浦市の三崎漁港は、南に面した城ヶ島(じょうがしま)が防波堤の役目を果たす天然の良港です。早くから漁業の拠点として賑わい、昭和初期にはまぐろの水揚げで全国有数の遠洋漁業基地へ発展、今も盛んにまぐろの取り引きがおこなわれています。今回は、「三崎のまぐろ」として知られている、三崎漁港を訪ねました。
    (注)取材は2017年9月下旬におこないました。
  • 神奈川県三崎(みさき)漁港のまぐろ

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見る・聞くマイナス60℃で、まぐろの鮮度を半永久的に保つ

世界を航海するまぐろ船の基地「三崎漁港」

京浜急行バスの「三崎港」バス停で降りると、目の前に「三崎漁港」が広がります。ここを基地にするまぐろ船は、マイナス60℃に急速冷凍する貯蔵庫を船内に完備。太平洋・インド洋・大西洋と世界を航海しながら、捕獲したまぐろは貯蔵庫で保管します。貯蔵庫がまぐろで一杯になるまで帰港しないため、航海期間は1年から1年半にも及びます。
長い漁を終えて三崎漁港に帰港し、水揚げされた冷凍まぐろはマイナス60℃の冷蔵庫に保管されます。「マイナス60℃という超低温はまぐろの酸化を止め、半永久的に鮮度が保たれる温度。まぐろ本来の美味しさを逃しません」と市場を管理する「三浦市経済部市場管理事務所」市場管理グループリーダーの栁澤翼(やなぎさわたすく)さんは言います。

  • 約500トンのまぐろ船。レーダーや衛星航法といった最新設備に加え、マイナス60℃に急速冷凍する貯蔵庫を船内に完備しています。

  • 三浦市が運営する公設市場「三浦市三崎水産物地方卸売市場」はバス停「三崎港」から徒歩約5分の所にあります。

仲買人との取り引きの様子を2階から見学

まぐろは「クロマグロ(本まぐろ)」「メバチマグロ」「ミナミマグロ」「キハダマグロ」、そしてツナ缶の原料になる「ビンナガマグロ」の5種類に大きく分かれます。「三浦市三崎水産物地方卸売市場」で扱う冷凍まぐろは「メバチマグロ」が中心です。
仲買人との取り引きの様子が一般公開されていると聞き、朝8時に魚市場を訪れました。窓口で受付けを済ませ、2階の見学コーナーから1階を見下ろすと、会場には1列で何十本という冷凍まぐろがずらりと並び、迫力の光景が目に飛び込んできました。

  • 列の間を仲買人が忙しく歩き回り、真剣な眼差しで冷凍まぐろを1本ずつ吟味します。

  • 何列にも並ぶ冷凍まぐろ。1本あたりの重さは70kg~100kgで、中には120kg級も。

入札方式で1日約400本が取り引きされる

「三浦市三崎水産物地方卸売市場」では入札方式によって取り引きがおこなわれます。仲買人は手に持った小さな黒板に希望の品番と1kgあたりの値段を書き込み、最高の値をつけた仲買人が落札します。
1日約400本のまぐろが入札にかけられ、仲買人を通じて首都圏を中心に出荷されていきます。

  • 保管されている冷蔵庫から、次々に運ばれてくる冷凍まぐろ。

  • 落札者の屋号がカウンター奥の黒板に書き出されます。

  • 「三浦市経済部市場管理事務所」市場管理グループリーダーの栁澤翼さん(左)、三木育美(みきいくみ)さん(左から2人目)、事務所の皆さん。

2018年春、冷凍まぐろ専用の低温卸売場を新設オープン予定

近隣の小学生などの社会見学も含め、年間約2万人の見学者が訪れる「三浦市三崎水産物地方卸売市場」は、2018年春、さらに高度衛生管理化した冷凍まぐろ専用の低温卸売場で取り引きが始まる予定です。

  • 低温卸売場のこだわり

    ・取り引きする場所は15℃を維持
    ・床上をクリーンに保ち足洗いを徹底
    ・LED照明により、まぐろの肉質をより適切に判断
    ・利用する海水をボイラーで加熱

  • 美味しいまぐろの見分け方

    捕獲後、急速冷凍して保管された三崎漁港のまぐろはいずれも鮮度抜群。では仲買人は何をチェックするのでしょうか。そのポイントについて栁澤さんに伺うと、「脂のつき方」「色み」を挙げてくれました。

    ●脂のつき方(ほどよく脂がのっている)
    ●色み(赤身の色が鮮やか)

    入札では「尾の身(おのみ)」と呼ばれる部位が切り落とされ、仲買人はその断面をチェックすることができます。

  • ~産地出荷価格でお得に~ 年末恒例「三崎まぐろ祭 ビッグセール」

    日時 2017年12月28日(木)~30日(土)5時~16時30分
    会場 「三浦市三崎水産物地方卸売市場」周辺
    主催 三崎年末ビッグセール実行委員会

    お問い合わせ:三崎朝市協同組合

    Tel: 046-881-4488

  • アクセス&インフォメーション 三浦市三崎水産物地方卸売市場

    神奈川県三浦市三崎5-245-7
    ■電車でのアクセス
    京浜急行電鉄「三崎口駅」から京浜急行バス「三崎港」下車、徒歩約5分
    ■車でのアクセス
    横浜横須賀道路「衣笠IC」より約30分
    新しいウィンドウを開きます三浦市三崎水産物地方卸売市場
    [市場見学のお問い合わせ先]
    三浦市経済部市場管理事務所 Tel: 046-882-1111(内線 77334・77335)
    市場見学に適した時間帯 8時~9時30分頃
    (注)市場休場日をホームページで事前に確認することをお勧めします。
    新しいウィンドウを開きます三浦市三崎水産物地方卸売市場の市場カレンダー

食べる市場の中にある「三崎食堂」でまぐろ料理を満喫

オーナーおすすめのメニューは「カマ塩焼定食」と「三崎鮪三昧(まぐろざんまい)定食」

「三崎漁港」の周辺にはまぐろの飲食店が何軒もありますが、今回は「三浦市三崎水産物地方卸売市場」の中にある「三崎食堂」で食事を取ることにしました。
オーナーの井上靖彦さんにおすすめメニューを尋ねると「カマ塩焼定食」と「三崎鮪三昧定食」とのこと。さっそく注文すると10分もしないうちにテーブルに運ばれてきました。「仲買人さんは忙しいので、事前に少し火を通しておくなど工夫して、少しでも早く提供できるようにしています」と井上さん。

  • 大根おろしとポン酢でさっぱりといただく「カマ塩焼定食(小サイズ)」1,480円(税別)。カマ塩焼は、塩加減と焼き加減にこだわって仕上げます。

  • まぐろの刺身・たたき・皮の煮こごり・ナメロウ(注)・角煮、まぐろ汁がセットになった「三崎鮪三昧定食」1,680円(税別)。
    (注)新鮮な魚を細かく切り、薬味などを加えて粘りが出るまでたたいたもの。房総半島の漁師料理。

鮮魚も野菜も、地産地消にこだわった食堂

「三崎食堂」は仲買人や事務員の皆さんの社員食堂として長く親しまれてきました。当時のオーナーの事情により2009年に閉鎖されましたが、2011年に井上さんが同じ名前で復活させました。
まぐろ料理の他、近海で水揚げされた鮮魚、近隣の農家から取り寄せた新鮮な食材をふんだんに使い、地産地消にこだわっています。

  • その日に入手した食材に合わせて、メニューは毎日替わります。

  • 仲買人の生活サイクルに合わせ、朝6時(日曜は朝5時)から営業しています。

  • 「目利きの仲買人さんが落札したまぐろをいろいろな料理で楽しんでください」とオーナーの井上さん。

  • アクセス&インフォメーション 三崎水産物地方卸売市場食堂(三崎食堂)

    神奈川県三浦市三崎5-245-7 三浦市三崎水産物地方卸売市場2階 Tel: 046-880-1620
    営業時間 通常6時~17時、土曜6時~20時、日曜5時~20時
    (注)10時~11時は仕込み準備のため休業
    定休日 水曜
    ■電車でのアクセス
    京浜急行電鉄「三崎口駅」から京浜急行バス「三崎港」下車、徒歩約5分
    ■車でのアクセス
    横浜横須賀道路「衣笠IC」より約30分

買う三崎の地魚から野菜まで揃う「うらりマルシェ」

まぐろの珍しい部位も「さかな館」なら手に入る

「うらりマルシェ」は、三浦市、神奈川県、地元の漁業組合などが協力して立ち上げた施設です。「海(う)を楽(ら)しむ里(り)」というコンセプトから「うらり」と名付けられました。
1階の「さかな館」には、まぐろや地魚をはじめ水産加工品などを扱う12店舗、商工会議所が運営する三浦ブランド館のコーナーがあります。中でも天然まぐろ専門店「オーシャン・グロウ」はカマや内臓まで市販では入手しづらい部位を揃え、まぐろ通をうならせています。

  • 「三浦市三崎水産物地方卸売市場」から徒歩で約2分。海に張り出すようにして立つ「うらりマルシェ」。

  • 大トロのブロックを手にする天然まぐろ専門店「オーシャン・グロウ」店長の反町(そりまち)文彦さん。

  • 魚問屋70年の歴史を持つ「さんき」は「まぐろめかぶ」が人気。社長の長谷部洋子さん(右)とスタッフの方。

まぐろの総菜も充実

まぐろの総菜なら「清月(せいげつ)」がおすすめです。毎朝できたてを販売する「とろ角煮」180g640円(税込)や、「まぐろコロッケ」120円(税込)、「まぐろ串かつ」200円(税込)など、その場で食べられる総菜が店頭に並びます。
「みさきまぐろ倶楽部」の店頭で湯気を上げるのは、まぐろと野菜をミックスした中華風味のまんじゅう「とろまん」250円(税込)。「かながわの名産100選」にも選ばれる人気商品です。

  • まぐろの総菜が並ぶ「清月」代表取締役の内騰幸成(ないとうゆきなり)さん。

  • 「みさきまぐろ倶楽部」営業部長の川見正さん。

  • 2階の「やさい館」には約90軒の農家さんが持ち込む朝穫れ野菜が並びます。

  • アクセス&インフォメーション うらりマルシェ

    神奈川県三浦市三崎5-3-1 tel: 046-881-6721
    営業時間 通常9時~17時、日曜7時~17時
    年中無休
    ■電車でのアクセス
    京浜急行電鉄「三崎口駅」から京浜急行バス「三崎港」下車、徒歩約3分
    ■車でのアクセス
    横浜横須賀道路「衣笠IC」より約30分
    新しいウィンドウを開きますうらりマルシェホームページ
    [各店舗の連絡先]
    オーシャン・グロウ Tel: 046-880-1531
    さんき Tel: 046-881-6606
    清月 Tel: 090-6160-5312
    みさきまぐろ倶楽部 Tel: 046-882-6390
    (注)商品の注文・発送については、各店舗に直接お問い合わせください

学ぶ三崎の海を海中散歩する「にじいろさかな号」

三崎の海の歴史や地理を学ぶ

「株式会社三浦海業(うみぎょう)公社」が運営する「にじいろさかな号」は、三崎の海を手軽に海中散歩できる半潜水式の観光船です。
「うらりマルシェ」前を出航し、岸壁に停まっているまぐろ船を眺めつつ、三崎港と城ヶ島をつなぐ「城ヶ島大橋」をくぐり抜けます。途中、船内のアナウンスで付近の歴史や地理について学ぶこともできます。

  • イエローのかわいい船が三崎漁港でも目を引く「にじいろさかな号」。

  • 大きなまぐろ船が停まっている岸壁を通り過ぎます。

  • 赤い「城ヶ島大橋」をくぐります。

島や魚と楽しくふれあう

出港から約10分で、魚をウォッチする磯場のポイントに船を停泊します。デッキから階段を下りて船底に移動すると、そこは天然の小さな水族館。窓から魚の群れを眺めることができます。
三崎の鳥や魚と楽しくふれあえる、約40分の海中散歩。大人も子どもも楽しめるコースです。

  • 出航から約10分で、魚をウォッチするポイントに到着します。

  • 船底の両側には、海の中を眺められる窓が設置されています。

  • デッキからまいたエサを目当てに、魚がたくさん集まってきます。
    (注)天候によって海の透明度は異なります。

  • にじいろさかな号

    料金 大人(中学生以上)1,200円(税込)、小人(小学生)600円(税込)
    ・未就学児は大人1名に付き1名無料、2名から小人料金
    ・団体料金(10名以上)は1名あたり200円割引
    出航時間 9時20分、10時10分、11時00分、12時40分、13時30分、14時20分、15時10分
    所要時間 40分

    お問い合わせ:うらりマルシェ

    Tel: 046-881-6721
    新しいウィンドウを開きますうらりマルシェホームページ

作る今日はおうちで農食レストラン

今回はまぐろを使ったレシピを紹介するニャ

まぐろの赤身には良質なタンパク質、トロの脂身には不飽和脂肪酸のDHA(ドコサへキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)など多くの健康成分が含まれます。寿司や刺身が定番のまぐろですが、今回はステーキやパスタなどでお楽しみいただきます。

蓮沼 あいさん

農食シェフ蓮沼 あい

食品メーカーへのレシピ提供や撮影協力、広告・雑誌でのレシピ紹介をはじめ、飲食店のプロデュースや料理イベントまで幅広く手がけ、食育をテーマにしたテレビ番組にも出演中。
ウェブサイト新しいウィンドウを開きますhttp://ai-hasunuma.com

まぐろの
ポモドーロパスタ
角切りのまぐろをさっと炒め
フレッシュなトマトソースで
からめたシンプルパスタ

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〈材料(2人分)〉
  • まぐろ(刺身) 150g
  • トマト 3個
  • にんにく 1片
  • ブラックオリーブ 5粒
  • オリーブオイル 大さじ2
  • 塩 小さじ1/2
  • スパゲティー 160g
  • パセリ 適量
〈作り方〉
  1. まぐろは1cm角に切って塩・こしょう(分量外)をふる。トマトはヘタを取ってざく切りにする。にんにくはみじん切りにする。ブラックオリーブは輪切りにする
  2. 厚手の鍋ににんにくとオリーブオイルを入れて中火で熱し、にんにくの香りがたったら、まぐろを加えて炒め、色が変わったら取り出す(point1)
  3. 2の鍋に1のトマト、ブラックオリーブを入れて蓋をし、弱めの中火で15分熱したら蓋を外して塩を加え、時々混ぜながら水分を飛ばす(point2)
  4. 鍋にたっぷりのお湯を沸かして塩少々(分量外)を加え、スパゲティーを表示時間通りに茹でたらザルにあげる
  5. 取り出しておいたまぐろと4のスパゲティーを3に加えてさっと混ぜ、皿に盛り付け刻んだパセリを散らす
おいしく作るポイント
ポイント1

火が入りすぎるとまぐろの身がパサつくので色が変わったらすばやく取り出します

ポイント2

トマトをつぶしながら煮つめます

まぐろの
ガーリックステーキ
タコス風
まぐろステーキに
アボカドとトマトを添えた
ヘルシーなタコス風

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〈材料(2人分)〉
  • まぐろ(刺身) 1サク(200g)
  • アボカド 1/2個
  • 玉ねぎ 1/2個
  • マヨネーズ 大さじ1.5
  • にんにく 2片
  • オリーブオイル 大さじ1
  • ごはん 適量
  • トマト 1/2個
  • 黒こしょう 適量
たれ
  • 醤油 大さじ2
  • みりん 大さじ1
〈作り方〉
  1. たれの材料を混ぜ合わせたビニール袋に、まぐろを入れて1~2時間冷蔵庫で寝かせる(point1)
  2. アボカドソースをつくる。皮と種を取り除いてたたいたアボカド、みじん切りにした玉ねぎ、マヨネーズを混ぜておく
  3. にんにくは薄切りにしてオリーブオイルと共にフライパンに入れ、カリカリになるまで弱火で熱し、取り出す
  4. 1のまぐろをビニール袋から取り出し、水気を拭き取ったら、強火で熱したフライパンで焼き色がつくまで両面を焼いて取り出す(point2)。粗熱を取って1cm幅に切り分ける
  5. 皿にごはんを盛り付け、角切りにしたトマトを散らしたら、4のまぐろを並べて2のアボカドソースをかける。3のにんにくを散らし、黒こしょうを加える
おいしく作るポイント
ポイント1

まぐろにしっかりたれをしみ込ませたい場合は半日以上、冷蔵庫で寝かせます

ポイント2

中まで火が通らないように強火で焼いてレアに仕上げます

味噌漬けまぐろの
茶漬け
味噌味の「漬け(ヅケ)」を
まろやかでコクのある
贅沢なまぐろ茶漬けに

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〈材料(2人分)〉
  • まぐろ(刺身) 6切れ
  • ごはん 茶碗2杯分
  • 三つ葉 20g
  • 白いりごま 適量
  • 刻み海苔 適量
  • 緑茶 適量
  • わさび 適宜
味噌床
  • 赤味噌 大さじ1.5
  • 合わせ味噌 大さじ1.5
  • みりん 大さじ1.5
〈作り方〉
  1. 味噌床の材料をよく混ぜ合わせる
  2. ラップに1の半量を広げ、上にまぐろを並べ、残りの味噌床を上から塗る(point1)。ラップで巻いたら冷蔵庫で一晩寝かせる
  3. 茶碗にごはんを盛り付け、2のまぐろを、味噌を手で落としてから上に並べる
  4. 3にざく切りにした三つ葉、白いりごま、刻み海苔をのせ、熱いお茶をかける。好みでわさびを添える
おいしく作るポイント
ポイント1

ラップを利用することで少量の味噌床で味噌漬けができます。まぐろは切り落としでもOK

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