• 地元の人たちに愛され、親しまれている食材をテーマに中部5県下をめぐり、その魅力をご紹介します。
    ※「農食」とは、新鮮な農産物をその土地で食べることを意味する造語です。

  • カテエネ 農食ツーリズム
  • 第35回

    静岡県浜松市のみかんを訪ねて

    みかんには、いよかん、はっさく、ぽんかんなど100以上の種類がありますが、一般的にみかんと呼ぶのは温州(うんしゅう)みかん。温暖な気候に恵まれた静岡県は、温州みかんの収穫量が全国3位で、中でも浜松市で盛んに栽培されています。今回は「JAとぴあ浜松」湖北営農センター長の伊代田和宏(いよだかずひろ)さんのご案内で、「JAとぴあ浜松」柑橘部会長を務める名倉気津治(なぐらきつじ)さんのみかん畑を訪ねました。
    (注)取材は2017年11月下旬におこないました
  • 静岡県浜松市のみかん

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見る・聞くだいだい色のみかんは冬の風物詩

約750軒のみかん農家が集まる「JAとぴあ浜松」

「JAとぴあ浜松」柑橘部会は浜名湖周辺(三ヶ日町を除く)を中心とした約750軒のみかん農家によって構成され、糖度の高い温州みかん(以下みかん)など、より美味しいみかん作りに力を注いでいます。
柑橘部会長の名倉さんはみかん栽培歴40年のベテラン。6月の「ハウスみかん」から始まり、「早生(わせ)みかん」「青島(あおしま)みかん」といった温州みかんの他にも「ネーブルオレンジ」「せとか」「はるみ」など多くの品種を手がけることで、5月と9月を除き、ほぼ1年中収穫できる体制を実現しています。

  • 32,000m2に及ぶみかん畑を所有している名倉さん。畑にシートをかぶせて雨水の侵入を防ぎ、水分量を調整して、より甘いみかんに育てます。

  • 1シーズンで1本の木から600個~1,000個のみかんを収穫。雨の日を除き、朝8時から16時半まで収穫に追われます。

酸味と甘味のバランスが大切

名倉さんは熟したみかんを1個ずつハサミで丁寧に枝から切り、カゴに入れていきます。そのうちの1個を差し出してくれました。皮に弾力とハリがあり、果実と果汁がぎゅっと詰まっていることが手のひらから伝わってきます。皮をむいて口に含むと、みずみずしい酸味と甘味が一気に広がり、「美味しい!」と口をついて出ました。名倉さんはにこにことうなずき「酸味と甘味、両方がしっかりあるから美味しいんです。理想のみかんはなかなかできませんが、だから面白くてやめられません」と言います。

  • 収穫は「2度切り」が鉄則。1cmほどヘタを残して切った後、ヘタを平らに切り揃えます。ヘタの突起で他のみかんを傷つけないためのルールです。

  • 果実と果汁がぎゅっと詰まっています。口に含むと、みずみずしい酸味と甘味が一気に広がります。

  • 「JAとぴあ浜松」湖北営農センター長の伊代田和宏さん(左)と柑橘部会長の名倉気津治さん。

くさり、キズ、形の悪いもの、規格サイズ以下を厳しく選別

収穫したみかんは、車で数分の所にある自宅奥の作業所で仕分けをします。くさり、キズ、形の悪いものなどを取り除いた後、外観の良し悪しによってAランクとBランクに選別します。

  • 小さなキズでもくさりの原因になるため、厳しい目で選別します。

  • 収穫したみかんは順次、仕分けをします。

  • 選別した後、「JAとぴあ浜松」果樹販売センター 柑橘選果場に運びます。

    • ●新鮮なみかんの見分け方

      ・濃いだいだい色をしている
      ・皮がぎゅっとしまっていて重みがある
      ・表面のつぶつぶ「油胞(ゆほう)」が小さい=皮のキメが細かい

      ●鮮度を保つ保存方法

      ・通気性がよく、直射日光の当たらない冷暗所に保管

食べる「みかん最中(もなか)」と「みかんソフトクリーム」

創業明治18年の老舗「入河屋(いりかわや)」三ヶ日本店

3代目が考案し、約60年前から今も地元の人に親しまれている「みかん最中」があると聞き、訪ねたのが浜松市北区三ヶ日町にある和洋菓子司「入河屋」三ヶ日本店です。創業明治18年の老舗で、現在は5代目の松嵜善治郎(まつざきぜんじろう)さんが代表を務めています。

  • 初代松嵜甚作(じんさく)が明治18年に創業した「入河屋」。

  • 和菓子と洋菓子いずれも国産原料にこだわり、心を込めて丁寧に作っています。

  • 近江八幡市の老舗の和菓子屋で5年間修業したという5代目の松嵜善治郎さん。

着色料なし、みかん色の餡が美しい「みかん最中」

「みかん最中」の生みの親は善治郎さんの祖父にあたる3代目の勉(つとむ)さん。「地元の特産品を使い、お土産にもなる菓子を作ろうと3代目が目をつけたのがみかんでした」と善治郎さんは言います。さっそくいただくと、白餡にみかんの果汁を加えた香り豊かな味で、いくつでも食べられそうです。お土産として人気が高いのも分かります。
他にも、「みかんソフトクリーム」やみかん入りの米粉ロールケーキ「陽だまりの丘」など、みかんが主役のメニューがいくつもあります。

  • 北海道十勝産の白豆「大手亡(おおてぼう)」を使用した「みかん最中」1個148円(税込)。着色料なしで、美しいみかん色の餡に仕上げます。

  • みかんの濃縮果汁を使った「みかんソフトクリーム」300円(税込)。みかんをそのまま食べているような濃厚な味です。

  • シロップに漬けたみかんとハチミツ入りの米粉ロールケーキ「陽だまりの丘」1本1,641円(税込)。

素材にこだわったベーカリーコーナーも併設

和洋菓子作りを通じて、食材へのこだわりを深めた善治郎さんは、和洋菓子に加えて、パンも作るようになりました。古代小麦(注)で焼き上げたパンと有機豆を使ったコーヒーは、食への意識が高い地元のお客さまの間で人気を集めています。
(注)小麦の原種にあたる古代穀物

  • 初代甚作さんの等身大人形と一緒に。善治郎さんと奥さまの朋美さん。

  • 喫茶スペースもあるベーカリーコーナー。焼立てパンが人気です。

  • ベーカリーコーナーのスタッフの皆さん。

  • アクセス&インフォメーション 和洋菓子司「入河屋」三ヶ日本店

    静岡県浜松市北区三ヶ日町下尾奈83-1 Tel:053-525-0902
    営業時間 8時~19時
    定休日 水曜
    ■電車でのアクセス
    天竜浜名湖線「奥浜名湖駅」から徒歩約5分
    ■車でのアクセス
    東名高速道路「三ヶ日IC」より約10分
    新しいウィンドウを開きます和洋菓子司「入河屋」ホームページ(ネットでの注文も可能です。)

買うみかんをおトクに買える、みかん直売所

柑橘選果場で箱詰めされたみかんなどが店頭に並ぶ

「JAとぴあ浜松」湖北営農センター長の伊代田さんが「みかんをおトクに買える場所」として案内してくれたのが、果樹販売センター 柑橘選果場に併設された直売所です。柑橘選果場で箱詰めされたみかんが店頭に並び、市場価格よりおトクとあって、開店前からお客さまが並ぶほどの人気ぶりです。
キズなどで規格外となったみかんの大袋入り3kg300円(税込)も飛ぶように売れていきます。

  • 開店前からお客さまが並ぶこともある、みかん直売所。

  • 贈答用に人気の箱詰め商品。時期によって価格は変動します。

  • 規格外となったみかんの大袋入りは1家族1袋の限定商品です。

人の目と高精度の光センサーで厳しく選別する柑橘選果場

今回、特別に伊代田さんに柑橘選果場の中を案内していただくと、キズなど規格外のものを人の目で厳しく選別している様子が飛び込んできました。この第一関門をくぐり抜けたみかんは、高精度の光センサーのチェックで、糖度・酸度・形によって等級別に分類されます。「どんなにセンサー技術が発達しても、厳しい人の目による最初のチェックがあってこそ品質は維持できます」と伊代田さんは言います。

  • 「JAとぴあ浜松」果樹販売センター 柑橘選果場。

  • キズなど規格外のものは、厳しい人の目で取り除かれます。

  • みかんがベルトコンベヤーで途絶えることなく流れていきます。

  • アクセス&インフォメーション 「JAとぴあ浜松」果樹販売センター 柑橘選果場 みかん直売所

    静岡県浜松市北区細江町三和65-2 Tel:053-527-1414
    営業期間 7月上旬~2月下旬頃(9月中旬~10月中旬、3月~6月は休業)
    営業時間 10時~16時
    定休日 火曜
    ※期間中であっても品切れにより休業する場合があります。詳しくはお問い合わせください。
    ■電車でのアクセス
    天竜浜名湖線「金指駅」から徒歩約8分
    ■車でのアクセス
    新東名高速道路「浜松いなさIC」より約15分
    新しいウィンドウを開きます「JAとぴあ浜松」果樹販売センター 柑橘選果場 みかん直売所ホームページ

学ぶオルゴールの奥深さを知る「浜名湖オルゴールミュージアム」

アンティークオルゴールなど貴重なコレクションの実演も楽しめる

「ヤマハ」「河合楽器製作所」「ローランド」といった世界に名立たる楽器メーカーが集まる浜松市。国際的なピアノコンクールやオペラコンクールを定期的に開催するなど、「音楽のまち」としても知られています。
その浜松市の観光名所、浜名湖湖畔にある大草山(おおくさやま)頂上に、「浜名湖オルゴールミュージアム」が1999年にオープンしました。19世紀半ばのアンティークオルゴールなど約70点もの貴重なコレクションを展示するミュージアムで、実演を楽しむこともできます。

  • コンサートホールの構造をしたミュージアムは音響効果も抜群です。

  • オルゴールの魅力や自動演奏の仕組みを学ぶことができます。

高さ6mの吹抜けのホールに鳴り響く、迫力の演奏

「浜名湖オルゴールミュージアム」のホールでひときわ目を引くのが、高さ3.5m、幅5mの巨大な自動演奏楽器の復元(フランス製)です。大型のパイプオルガン、ドラム、シンバルなどを組み込んだもので、1時間に1回、定時に実演されます。高さ6mの吹抜けのホールに鳴り響く、迫力の自動演奏を楽しむことができます。

  • 巨大な自動演奏楽器「ガビオリフェアグランドオルガン」。1920年頃、ヨーロッパの遊園地やカーニバルで活躍したもので、美しい装飾にも目を奪われます。

  • 展示されているアンティークオルゴールは、眺めるだけでなく、実演も1時間ごとにおこなわれます。

コレクションと併せて楽しみたい、屋上展望台からの眺め

貴重なコレクションに加えて、もう1つの見所が屋上展望台からの眺めです。壮大な浜名湖の全景を一望でき、さらに毎時00分になると、自動演奏でカリヨン(組鐘)が美しい音色を鳴り響かせます。

  • 大草山頂上に立つ「浜名湖オルゴールミュージアム」の屋上展望台からの眺め。

  • 屋上展望台に備えられたカリヨン(組鐘)。

  • 案内してくださった企画担当の岡本静華(しずか)さん(左)とスタッフの皆さん。

  • アクセス&インフォメーション 浜名湖オルゴールミュージアム

    静岡県浜松市西区舘山寺町1891 Tel:053-487-2121
    営業時間 9時~17時
    不定休
    ※季節により閉館時間が短縮または延長することがあります。詳しくはお問い合わせください。
    料金 大人(中学生~)820円(団体1人740円)、小人(3才~)410円(団体1人370円)、団体料金は15名以上
    ■電車でのアクセス
    「JR浜松駅」北口バスターミナル1番乗り場(浜松駅)から遠鉄バス「舘山寺温泉」行きで約50分「浜名湖パルパル」下車、
    かんざんじロープウェイ「かんざんじ駅」から約4分、「大草山駅」直結
    ■車でのアクセス
    東名高速道路「浜松西IC」より約15分、かんざんじロープウェイ「かんざんじ駅」から約4分、「大草山駅」直結
    ※「かんざんじロープウェイ」駐車場をご利用ください。駐車料金1日800円(1台)。
    新しいウィンドウを開きます浜名湖オルゴールミュージアムホームページ

作る今日はおうちで農食レストラン

今回はみかんを使ったレシピを紹介するニャ

みかんにはビタミンA、ビタミンCやカリウム、クエン酸などが含まれ、また白い薄皮(袋)には食物繊維が豊富に含まれています。さらに外の皮は乾燥させて漢方薬に使われることも。そんな栄養たっぷりのみかんを使って、薄皮や外の皮まで美味しくいただくレシピを紹介します。

蓮沼 あいさん

農食シェフ蓮沼 あい

食品メーカーへのレシピ提供や撮影協力、広告・雑誌でのレシピ紹介をはじめ、飲食店のプロデュースや料理イベントまで幅広く手がけ、食育をテーマにしたテレビ番組にも出演中。
ウェブサイト新しいウィンドウを開きますhttp://ai-hasunuma.com

みかんのデリ風サラダみかんの酸味にチーズのコク
モチモチした大麦の食感が加わった
見た目もおしゃれなサラダ

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〈材料(2人分)〉
  • 大麦 25g(茹でると80g)
  • みかん 3個
  • カマンベールチーズ 1/2個(50g)
  • ルッコラ 1束(15g)
A
  • マヨネーズ 大さじ3
  • 粒マスタード 大さじ1
  • 水 小さじ1
〈作り方〉
  1. 鍋にたっぷりの水と塩少々(分量外)を入れ、大麦を加えて混ぜる。中火にかけ沸騰したら弱火で10分茹でてザルに上げ、冷ましておく(point1)
  2. みかんは皮をむき、半量は2房、半量は1房に分け、それぞれ半分に切る(point2)
  3. カマンベールチーズは8等分する
  4. Aの材料を混ぜ合わせ、1の大麦と2のみかんを加えて混ぜる
  5. ルッコラは根元を切って器に盛り、その上に4を盛り付けて3のカマンベールチーズをのせる
おいしく作るポイント
ポイント1

大麦は茹でると約3倍にボリュームが増えます。もち麦、キヌアなどの雑穀を使ってもOK

ポイント2

みかんをあえて2種類の大きさに切ることで、異なる食感を楽しみます

みかんと鶏肉の
ハーブ風味
目にも鮮やかな
オレンジ色のソースが
鶏肉の旨みを引き出します

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〈材料(2人分)〉
  • 鶏肉(もも肉) 2枚
  • みかん 4個
  • バター 40g
  • 白ワイン 200ml
  • 塩 小さじ1/2
  • タイム 1~2枝(3g)
  • バジル 10~12枚
  • 飾り用タイム、バジル 各適量
〈作り方〉
  1. 鶏肉をそれぞれ半分に切って、塩こしょう(分量外)をもみ込んで15分常温におく
  2. みかんは皮をむいて果実を飾り用に6枚薄い輪切りにし、残りはビニール袋に入れて搾る(point1)
  3. 鍋をあたためてバターを溶かし、1の鶏肉を両面焼き色が付くまで焼く
  4. 3の鶏肉に2の搾り汁と白ワイン、塩を入れてタイム、バジルを加えて蓋をし、30分加熱する(point2)
  5. 4の鶏肉を取り出して器に盛り、残りの汁は再び火にかけ、混ぜながら少しとろみがつくまで煮詰める
  6. 鶏肉を5の鍋に戻してさっと温める。タイム・バジルを取り除いて皿に盛り付ける。2のみかんの薄切りと飾り用のタイム、バジルをのせる
おいしく作るポイント
ポイント1

みかんは半分に切り、ビニール袋に入れて上からもむと、手を汚さずに搾れます

ポイント2

ハーブの風味が鶏肉に染み込むよう、弱めの中火でじっくり煮詰めましょう

みかんサブレ細かく刻んだ皮入りの
しっとりしたサブレ
ホームパーティにも!

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〈材料(15枚分)〉
  • みかん(小) 3個
  • 無塩バター 100g
  • グラニュー糖 80g
  • 塩 ひとつまみ
  • 卵 1/2個(25g)
  • 粉糖 適量
A
  • 薄力粉 120g
  • 強力粉 30g

(注)事前に目の細かいザルなどで合わせてふるっておきます

〈作り方〉
  1. みかんは塩(分量外)をまぶしてもみ、流水で洗う(point1)
  2. みかんを皮ごと5mm厚に薄い輪切りにして、合計15枚用意する。残りの皮の部分10g分を細かく刻む
  3. 常温に戻しておいた無塩バターをボウルに入れてゴムベラでやわらかくし、グラニュー糖と塩を加えてすり混ぜ、溶きほぐした卵を2回に分けて加え、さらによく混ぜる
  4. 2の細かく刻んだみかんの皮を加えて混ぜ、Aを2回に分けて加えてゴムベラでさっと混ぜる
  5. 4を棒状に伸ばし、ラップに包んで冷蔵庫で半日ほどしっかりと固まるまで冷やす(point2)
  6. 冷蔵庫から取り出した5の生地を7mm厚に切り、オーブンシートを敷いた天板に並べ、2の輪切りにしたみかんを1枚ずつのせる
  7. 6の上から茶こしで粉糖を2回ずつふり、180℃に予熱したオーブンで約15分焼く
おいしく作るポイント
ポイント1

みかんの表面を塩で洗うことで、皮表面のワックス(自然のもの)を落とせます

ポイント2

薄切りにしたみかんの直径に合わせて生地を棒状に伸ばしましょう

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