• 地元の人たちに愛され、親しまれている食材をテーマに中部5県下をめぐり、その魅力をご紹介します。
    ※「農食」とは、新鮮な農産物をその土地で食べることを意味する造語です。

  • カテエネ 農食ツーリズム
  • 第37回

    愛知県田原市の渥美産あさりを訪ねて

    春は、あさりの身が丸々と成長して美味しさを増す季節。愛知県はあさりの漁獲量が日本一で、全国シェアの約70%(平成25年農林水産省統計)を占めています。県内には南知多町、碧南市、西尾市、蒲郡市、渥美半島など多くのあさりの漁獲地がありますが、中でも渥美半島は、太平洋から良質なプランクトンを含む海流が流れ込むことから、肉厚で大粒のあさりが育ちやすいといわれます。今回は渥美半島の先端にある「小中山(こなかやま)漁業協同組合」を訪ねました。
    (注)取材は2017年4月中旬におこないました。
  • あさり

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見る・聞く肉厚で大粒に育ちやすい渥美産あさり

遠浅の海で育つ、天然あさり

渥美半島の先端にある伊良湖岬(いらごみさき)から北東へ約10km。三河湾に面した福江漁港周辺が「小中山漁業協同組合」の活動拠点です。
取材に訪れた日は好天に恵まれ、絶好の漁日和。「まずは漁場を案内しましょう」と、若手組合員の川口敦也(あつや)さん、川口修(おさむ)さん、中村直樹さんの3人に船で案内してもらったのが、福江漁港から沖へ約1kmの海上です。エンジンを止めて船を停泊させると、3人はすばやく海の中に降り立ちました。福江漁港周辺の海は、大人なら海の中を歩けるほど遠浅なのが特徴です。

  • 福江漁港から船に乗り、「小中山漁業協同組合」の漁場へと向かいます。

  • 漁場で船を停泊させると、海の中に降り立って、あさり漁を始める組合員の3人。1回の漁で1人当たり35kg~50kgのあさりを収穫します。

「育てる漁業」のため、15mm未満のあさりは海へ戻す

あさりをとる方法は、海底に沈めた網を小型機船で引く機械式の「底引き網漁業」と、「マンガ」と呼ばれるカゴのような漁具を使う人力による「マンガ漁業」に分かれます。「小中山漁業協同組合」は昔ながらの「マンガ漁業」であさりをとります。
中村直樹さんと川口修さんは慣れた手つきで海底の砂をマンガで掘り起こすと、海中でマンガを揺すりながら引き上げます。すると数十個ものあさりが姿を現しました。その中で小さなあさりを海に戻す川口修さんは「乱獲を防いで海を守るためです。愛知県の規約で12mm未満のあさりの漁は禁止ですが、渥美はさらに厳しくて、15mm未満を禁止にしています。育てる漁業のためには大事なことだと思っています」と語ります。

  • 柄が3~5mと長いマンガで深い海底のあさりをとるのが得意の中村直樹さん。

  • 「小中山漁業協同組合」の若手リーダーとして活躍する川口敦也さん。

  • 15mm未満のあさりを海に戻す川口修さん。

  • 渥美産あさりは、肉厚で大粒に育ちやすいのが特徴です。

シーズン中は潮干狩りを楽しむ人で賑わう小中山地区海岸

小中山漁業協同組合のもう1つの重要な仕事が、潮干狩りの運営です。福江漁港南東にある遠浅の小中山地区海岸が会場で、4月~5月のシーズン中、潮干狩りの開催日(注)には多くの人で賑わいます。ちょうど開催日だったこの日、海岸まで足を延ばすと、砂浜に座り込むようにしてあさりをかき出している人がたくさんいました。
(注)潮干狩りの開催日は公式ホームページで確認してください。

  • 多いときは1日1,500人以上が潮干狩りに訪れる小中山地区海岸。

  • 料金は組合指定のカゴ1個2,000円(税込)。クマデは貸し出しのみ。

  • 「小中山漁業協同組合」の皆さん。右から川口敦也さん、組合長の川口正康(まさやす)さん、川口修さん、中村直樹さん。

    • ●新鮮で美味しいあさりの見分け方
      • 殻が固く閉じている
        殻が開いていても、触ると殻が閉じる場合はOK!
      • 殻がふっくらと丸いものより、平たくて幅が広いもの
  • アクセス&インフォメーション 小中山地区海岸 潮干狩り

    愛知県田原市小中山町福江漁港周辺
    [潮干狩り問い合わせ先]
    小中山漁業協同組合 Tel.0531-32-0219
    ※平日の9時~16時にお問い合わせください。土曜・日曜・祝日は電話対応できませんのでご了承ください。
    ■車でのアクセス
    東名高速道路「音羽蒲郡IC」「豊川IC」から約80分
    新しいウィンドウを開きます小中山漁業協同組合ホームページ

食べる三河湾の新鮮な魚介類を満喫できる「玉川」

大正7年創業、キャッチフレーズは「魚と貝のうまい店」

「魚と貝のうまい店」をキャッチフレーズにする「玉川」は、2018年で創業100周年を迎える老舗の料理旅館です。
当初はうなぎ屋としてスタートしましたが、三河湾の美味しい魚と貝に恵まれた地の利を活かし、あさりを代表とする魚介類の料理も提供する料理旅館になりました。現在は3代目を引き継ぐ石井新治(しんじ)さんと奥さまの敦子(あつこ)さん、そして息子の龍介さんが旅館をもり立てます。

  • 料理旅館「玉川」。食事のみの利用もできます。

  • お食事処の他、宴会場(大広間・中広間)も完備しています。

  • 3代目の奥さまの敦子さんと息子の龍介さん。

あさりの旨みを引き出す逸品「あさり鉄板焼」

「玉川」では食事のみの利用も大歓迎です。あさり以外にも、とり貝、みる貝、サザエ、たこ、いか、うなぎなど魚介類の一品料理が豊富で、季節によってカニ(5月~10月)、岩がき(6月~9月)、ふぐ(11月~3月)もお品書きに加わります。
春先の人気メニューといえば、渥美産あさりをたっぷり使った「あさり鉄板焼」880円(税込)です。鉄鍋の蓋を開けると、あさりの香りが一気に広がります。味つけは酒と醤油のみと、いたってシンプル。「素材がいいから誰が調理しても美味しくできます」と龍介さんは笑います。

  • 約350gの渥美産あさりがたっぷり入った「あさり鉄板焼」。2月~5月はあさりの身が大きくて特におすすめです。

  • 渥美産あさりの味噌汁つきの「大あさりフライ定食」1,210円(税込)はボリューム満点。

  • 大あさりも地元の名物。「焼大あさり」630円(税込)は、大きさによって個数が変わります。

  • アクセス&インフォメーション 玉川

    愛知県田原市福江町中紺屋瀬古22-1 Tel:0531-32-0234
    営業時間(お食事処) 11時~15時、17時~21時
    定休日 元旦、10月第2日曜
    ■車でのアクセス
    東名高速道路「音羽蒲郡IC」「豊川IC」から約80分

買う鮮度抜群の渥美産あさりが手に入る「宮吉(みやきち)水産」

巨大な水槽の中で、漁獲したあさりを丸2日かけて砂抜き

渥美産あさりを地元で買える場所として、小中山漁業協同組合の組合長である川口正康さんに紹介してもらったのが、福江漁港から車で約5分の所にある「宮吉水産」立馬崎(たつまざき)工場です。渥美で漁獲されたあさりを巨大な水槽に入れ、丸2日かけて砂抜きした後、全国の市場へ発送しています。鮮魚卸が本業ですが、市場価格より安い値段で直売もしてくれるので、遠くから買いにくる常連客も少なくありません。

  • 年間通じて13℃~14℃に管理された海水の水槽で、あさりや大あさりなどを砂抜きします。

  • 砂抜きしたあさりは、主要都市の中央卸売市場へ届けられます。

  • 丸2日かけて砂抜きした大粒の渥美産あさり。

渥美産あさりは噛めば噛むほど甘味や旨みがある人気ブランド

「宮吉水産」の代表取締役を務める宮田和博さんは、この道35年のベテラン。渥美産あさりの他に、九州産あさりなども扱っているそうですが、「渥美産あさりは噛めば噛むほど甘味や旨みがあり、九州産と比べると市場価格は約2倍。東京の中央卸売市場でも人気の高いブランドです」と言います。

  • 小売りは1kgから対応。渥美産あさりは1kg1,300円~2,300円(税別)。

  • 「宮吉水産」の代表取締役を務める宮田和博さんとスタッフの皆さん。

  • アクセス&インフォメーション 宮吉水産 立馬崎工場

    愛知県田原市小中山町立馬崎1242-6 Tel:0531-33-1221
    営業時間 9時~15時
    定休日 土曜・祝日の前日、中央卸売市場休業日の前日は休み、臨時休業あり
    ※商品がない場合もあるので、事前に電話で確認することをおすすめします。
    ■車でのアクセス
    東名高速道路「音羽蒲郡IC」「豊川IC」から約90分

学ぶ「夜景100選」にも選ばれた「蔵王山(ざおうさん)展望台」

標高250mの蔵王山頂上から、360度の大パノラマを楽しむ

渥美半島を訪れたら、ぜひ足を運びたいのが2014年、「光」をテーマにリニューアルした「蔵王山展望台」です。標高250mの蔵王山頂上にあり、4階の展望フロアからは360度の大パノラマを楽しむことができます。天気の良い日には三河湾、太平洋を一望でき、富士山が見られることも。
3階の体験フロアでは、田原の魅力や環境への取り組みを分かりやすく紹介している他、モーショングラフィック(注)によって田原の四季を体感できる「光と遊ぼう!Hikariコミュニケーション」などがあります。
(注)写真やイラストなどの静止画像に音や動きを加えたもの。

  • 標高250mの蔵王山頂上にある「蔵王山展望台」。

  • 360度の大パノラマを満喫できる4階の展望フロア。

  • 晴れていれば、展望フロアから富士山が見られることも。

  • モーショングラフィックを使った「光と遊ぼう!Hikariコミュニケーション」コーナー。

夜になると、四季折々のライトアップによって幻想的な世界を演出

「蔵王山展望台」には夜の顔もあります。日が沈んで周囲が暗くなると、展望台やテラスがライトアップで浮かび上がり、幻想的な世界を演出します。展望台に続くスロープも、足元の蓄光石が青い光を放つロマンティックな「星空の散歩道」へと変貌します。
もちろん展望フロアからの夜景も忘れてはなりません。田原湾に架かる三河港大橋のライトアップなど夜の大パノラマは一見の価値あり。「蔵王山展望台」は愛知県で2ヵ所しかない「夜景100選」の1つにも選ばれています。

  • ライトアップの照明は季節ごとに変わる「光のアート」。

  • 夜になると、展望台に続くスロープは青い光を放つ「星空の散歩道」に。

  • 館内を案内してくれた田原市産業振興部商工観光課 主任の今井伸一さん(左)と主事補の浦本亘(わたる)さん(右)。

  • アクセス&インフォメーション 蔵王山展望台

    愛知県田原市浦町蔵王1-46 Tel:0531-22-0426
    営業時間 9時~22時
    年中無休
    ※カフェ・売店の営業時間は10時~16時、定休日は火曜
    ※ライトアップの点灯時間は19時~19時半、20時~21時
    ■車でのアクセス
    東名高速道路「音羽蒲郡IC」「豊川IC」から約60分

作る今日はおうちで農食レストラン

今回はあさりを使ったレシピを紹介するニャ

旨みのもとになるグリコーゲンをたっぷり含むあさりは、料理の出汁としても活躍する他、鉄分が豊富で貧血予防も期待できます。あさりといえば酒蒸しが定番ですが、今回はタイ風オムレツ、塩麹スープ、炊き込みご飯と、ひと工夫を加えたレシピをご紹介します。

蓮沼 あいさん

農食シェフ蓮沼 あい

食品メーカーへのレシピ提供や撮影協力、広告・雑誌でのレシピ紹介をはじめ、飲食店のプロデュースや料理イベントまで幅広く手がけ、食育をテーマにしたテレビ番組にも出演中。
ウェブサイト新しいウィンドウを開きますhttp://ai-hasunuma.com

タイ風あさりオムレツ卵とも相性のいいあさり。
ナンプラーとパクチーを加えて
エスニックなテイストを楽しんで

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〈材料(2人分)〉
  • あさり 300g
  • 酒 大さじ2
  • 玉ねぎ 1/2個
  • じゃがいも 1/2個
  • トマト 1/2個
  • パクチー 1束(30g)
  • 卵 4個
  • ナンプラー 大さじ2
  • 砂糖 小さじ2
  • サラダ油 適量
  • トッピング用のパクチー 適量
ソース
  • ケチャップ 大さじ1
  • スイートチリソース 大さじ1
〈作り方〉
  1. あさりは砂出しをして(point1)殻ごとよく洗い、鍋に入れて酒をふり、蓋をしたら殻が開くまで中火で加熱し、ざるでこす。あさりの出汁は取っておく。あさりの身は殻から外す(point2)
  2. 玉ねぎ、じゃがいも、トマトは1cmの角切りにし、じゃがいもは水にさらす。パクチーは1cmの長さに切る
  3. じゃがいもは水を切って耐熱ボウルに入れ、600wのレンジで3分加熱する(500wのレンジで3分40秒)
  4. 卵をボウルに割りほぐして、1のあさりの出汁とナンプラー、砂糖を入れて混ぜ、1のあさりの身、2のトマト、パクチー、3のじゃがいもを混ぜておく
  5. フライパンにサラダ油を熱して玉ねぎを炒め、透明になったら、4を流し入れ、全体をざっくり混ぜて蓋をし、弱火で18分ほど加熱したらひっくり返して焼き色をつける
  6. 5を皿に盛りつけ、パクチーを飾り。ソースの材料を混ぜて小皿に入れて添える
おいしく作るポイント
ポイント1

水300mlに対して小さじ2の塩(約3%)を入れて砂抜きします。網つきバットなどを利用し、殻半分くらいが水面から出るようにすると、一度吐いた砂を吸い込みません

ポイント2

スプーンなどを使うと、簡単に殻から身を外せます

あさりの塩麹スープ春キャベツとショートパスタを加えた
食べるスープ。
塩麹がまろやかな味に仕上げます

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〈材料(2人分)〉
  • あさり 200g
  • 春キャベツ 1/8個
  • トマト 1/2個
  • にんにく 1片
  • オリーブオイル 大さじ2
  • 酒 大さじ3
  • 水 400ml(2カップ)
  • 塩麹 大さじ2
  • 塩 2つまみ
  • こしょう 適宜
  • ショートパスタ 50g
〈作り方〉
  1. あさりは砂出しをして(point1)殻ごとよく洗い、春キャベツはざく切りにする。トマトは1cmの角切りにし、にんにくは包丁の背で潰す
  2. 鍋にオリーブオイルとにんにくを入れて弱火で香りがたつまで炒めたら、春キャベツを入れてさらに炒める(point2)
  3. あさりとトマトを入れてざっと混ぜ、酒と水を入れて蓋をし、アサリの殻が開くまで加熱する
  4. 塩麹、塩、こしょうをして味をととのえたら、表示時間通り茹でておいたショートパスタを加えて器に盛りつける
おいしく作るポイント
ポイント1

水300mlに対して小さじ2の塩(約3%)を入れて砂抜きします。網つきバットなどを利用し、殻半分くらいが水面から出るようにすると、一度吐いた砂を吸い込みません

ポイント2

春キャベツがしんなりするまで炒めます

あさりとトマトの
炊き込みご飯
ボンゴレロッソの和風版!
トマトと一緒にご飯を炊いて
味つけしたあさりと混ぜるだけ

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〈材料(4人分)〉
  • 米 2合
  • あさり 300g
  • 酒 大さじ3
  • 醤油 大さじ1
  • みりん 大さじ1
  • トマト 1個
  • 塩 小さじ2/3
  • 万能ネギ 適量
〈作り方〉
  1. あさりは砂出しをして(point1)殻ごとよく洗い、鍋に入れて酒をふり、蓋をしたら殻が開くまで中火で加熱し、ざるでこして、あさりから出た出汁を取っておく。あさりは醤油とみりんと混ぜておく(point2)
  2. 米は洗ってざるにあげ、炊飯器に入れたら1の出汁と水を足して320mlにしたものを注いで30分以上吸水させたら、塩を入れて混ぜる
  3. トマトはヘタを取って、2に入れて普通に炊飯する(point3)
  4. ご飯が炊き上がったらトマトを崩しながら全体に混ぜ、1のあさりを汁気を切って混ぜる
  5. 器に盛りつけて小口切りにした万能ネギを散らす
おいしく作るポイント
ポイント1

水300mlに対して小さじ2の塩(約3%)を入れて砂抜きします。網つきバットなどを利用し、殻半分くらいが水面から出るようにすると、一度吐いた砂を吸い込みません

ポイント2

熱いうちに、殻つきのまま醤油とみりんと混ぜておきます

ポイント3

トマトは加熱すると甘味や旨みがアップ。皮つきのまま一緒に炊き上げましょう

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