• 地元の人たちに愛され、親しまれている食材をテーマに中部5県下をめぐり、その魅力をご紹介します。
    ※「農食」とは、新鮮な農産物をその土地で食べることを意味する造語です。

  • カテエネ 農食ツーリズム
  • 第38回

    愛知県高浜市の豆腐を訪ねて

    醤油、味噌、豆腐など、日本食に欠かせない食材の原料となる大豆。その自給率はわずか7%(平成27年農林水産省)で、多くを輸入に頼っているのが現状です。こうした中、「生産者の顔が見える豆腐作り」を掲げ、国産大豆100%にこだわり、安心安全な豆腐を全国にお届けしているのが「おとうふ工房いしかわ」です。今回は、愛知県高浜市にある「おとうふ工房いしかわ」の本社を訪ねました。
    (注)取材は2018年2月下旬におこないました。
  • 豆腐

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見る・聞く国産大豆100%にこだわった豆腐

明治時代から続く「おとうふ工房いしかわ」

知多半島の付け根に位置する愛知県高浜市。周囲に田んぼが広がるのどかな所に「おとうふ工房いしかわ」の本社はあります。
迎えてくれたのは4代目社長の石川伸(のぶる)さん。明治時代から営んでいた家業を1990年に引き継ぎました。当時、輸入大豆を使った安価な豆腐が主流でしたが、地元で大豆を栽培する農家とのつながりを深め、国産大豆100%とにがり寄せ(注)による日本古来の製法で作った豆腐を1991年に発売。その後、さまざまな豆腐商品を開発し、今では北海道から九州まで全国の大手スーパーの店頭に「おとうふ工房いしかわ」の豆腐商品が並びます。「国産大豆の豆腐を広めることは、農家さんの応援にもつながる」と石川社長は語ります。
(注)海水由来の塩化マグネシウム(にがり)で豆腐を固める方法。

  • 「自分の子どもに食べさせたい豆腐を作ろう」という思いを貫く社長の石川伸さん。

  • 「おとうふ工房いしかわ」本社。併設の工場で見学も可能(完全予約制)。

  • 三河地域で収穫される約7割の大豆が「おとうふ工房いしかわ」で加工されています。

わずか3秒で固まる「にがり寄せ」は熟練技術が必要

豆腐の工場見学では、まず衛生ユニフォームの着用、続いて粘着ローラーによるゴミ・ほこりの除去、手の消毒、エアシャワー室と、徹底した衛生管理のもと、ようやく入場が許可されました。
工場内はほとんど自動化され、大豆の加熱、絞り(豆乳とおからの分離)、にがり寄せ(にがりによる凝固)、カット、パック詰めまで、スムーズに流れます。ただし、にがり寄せの工程ではスタッフがつきっきりで作業しています。にがりは固まるスピードが早く、人の手による熟練技術が不可欠です。どれほど自動化が進んでも、にがり寄せは機械任せにできません。

  • 撹拌(かくはん)してわずか3秒で固まるにがり寄せは、熟練技術が必要です。

  • 豆腐が固まった後は、カット、パック詰めまで、ベルトコンベアでスムーズに流れます。

  • 本社工場では1日3万丁の豆腐を作ることができます。

  • コンテナの上げ下げが少ない工程など、女性にやさしい製造現場も追求しています。

オリジナルの味を追求したヒット商品「究極のきぬ」「至高のもめん」

「おとうふ工房いしかわ」の豆腐は、大きく2つに分かれます。1つは国産大豆とにがりだけで作る伝統的な豆腐。もう1つはオリジナルの味を追求したもので、その代表がヒット商品「究極のきぬ」「至高のもめん」です。「豆腐の匂いを嫌う子どもたちのために、匂いのもとである配糖体を取り除き、だれもが美味しいと思える豆腐を追求した商品です。他の豆腐は苦手でも、これだけは食べられるというお子さんもいます」と石川社長は目を細めます。

  • オリジナルの味を追求した「究極のきぬ」「至高のもめん」は各250円(税別)。

  • 「究極のきぬ」は「モンドセレクション2011金賞」以降7年連続受賞している。

食べる豆腐づくしのヘルシーレストラン

目の前の工場で作られた豆腐を味わう「おとうふ市場 大まめ蔵」

「おとうふ工房いしかわ」の直営店舗「おとうふ市場 大まめ蔵」(2階)では、さまざまな豆腐料理を提供しています。11時までの「モーニングビュッフェ」500円(税別)は、できたての寄せ豆腐や豆乳を使ったパンが食べ放題。11時から14時のランチタイムは、各種とうふ定食が人気です。いずれも目の前の工場や厨房で作られたものばかりです。

  • 本社前にある直営店舗「おとうふ市場 大まめ蔵」。

  • ふわっとなめらかな豆腐の舌ざわりは究極の味。「究極の揚げだし定食」880円(税別)。

  • 3種類の味噌で田楽を楽しむ「田楽天ぷら定食」880円(税別)。

豆腐づくしのセットメニュー「おとうふバー」

ランチタイムで人気を呼んでいるのが、セットメニューの「おとうふバー」200円(税別)です。できたての豆腐はもちろん、さまざまな大豆惣菜が食べ放題です。「豆腐の美味しさを知っていただいて、豆腐や大豆料理のヒントにしてもらえたらうれしいですね」とマネージャーの原久美子さんは言います。

  • 「おとうふバー」では絹ごし豆腐、木綿豆腐が食べ放題。

  • 豆腐や大豆を使ったお惣菜も常時7種類ほど並ぶ「おとうふバー」。

  • 好きなものを好きなだけ食べられるのが「おとうふバー」の魅力。

  • 「おとうふ工房いしかわ」管理本部シニアマネージャーの原田康史(はらだやすふみ)さん(左)とマーケティング部シニアマネージャーの原久美子さん(右)。

  • アクセス&インフォメーション おとうふ市場 大まめ蔵(2階レストラン)

    愛知県高浜市豊田町1-205-5 Tel:0566-52-0666
    営業時間 平日9時~14時、土曜・日曜・祝日8時~14時、第1土曜は7時~14時
    ・モーニング 平日9時~11時、土曜・日曜・祝日8時~11時、第1土曜は7時~11時
    ・ランチ 11時~14時
    ■電車でのアクセス
    名鉄三河線「三河高浜駅」からタクシーで約7分
    ■車でのアクセス
    伊勢湾岸自動車道「豊田南IC」を降り、衣浦豊田道路「新林」から約10分
    新しいウィンドウを開きますおとうふ市場 大まめ蔵ホームページ

買う約40種類の豆腐や大豆加工品の豊富なラインナップ

スーパーなどでは見かけない油揚げなどの「バラ売り」も人気

「おとうふ市場 大まめ蔵」(2階)で食事をした後、ぜひ立ち寄りたいのが1階のショップです。豆腐や大豆加工品、豆乳を使った焼きたてのパンやドーナツ、プリン、お菓子まで、驚くほど豊富なラインナップ。特に豆腐は約40種類もの商品が揃い、スーパーなどでは見かけない油揚げなどの「バラ売り」も人気です。

  • 約40種類もの商品が揃う豆腐コーナー。

  • パック詰めされていない「バラ売り」コーナー。

  • 大豆を使ったお惣菜や豆乳を使ったパンなど、さまざまな商品が並ぶ店内。

おからを使った「きらず揚げ」は噛みごたえのある固めのお菓子

豆腐を作るときに出る「おから(うの花)」に国産小麦粉を加え、かりっと揚げた人気のお菓子が「きらず揚げ」です。「子どもたちがしっかり噛めるお菓子を作ろうと、ちょっと固めに仕上げています」とマネージャーの原さん。しお、黒糖、カレー、とりめし、黒ごま、チョコ、濃厚キャラメルなど、味のバリエーションが豊富で、子どもだけでなく大人にも大人気です。

  • 10種類以上の味が揃った「きらず揚げ」のコーナー。

  • アクセス&インフォメーション おとうふ市場 大まめ蔵(1階ショップ)

    愛知県高浜市豊田町1-205-5 Tel:0566-52-0140
    営業時間 平日9時~18時、第1土曜は7時~18時
    年中無休(年末年始除く)
    ■電車でのアクセス
    名鉄三河線「三河高浜駅」からタクシーで約7分
    ■車でのアクセス
    伊勢湾岸自動車道「豊田南IC」を降り、衣浦豊田道路「新林」から約10分
    新しいウィンドウを開きますおとうふ市場 大まめ蔵ホームページ ※ネット販売もしています。詳しくはホームページをご覧ください。

学ぶ日本の瓦の70%を占める「三州瓦(さんしゅうかわら)」

三州瓦に新しさを吹き込む「創嘉瓦工業(そうかかわらこうぎょう)」

愛知県高浜市は古くから窯業が盛んな街です。高浜を中心に三河地区で製造される瓦は「三州瓦」と呼ばれる特産品。瓦の三大産地「三州(愛知県)」「淡路(兵庫県)」「石州(島根県)」の中でも「三州(愛知県)」が全国シェア70%(平成26年工業統計)を占めています。
発展した理由として、三河地区は瓦の原料である良質な粘土に恵まれたこと、海が近く当時の江戸に運びやすかったこと、などが挙げられます。
現在、「三州瓦」のメーカーは大小合わせて約40社。その1つ「創嘉瓦工業」は300年続く和瓦(わがわら)の伝統を守る一方、壁・廊下のインテリアに瓦の技術を応用するなど、新しいことにも果敢に挑戦しています。

  • 瓦屋根には断熱効果や遮音効果がある他、地震にも強い建物となる(創嘉瓦工業施工例)。

  • 洋風の建物にもマッチするよう、瓦の形に工夫がされている(創嘉瓦工業施工例)。

  • 愛知県高浜市にある創嘉瓦工業本社。

原料から製品になるまで、ほとんどの工程を自動化

「創嘉瓦工業」では、「三州瓦」の魅力を広く知ってもらうため、地元の小学生などを対象にした社会見学を実施したり、一般の方でも事前予約すれば製造現場を案内したりと、地域に開かれた工場を目指しています。
工場内を見学すると、原料から製品になるまで、ほとんどの工程が自動化されていることに驚きます。「当社は34年前に全自動化を実現しました」と代表取締役の石原順二さんは語ります。

  • 1日に2万枚の製造能力を持つ工場。2万枚は家約10軒分の瓦に相当します。

  • 瓦は部位によっていくつか形状があり、さらに洋風の瓦、軽量の瓦など数百種の瓦を製造します。

  • 窯で焼いた後、炭素を含むガスを注入し(燻化)、天然のいぶし色(いぶし瓦)に仕上げます。

  • センサーや目視による品質チェックに加え、瓦を軽くたたいて異音がないかもチェックします。

「工業品」と「工芸品」、2つを両立させる「創嘉瓦工業」

いち早く全自動化を実現した「創嘉瓦工業」ですが、装飾が複雑な製品や特注品は、熟練者により丁寧に仕上げられます。大量の瓦を安定供給できる「工業品」と、熟練者が1つ1つ仕上げる「工芸品」、いずれも得意としているのが「創嘉瓦工業」の強みです。

  • 熟練者が手作業でバリ(注)を取り、ヘラでなめらかなフォルムに仕上げます。
    (注)加工する際に発生する不要な突起など。

  • いぶし色が均一で美しいと評価の高い「純いぶし瓦」。

  • 代表取締役の石原順二さん(中央)と専務取締役の石原哲也さん(左)、常務取締役の石原史也(ふみや)さん(右)。

  • アクセス&インフォメーション 創嘉瓦工業株式会社

    愛知県高浜市豊田町1-5-5 Tel:0566-52-2216
    ■電車でのアクセス
    名鉄三河線「三河高浜駅」「吉浜駅」からタクシーで約10分
    ■車でのアクセス
    伊勢湾岸自動車道「豊田南IC」を降り、衣浦豊田道路「新林」から約10分
    新しいウィンドウを開きます創嘉瓦工業株式会社ホームページ

作る今日はおうちで農食レストラン

今回は豆腐を使ったレシピを紹介するニャ

豆腐の原料である大豆には、たんぱく質、脂質といった栄養素に加え、女性ホルモンと似た働きをするイソフラボンも含んでおり、毎日でも食べたい食材です。今回は豆腐を使ったオードブルからおかず、スイーツまで、豆腐のなめらかな食感をいかしたレシピを紹介します。

蓮沼 あいさん

農食シェフ蓮沼 あい

食品メーカーへのレシピ提供や撮影協力、広告・雑誌でのレシピ紹介をはじめ、飲食店のプロデュースや料理イベントまで幅広く手がけ、食育をテーマにしたテレビ番組にも出演中。
ウェブサイト新しいウィンドウを開きますhttp://ai-hasunuma.com

蒸しトマト麻婆豆腐蒸して作る麻婆豆腐
マイルドな味つけと
なめらかな舌ざわりがポイント

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〈材料(2人分)〉
  • 絹ごし豆腐 1丁(400g)
  • 生姜 1/2片
  • にんにく 1/2片
  • トマト 1個
  • 豚ひき肉 100g
  • パクチー 適宜
  • 粉山椒 適宜
A
  • 合わせ味噌 大さじ2
  • 砂糖 大さじ1
  • 醤油 小さじ2
  • ごま油 小さじ1
  • 片栗粉 大さじ1.5
  • 水 50ml
〈作り方〉
  1. 絹ごし豆腐は耐熱皿に入れ、ラップをしないで600Wのレンジで2分加熱する(500Wのレンジで2分24秒)。豆腐の上に重しをのせ(Point1)、約20分おいて水切りし、一口大に切る
  2. 生姜とにんにくはすりおろし、トマトはざく切りにする
  3. ボウルにAの調味料と、2ですりおろした生姜、にんにくを入れてよくかき混ぜ、豚ひき肉も加えて混ぜる。そこにトマトと1の豆腐も加える
  4. 蒸し器に3を入れて20分加熱する(Point2)
  5. 器に盛りつけてパクチーの葉をのせ、好みで粉山椒をふる
おいしく作るポイント
ポイント1

豆腐を水切りするときの重しはお皿などでもOK

ポイント2

盛りつけ用の皿に入れて蒸せば、そのままテーブルに並べることもできます

味噌豆腐の
マリネカナッペ
香ばしく焼いた油揚げと
味噌だれに漬け込んだマリネ豆腐
ダブル豆腐のカナッペ

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〈材料〉
  • 木綿豆腐 1/2丁(200g)
  • 油揚げ 1枚
  • 醤油 適量
  • 大葉 適量
味噌だれ
  • 味噌 60g
  • みりん 大さじ2
  • オリーブオイル 大さじ2
〈作り方〉
  1. 木綿豆腐は耐熱皿に入れ、ラップをしないで600Wのレンジで1分半加熱する(500Wのレンジで1分48秒)。豆腐の上に重しをのせ(Point1)、約20分おいて水切りし、豆腐を半分の厚さに切って、それぞれ4等分する
  2. 味噌だれを作る。小鍋に味噌とみりんを入れてよく混ぜながら加熱する。沸騰したら火を止めて粗熱を取り、オリーブオイルを加えて混ぜる
  3. バットに2の味噌だれの半量を敷いて豆腐を並べ、上や側面に残りの味噌だれを塗って(Point2)、ぴったりとラップをしたら、一晩冷蔵庫で寝かせる
  4. 油揚げは8等分に切り、フライパンで両面がこんがりするまで焼いてから、片面に醤油をさっと塗り、香ばしく焼く
  5. 3の豆腐の味噌だれをそっと拭き取り、4の油揚げに1つずつのせ、細切りにした大葉を添える
おいしく作るポイント
ポイント1

豆腐を水切りするときの重しはお皿などでもOK

ポイント2

豆腐がくずれないよう、指先などでやさしく味噌だれを塗ります

豆腐とヨーグルトの
ムース
レアチーズのようななめらかさ
カロリー控えめがうれしい
ヘルシーデザート

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〈材料(22cm×18cm×4cmの容器 1個分)〉
  • 絹ごし豆腐 3/4丁(300g)
  • グラハムクラッカー 75g
  • 無塩バター 40g
  • グラニュー糖 105g 
  • ヨーグルト 150g 
  • 粉ゼラチン 15g 
  • 牛乳 60ml
  • 生クリーム 150ml 
  • レモン果汁 大さじ3
  • レモンスライス 適量
  • ミント 適量
  • (事前の準備)
    ・グラハムクラッカーは袋に入れてめん棒などで叩き、砕いておく
    ・ゼラチンは冷たい牛乳を混ぜてふやかしておく
レモンソース
  • レモン(国産) 2個
  • グラニュー糖 
  • レモンの重量の2/3(約30g)
〈作り方〉
  1. 絹ごし豆腐はキッチンペーパーで包んで軽く水気を取っておく。
  2. 無塩バターは600Wのレンジで30秒ほど加熱して溶かす(500Wのレンジで36秒)。砕いたグラハムクラッカーの入った袋に、溶かした無塩バターを加えてよく混ぜ合わせ、容器に敷き詰める
  3. 1の絹ごし豆腐とグラニュー糖、ヨーグルトをミキサーにかけてなめらかにする
  4. 冷たい牛乳を混ぜてふやかしておいたゼラチンに生クリームを加えて湯せんにかけ、ゼラチンを溶かしたら(Point1)、3のミキサーに加えて素早く撹拌する
  5. 4をざるでこしながらボウルに移し、レモン果汁を加えてよく混ぜ合わせる
  6. クラッカーを敷き詰めた2の容器に5の生地を流し込み、冷蔵庫で1時間ほど冷やし固める
  7. レモンソースを作る。レモンは粗塩で皮をこすり洗いしてから水気を拭き、皮をすりおろす。すりおろした皮と房から外した果肉に、レモン重量の2/3(約30g)のグラニュー糖を加えて鍋に入れて火にかける。泡が大きくなってツヤが出てきたら火を止めて、冷ましておく(Point2)
  8. 冷やし固めた6を皿に取り分けてレモンスライスとミントを飾り、レモンソースをかける
おいしく作るポイント
ポイント1

ゼラチンがしっかり溶けないと生地が固まらないことがあるので、湯せんで丁寧に溶かします

ポイント2

レモンソースが泡立ってツヤが出るまで煮詰めます。市販のジャムを代用してもOK

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