• 地元の人たちに愛され、親しまれている食材をテーマに中部5県下をめぐり、その魅力をご紹介します。
    ※「農食」とは、新鮮な農産物をその土地で食べることを意味する造語です。

  • カテエネ 農食ツーリズム
  • 第48回

    長野県東御(とうみ)市のチーズを訪ねて

    日本でまだナチュラルチーズが珍しかった1980年代。本場のチーズ作りを学びたいと、松岡茂夫(まつおかしげお)さんと容子(ようこ)さん夫妻はフランスに渡りました。帰国して1982年、容子さんが生まれ育った東御市にチーズ工房「アトリエ・ド・フロマージュ」を創業、本格的なチーズ作りを始めました。今回は、全国にファンを持つ「アトリエ・ド・フロマージュ」発祥の地でもある本店を訪ねました。
    (注)取材は2018年12月におこないました
  • チーズ

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見る・聞く受賞歴多数の「アトリエ・ド・フロマージュ」

東御市の高原のふもとで、20種類以上の自家製チーズを製造

冬はスキー客で賑わう東御市の「湯の丸高原」のふもとに「アトリエ・ド・フロマージュ」本店はあります。現在、軽井沢、東京・南青山、名古屋を含め8店舗を展開する「アトリエ・ド・フロマージュ」ですが、本店に併設されたチーズ工房で20種類以上の自家製チーズが製造されており、ここから各店舗はもちろん、ネット販売で全国へと届けられます。
今回は特別にチーズ工房へ入らせていただき、ナチュラルチーズの中で人気の高いカマンベールの製作工程を見学させてもらいました。

  • 1982年の創業以来、質の高いチーズ作りを追求している「アトリエ・ド・フロマージュ」本店。

  • 「JAPAN CHEESE AWARD」グランプリ、「モンドセレクション」金賞など多数の受賞歴があります。

  • カフェを併設した売店の奥にチーズ工房を完備。自由に見学も可能です。

フランスの伝統的なチーズ製法を今も受け継ぐ

チーズ工房でひときわ目を引くシルバーの水槽に、チーズの原料となる牛乳が注がれています。契約牧場で飼育するジャージー種と地元牧場のホルスタイン種、2種類の牛乳をチーズの種類に合わせて配合したもので、乳酸菌と動物性酵素(レンネット)の作用により、少しずつ固まりかけていました。
「では始めます」とチーズ工房のチーフ塩川和史(しおかわかずし)さんが、専用の道具を使って縦・横とカットし始めました。その手際の良いこと。わずか数分で耳たぶほどのやわらかさの牛乳が約1cm角のサイコロ状に変わりました。続いて2本のバーが水槽の中を撹拌し、上澄みの水分(ホエイ)を水槽外へ排出します。この方法はフランスの伝統的な方法をもとにした独自の製法です。

  • 90分発酵後、約30分凝固させて、耳たぶほどのやわらかさになった牛乳をカットします。

  • 2本のバーが水槽の中を撹拌しながら、上澄みの水分(ホエイ)を水槽外へ排出します。

  • 有効成分をとどめた状態の牛乳を一気にカップに詰めていきます。

  • 700kgの牛乳から約530個分(1個160g)のカマンベールが作られます。

チーズの種類に合わせて設けられた5つの熟成室

カップに詰めた後も、カップ底の穴からどんどん水分(ホエイ)が抜けていきます。「底から落ちる水分が透き通っているほど有効成分が残っている証し。その日に搾った牛乳の状態、カットや撹拌のタイミングによって仕上がりは異なります」塩川さんの言葉に、チーズ作りの奥深さを実感します。
カップを熟成室に移したら、ネイジュと呼ばれる白カビ菌の液をスプレーします。10度の熟成室で10日、5度以下の冷蔵庫で約1ヶ月間熟成させ、ようやくカマンベールチーズの完成です。

  • 白カビ菌の液をスプレーして約10日後。雪のようなフワフワの白カビで覆われます。

  • カマンベール熟成室の隣ではブルーチーズも熟成中。日本人の好みに合わせて改良を重ね、まろやかに仕上げます。

  • 完成したカマンベールを1個ずつ丁寧に包装します。

  • チーズ工房チーフの塩川さん。この道11年、ベテランのチーズ職人です。

食べる自家製チーズをゆっくりと味わうカフェ

フランスのエッセンスが詰まったこだわり空間

チーズ工房で製造された自家製チーズをゆっくり味わえるのが、「アトリエ・ド・フロマージュ」本店のカフェです。南向きにしつらえたガラス張りの室内からは、八ヶ岳の雄姿を一望できる人気スポットでもあります。

  • 1988年に完成したカフェ。フランスを視察し、現地から素材を取り寄せたこだわりの空間です。

  • 晴れた日には、窓の向こうに八ヶ岳の雄姿を一望できます。

  • カフェとつながる中庭。フランスの避暑地に迷い込んだようです。

自家製チーズをふんだんに使ったカフェメニュー

カフェのおすすめは「自家製チーズの盛り合せ」。ブルーチーズ、バジルチーズ、みそチーズなど5種類の自家製チーズを食べ比べることができます。
人気の高いスイーツは「自家製カマンベールのアップルパイ~生チーズソフト添え~」。チーズとアップルパイが絶妙の組み合わせです。1982年、日本で初めて製品化したという生チーズは濃厚なヨーグルトのような味わいです。

  • 味も食感も異なる5種類のチーズを楽しめる「自家製チーズの盛り合わせ」1,080円(税込)。

  • パイ生地にカマンベールを敷き詰めた「自家製カマンベールのアップルパイ~生チーズソフト添え~」1,080円(税込)。

  • アクセス&インフォメーション アトリエ・ド・フロマージュ本店

    長野県東御市新張504-6 Tel:0268-64-2767
    営業時間 売店:10時~17時/カフェ:10時~16時(土日祝10時~17時)
    ■電車でのアクセス
    北陸新幹線「上田駅」よりしなの鉄道「滋野駅」下車、タクシー約10分
    ■車でのアクセス
    上信越自動車道「東部湯の丸IC」より約10分
    新しいウィンドウを開きますアトリエ・ド・フロマージュホームページ

買うネットでは購入できないチーズ加工品も充実

自家製チーズを使ったスイーツやピザなどチーズづくし

カフェに併設する売店には、「チーズ工房」で製造された約20種類のチーズが並びます。なかでも2014年の国際コンクールで最高賞を受賞したブルーチーズ、2018年「JAPAN CHEESE AWARD」で金賞を受賞したブリーが人気を集めています。ネットでは購入できないチーズ加工品も多く、県外から多くのお客さまが訪れます。

  • 自家製チーズを使ったドレッシングなどオリジナル商品が何百種類と揃います。

  • 奥のチーズ工房で製造され、食べ頃を迎えた約20種類の自家製チーズ。

  • 自家製チーズをたっぷりと使った冷凍ピザ。

  • 店内を案内してくれたストア事業部の楜澤慎也(くるみさわしんや)さん。

併設のカフェでもいただける人気のスイーツ

じつは「アトリエ・ド・フロマージュ」の人気に火がついたのは、自家製チーズを使ったスイーツがきっかけです。創業者の松岡さんが全国の百貨店に足を運び、催事にスイーツを出品。やがて口コミで人気が広がっていきました。売店には常時、約20種類のスイーツが並び、併設のカフェでいただくこともできます。

  • なめらかな舌触りのレアチーズケーキ「フォンテンヌブロー」486円(税込)。

  • マスカルポーネチーズと生クリームを使用した「マスカルポーネシュー」360円(税込)。

  • カマンベールクリームとバニラムース、2層仕立ての「カマンベールモンブラン」486円(税込)。

  • アクセス&インフォメーション アトリエ・ド・フロマージュ本店

    長野県東御市新張504-6 Tel:0268-64-2767
    営業時間 売店:10時~17時/カフェ:10時~16時(土日祝10時~17時)
    ■電車でのアクセス
    北陸新幹線「上田駅」よりしなの鉄道「滋野駅」下車、タクシー約10分
    ■車でのアクセス
    上信越自動車道「東部湯の丸IC」より約10分
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人気商品の購入

「アトリエ・ド・フロマージュ」のブルーチーズや「食べごろチーズセット」は以下よりご購入いただけます
新しいウィンドウを開きますJRいいもの探訪ホームページ

学ぶ歴史ファン必見、上田城の敷地内にある博物館「上田市立博物館」

上田市の歴史を学べる博物館

「アトリエ・ド・フロマージュ本店」より車で約30分、戦国時代に真田昌幸(さなだまさゆき)が築城した上田城を今に伝える「上田城跡公園」があります。その一角に立つ「上田市立博物館」の本館と別館には、14万点もの貴重な資料が収蔵されています。
本館は上田市出身の偉人にまつわる資料のほか、真田昌幸・幸村(ゆきむら)の後、上田藩を治めた仙石氏、松平氏ゆかりの品を多数展示しています。

  • 1994年に復元された東虎口櫓門(ひがしこぐちやぐらもん)、3棟の櫓は江戸時代のもの。桜の名所でもあります。

  • 1965年に建てられた「上田市立博物館」本館。

  • 歴代上田藩主の甲冑(かっちゅう)や鉄砲、長槍などが展示されています。

別館は真田氏にまつわる展示が中心

「上田市立博物館」別館は真田氏にまつわる展示が中心です。上田城の在りし日の姿を3D映像で体感できる「VR上田城」のほか、古文書や甲冑など多数展示しています。2016年にNHK大河ドラマ「真田丸(さなだまる)」が放送されて以来、今も多くの観光客で賑わいます。

  • 真田氏ゆかりの品が展示されている「上田市立博物館」別館。

  • 真田氏に関わる甲冑のほか、古文書や肖像画なども展示されています。

  • 上田城の在りし日の姿を空から眺める「VR上田城」。迫力満点!

  • 館内を案内してくれた「上田市立博物館」館長の滝澤正幸(たきざわまさゆき)さん。

  • アクセス&インフォメーション 上田市立博物館

    長野県上田市二の丸3番3号(上田城跡公園内) Tel・Fax:0268-22-1274
    開館時間 8時半~17時(入館は16時半まで)
    休館日 水曜、祝日の翌日、年末年始
    (注)「上田城櫓」は冬季(12月~2月)休館、3月は土曜・日曜のみ開館
    観覧料(税込) 一般300円、学生(高校生以上)200円、小・中学生100円
    ■電車の場合
    JR東日本・しなの鉄道・上田電鉄・北陸新幹線「上田駅」より徒歩約15分・タクシー約7分
    ■車の場合
    上信越自動車道「上田菅平IC」より約20分

作る今日はおうちで農食レストラン

今回はチーズを使ったレシピを紹介するニャ

チーズ100gを作るには、1,000mlの牛乳が必要といわれるように、たんぱく質、カルシウムなど牛乳の栄養成分がぎゅっと凝縮されています。またビタミンC以外のビタミンも豊富に含んでいます。今回はホームパーティにも活躍する、チーズのレシピを3品ご紹介します。

蓮沼 あいさん

農食シェフ蓮沼 あい

食品メーカーへのレシピ提供や撮影協力、広告・雑誌でのレシピ紹介をはじめ、飲食店のプロデュースや料理イベントまで幅広く手がけ、食育をテーマにしたテレビ番組にも出演中。
ウェブサイト新しいウィンドウを開きますhttp://ai-hasunuma.com

チーズたっぷり
鶏とりんごのカルボナーラ
濃厚なチーズソースと
りんごの酸味が絶妙のバランス
パスタ抜きのカルボナーラ

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〈材料(2人分)〉
  • 鶏もも肉 2枚(300g)
  • 塩 小さじ2/3
  • こしょう 少々
  • りんご(紅玉) 1個
  • バター 15g
  • オリーブオイル 大さじ1/2
カルボナーラソース
  • 卵黄 2個
  • 生クリーム 大さじ4
  • 粉チーズ 大さじ4
仕上げ
  • 粉チーズ 適量
  • 黒こしょう 少々
  • クレソン 適量
〈作り方〉
  1. 鶏もも肉は室温に戻し、余分な脂やすじを取って一口大に切り、塩・こしょうをふって30分置く(Point1)。りんごは8等分のくし切りにして芯を取り、それぞれ3等分する
  2. 熱したフライパンにバターを入れて溶かし、りんごを焼き色がつくまで強めの中火で焼き、取り出しておく
  3. フライパンにオリーブオイルを熱し、出てくる脂を拭き取りながら鶏もも肉を中火で両面こんがりと焼く
  4. カルボナーラソースを作る。ボウルに卵黄、生クリーム、粉チーズを混ぜ合わせ、2のりんごと3の鶏もも肉を加えて和える(Point2)
  5. 4を器に盛り付け、粉チーズと黒こしょうをふり、クレソンを添える
おいしく作るポイント
ポイント1

鶏もも肉に塩・こしょうをまぶして30分置くことで、旨味を封じ込めます

ポイント2

鶏もも肉が熱いうちにソースとからめるように和えると、ソースにとろみが生まれます

とろ~りアリゴの魚介添えフランスの郷土料理アリゴ
チーズでとろ~り伸びる
マッシュポテトをフォンデュ風に

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〈材料(2~3人分)〉
  • じゃがいも 中3個(300g)
  • バター 大さじ1
  • にんにく 1片
  • モッツァレラチーズ 100g
  • ミックスチーズ 1/2カップ(40g)
  • 牛乳 100ml
  • 塩 小さじ1/4
  • こしょう 少々
  • エビ 8尾
  • オリーブオイル 大さじ1
  • ホタテ 8個
  • 塩・こしょう 適量
  • イタリアンパセリ 適量
〈作り方〉
  1. じゃがいもは皮をむいて4等分に切り、水にさらした後、水気を切って鍋に移す。鍋にかぶるくらいの水と塩少々(分量外)を加え、柔らかくなるまで茹でて湯を切る。鍋をもう一度火にかけ、混ぜながら水気を飛ばし、火を止めてからつぶす(Point1)
  2. 別の鍋にバターとすりおろしたにんにくを入れて火にかけ、香りが立ったら1のじゃがいもとざく切りにしたモッツァレラチーズ、ミックスチーズ、牛乳を加えて木べらで練り(Point2)、塩・こしょうで味をととのえる
  3. エビは背わたを取り、塩少々(分量外)でもみ洗いをして水気を取る。フライパンにオリーブオイルを入れて熱し、ホタテ、エビを加えて色よく焼き、塩・こしょうをふる
  4. 2と3をそれぞれ器に盛り付け、イタリアンパセリを添える
おいしく作るポイント
ポイント1

じゃがいもが温かいうちに、なめらかになるまで丁寧につぶします

ポイント2

モッツァレラチーズを細かく切っておくと早く溶けます。粘りが出るまで混ぜます

スパイスチーズクッキー黒こしょうのきいたチーズクッキーを
くるみメープル、レモンミント
2つのクリームチーズで味わいます

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〈材料(20本分)〉
  • 無塩バター 60g
  • 生クリーム 大さじ2
  • グラニュー糖 25g
  • 塩 ひとつまみ
  • 黒こしょう 小さじ1/2
  • 粉チーズ 50g
  • 薄力粉 120g
くるみメープルクリーム
  • クリームチーズ 50g
  • 刻んだくるみ 10g
  • メープルシロップ 大さじ1
レモンミントクリーム
  • クリームチーズ 50g
  • レモン汁 小さじ1
  • 刻んだミントの葉 4枚分
  • 塩・こしょう 少々
〈作り方〉
  1. 無塩バター、生クリーム、クリームチーズを室温に戻しておく
  2. 生地を作る。無塩バターとグラニュー糖をボウルに入れ、ゴムベラですり混ぜる
  3. 生クリーム、塩・黒こしょうを加えて混ぜ合わせ、粉チーズを加える
  4. 2にふるった薄力粉を加えてさっくりと混ぜ合わせる。粉っぽさがなくなるまで混ぜ、ひとまとめにする
  5. ラップを広げて生地を出し、縦10cm、横20cm、厚さ0.5cmに伸ばす(Point1)。冷蔵庫で1時間ほど冷やし、1cm幅にカットする
  6. 1cm幅にカットした4を、180度に予熱したオーブンで約15分焼く
  7. 2種類のクリームを作る。クリームチーズにそれぞれ材料を加えて混ぜ合わせ、ココットに移す
おいしく作るポイント
ポイント1

生地の厚みが均一になるよう、少しずつ力を加えながら伸ばしていきます

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