備蓄とは?地震などの災害への備えは何をすればいい?
日本では地震などの自然災害が多いこともあり、日ごろから災害に備えておく必要があります。そのなかでも、備蓄はとくに重要な備えです。
この記事では、備蓄で必要なものや必要な数がわかるリストを家族構成別に紹介します。また、備蓄品の選び方や保管方法などのポイントも解説しているので、備蓄を始める際の参考にしてください。
1 備蓄とは?
備蓄とは、災害などの万が一の場合に備えて必要なものを蓄えておくことです。
日常生活に必要な食品や生活用品、衛生用品などを準備しておくことで、災害によって物流が止まり、ものが手に入らない状況を乗り切りやすくなります。また、災害時だけでなく、感染症などに罹患して外出が難しくなった場合にも、備蓄が役立つこともあるでしょう。
地震などの災害が発生すると、避難所などへの支援が本格的におこなわれるまでに3日ほど要します。災害が発生した場所や被災者の人数によっては、十分な支援が始まるまでに約1週間かかる場合もあります。そのため、支援物資が届くまでの間は、生活に必要なものを自分で用意しなければなりません。
備蓄は、「防災備蓄」と「日常備蓄」の2種類に分けられます。
次の項目でそれぞれの内容を解説します。
防災備蓄
「防災備蓄」とは、災害の発生に備えて必要なものを準備しておくことです。水や食料品はもちろん、食器や寝具などの生活用品、医薬品や簡易トイレなどの衛生用品も含まれます。
防災備蓄をしておくことで、災害が発生してものが入手しにくくなった場合でも、ある程度の日数は自力で対処できます。また、災害はいつ起こるかわからないため、備蓄をしておくことで不安が和らぐメリットもあるでしょう。
日常備蓄
「日常備蓄」とは、食料品や日用品などを普段から多めに購入し、期限の早いものから使用していく方法です。消費したぶんを買い足すことで、常に一定の備蓄を保ちます。一般的には「ローリングストック」と呼ばれています。
ローリングストックでは、日ごろから使えるものを購入して日常的に消費するため、災害時に使用する防災備蓄と比べると期限切れになることはほとんどありません。そのため、備蓄品の購入費用が無駄になってしまうことが少なく、お財布にも優しいです。
また、古いものから順番に消費し、不足したぶんを補充するだけでよいため、備蓄品の管理もしやすくなるでしょう。
災害が発生した際にも、日常的に食べているものや使用しているものであれば味や使用感に慣れているため、抵抗なく使いやすいというメリットもあります。
2 備蓄で備えておくものリスト
災害時にはすぐに支援物資が届くわけではないため、最低でも3日、できれば7日分の備蓄が必要です。
ただし、備蓄で備えておくものの種類や数は、家族構成や家庭の状況によって異なるため、何をどのくらい準備すればよいか悩まれる方もいることでしょう。
ここでは、以下の家族構成別に、必要な備蓄リストをご紹介します。
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4人家族(大人2人・子ども2人)
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3人家族(大人2人・子ども1人)
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2人家族(大人2人)
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単身 (大人1人・女性)
4人家族と3人家族は戸建て、2人家族と単身世帯はマンションなどの集合住宅に住んでいることを想定しています。
戸建て暮らしは比較的荷物の搬入がしやすいため、4人家族と3人家族の世帯で想定している備蓄は3日分です。ただし、可能であれば1週間分の備蓄を用意することをおすすめします。
一方、マンションなどの集合住宅では、災害が発生した際にエレベーターを利用できなくなる可能性があります。そうすると、必要なものを購入し荷物を持って階段の上り下りをして自宅まで運ぶこと自体、困難になるかもしれません。そのため、2人家族と単身世帯は、7日分の備蓄を想定しています。
食料などの備蓄に加え、季節に合わせて暑さや寒さをしのげるグッズも欠かせません。
例えば秋冬は、使い捨てカイロやポータブルストーブ、春夏は、電気を使用しない冷却グッズや、ドライシャンプー、汗拭きシート等があると便利でしょう。
以下では、秋冬向けのリストをご紹介しています。
ペットがいるご家庭向けの備蓄リストもご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
4人家族(大人2人・子ども2人)
4人家族(大人2人・子ども2人/3歳〜小学6年生)で、戸建てにお住まいのご家庭に必要と想定される備蓄品は以下のとおりです。
■3日分の備蓄
食品 |
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衛生用品 |
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生活用品 |
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※出典:東京備蓄ナビ「いつか来る災害に備えよう」
上記のリストでは、子どもが2人とも3歳〜小学6年生であることを想定しています。中学生以上の場合は、必要な食事量も増加するため、もう少し食品の数に余裕を持たせる必要があります。
3人家族(大人2人・子ども1人)
3人家族(大人2人・子ども1人/3歳〜小学6年生)で、戸建てにお住まいのご家庭に必要と想定される備蓄品は以下のとおりです。
■3日分の備蓄
食料 |
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衛生用品 |
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生活用品 |
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※出典:東京備蓄ナビ「いつか来る災害に備えよう」
こちらのリストでも、子どもは3歳〜小学6年生であることを想定しています。中学生以上の子どもがいるご家庭では、備蓄する食品の量を増やしましょう。
2人家族(大人2人)
2人家族(大人2人)で、マンションなどの集合住宅にお住まいのご家庭に必要と想定される備蓄品は以下のとおりです。
■7日分の備蓄
食品 |
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---|---|
衛生用品 |
|
生活用品 |
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※出典:東京備蓄ナビ「いつか来る災害に備えよう」
2人世帯とはいえ、7日分の備蓄となると相当な数量になります。
特に、備えておくべき水の量は多く、2Lペットボトルに換算すると21本必要です。1箇所に入らない場合は、キッチンや押し入れ、リビングなど、複数箇所へ分散した収納を検討してみてください。
単身(大人1人・女性)
単身(女性1人)で、マンションなどの集合住宅にお住まいの方に必要と想定される備蓄品は以下のとおりです。
■7日分の備蓄
食品 |
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衛生用品 |
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生活用品 |
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※出典:東京備蓄ナビ「いつか来る災害に備えよう」
単身世帯では、それぞれの備蓄品の数は多くありませんが、スーパーやドラッグストアなどでまとめて購入して持って帰る場合、かなりの重量となります。
そのため、必要なものを少しずつ購入するか、インターネットショッピングを利用して、自宅まで配達してもらうことを検討されるとよいでしょう。
ペット(犬・猫)
犬や猫などペットを飼育されているご家庭で、ペットに必要と想定される備蓄品は以下のとおりです。
- ・ペットフード(5日分以上)
- ・水(5日分以上)
- ・処方食・療法食
- ・処方薬・医薬品
- ・首輪・ハーネス・リード
- ・トイレ用品
- ・食器
備蓄品の必要な数量は、飼育しているペットの種類や数によって異なります。
ペットフードと水は、最低でも5日分以上は用意しましょう。いつも与えているペットフードでなければ食べてくれない可能性もあるため、普段から多めにペットフードを用意しておき、可能であれば1ヶ月分を備えておくと安心です。
特に、処方食・療法食は支援物資では届かない可能性が高いため、余裕を持って準備しておく必要があります。また、犬の場合はトイレシート、猫の場合は猫砂やトイレシートを十分に備えておきましょう。
以下の記事では「ハンズ&ロフトがおすすめする最新防災アイテム」を紹介しているので、併せてご覧ください。
関連記事:ハンズ&ロフトが選ぶ最新おすすめ防災アイテム!家族を守るイマドキの災害対策とは?
3 備蓄をはじめるタイミングと入れ替えタイミング
日本は地震や台風などが多い島国のため、いつ災害の危機にさらされるかわかりません。
そのため、備蓄は思い立ったときにはじめるのがおすすめです。早めに食品や日用品などの必要なものを揃えておくことで、日常生活にも安心感が増すことでしょう。
注意点としては、備蓄している食料品の賞味期限が切れてしまう可能性があるため、1度購入したら終わりではなく、定期的な入れ替えが必要となります。具体的には、1年に1回を目安に備蓄品の入れ替えをおこなうとよいでしょう。
例えば、毎年9月1日の防災の日に備蓄品を点検し、賞味期限切れのものや、期限が近い食品があれば入れ替えましょう。このように、特定の日に備蓄品の点検をおこなうと決めておくと、点検忘れを防いで、確実に1年で入れ替えできるようになります。
入れ替えで見つかった賞味期限が迫っている食品は、処分せずに普段の食事に取り入れることで無駄も防げます。
安全に食べられる食品を届ける活動をしているフードバンクなどの団体に、賞味期限が近い備蓄品を寄付するのも、食品ロスを防ぐ方法として有効です。
4 備蓄のポイント
備蓄のポイントは主に以下の3つです。
- ・ローリングストックなら普段と近い食事がとれる
- ・賞味期限が近くなって食べるときもおいしいものを選ぶ
- ・ローリングストックするなら見える化収納がおすすめ
それぞれの内容を詳しく解説するので、備蓄する際に取り入れてみましょう。
ローリングストックなら普段と近い食事がとれる
食品の備蓄には、ローリングストックがおすすめです。
備蓄した食品を日常使いするため、賞味期限切れで廃棄してしまう可能性を下げられます。
また、普段と同じような食事をとれるので、災害時に体調を崩すリスクも低くできるでしょう。
ただし、ご飯や麺類など同じような食品ばかりを備蓄してしまうと、適切な栄養バランスにはなりません。そのため、以下のように主食だけでなく、主菜や副菜、果物などをまんべんなく備えておくと栄養バランスを整えやすくなります。
■主菜
主菜 |
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副菜 |
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主食 |
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果物 |
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その他 |
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※参考:農林水産省「備蓄食品の選び方」
※参考:農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」
この他にも、乳幼児や高齢者、アレルギーをお持ちの方がご家族にいる場合は、健康状態や症状に合わせた備蓄食料が必要です。
また、アレルギーをお持ちの方の場合は、アレルギー物質が含まれていない食品を用意しなければなりません。アレルギー対応食品は、災害時に一般的な食品よりも入手しづらくなるため、余裕を持たせて備蓄しておきましょう。
賞味期限が近くなって食べるときもおいしいものを選ぶ
備蓄している食品で賞味期限が近くなったものは、普段の食事で消費することになります。そのため、自身や家族の好みに合った、おいしくいただけるものを選ぶことをおすすめします。
どの食品を選べばよいか迷う場合は、ご家庭で日ごろからよく消費されるような商品を購入するとよいでしょう。
また、保存食や缶詰などは、味が良くないというイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、最近は味付けにこだわりがあり、おいしく食べられる商品も販売されています。気になる商品をいくつか試し、自身や家族の好みにあったものを探してみましょう。
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ローリングストックするなら見える化収納がおすすめ
ローリングストックを取り入れる場合は、備蓄品を日常使いすることもあり、頻繁に出し入れする機会があります。その際、どこに何があるかを把握しやすくするため、見える化収納で保管することがおすすめです。
見える化収納では、ものを取り出しやすいケースや箱をいくつか用意し、種類ごとに分類して収納します。例えば、同じ箱にレトルトご飯やおかゆ、カレーや丼といったレトルト食品などの主食をまとめて入れておくと、実際に使う際に探しやすくなります。
収納する際は、ケースや箱の、前側または上側に賞味期限が近いものを保管することで古い食品を探す手間が省けるだけでなく、賞味期限切れも防ぎやすくなるでしょう。
また、どれが古いかを一目でわかりやすくするために、商品の見やすい位置に賞味期限をマジックなどで記入しておくことも効果的です。
5 まとめ
備蓄には、災害の発生に備えて必要なものを準備しておく「防災備蓄」と、普段から多めに食品や日用品を購入し、日常使いしながら備蓄する「日常備蓄(ローリングストック)」の2種類があります。
ローリングストックでは、備蓄している食品を普段の食事でも消費するため、賞味期限切れになりにくく、必要以上の出費も抑えられます。また、日常的に食べているものや、使用しているものであれば、災害が発生したときでも抵抗を感じづらいでしょう。
災害はいつ起こるかわからないため、思い立ったタイミングで備蓄しておくことが重要です。この記事を参考に、できるところから少しずつ、必要なものを揃えていきましょう。
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